「健常者と同じ授業を・・・」
筑波大聴覚特別支援校が表彰
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自ら開発した教材を使って授業を行う橋本教諭(右) |
市川市国府台の筑波大付属聴覚特別支援学校(宮本信也校長、児童・生徒数287人)がこのほど、児童・生徒の豊かな人間育成に功績のあった学校や教諭を表彰する「第41回博報賞」(博報児童教育振興会主催)を受賞した。同校高等部の橋本時浩教諭が開発した美術作品鑑賞用のパソコン教材が評価されたもの。橋本教諭は「時間をかけた研究を評価してもらったことは本当にうれしい」と受賞を喜んでいる。
すでに同校の美術の授業で活用されているこの教材は、生徒の作品の画像をCDに収録し、その作品に対するほかの生徒や教諭の意見、感想などを書き込むことができるもので、耳の不自由な生徒でも作品を見ながらその作品に対する意見や感想を閲覧することができる。また、言語の発達が遅れがちになる聴覚障害者のために、難しい言語や、美術の専門用語などの説明文も記載。授業では、電子黒板と接続して使うことで、作品の画像を見せながら教諭が作品に線や色などを書き加えて説明するという、健常者と変わらないレベルの授業を行うことが可能になった。
20年以上、聴覚支援学校の美術教員として勤務する橋本教諭は、「耳の不自由な生徒にも健常者と同じような授業をしてあげたい」と、平成17年にこのパソコン教材の試作版を開発。現在は、絵画だけでなく彫刻などの美術作品も収録しているバージョン3まで開発を進めており、この教材を使って、韓国のソウルろう学校との文化国際交流にも発展させている。
今回はこれらの功績が認められ、教育者にとっては最も権威ある賞の一つである同賞の特別支援教育部門の最高賞を受賞。日本語と韓国語のどちらでも閲覧できるようにするバージョン4を現在開発中という橋本教諭は「今後はろう学校だけでなく、国内のさままざな学校などとも作品を通じて交流を深めていきたい」と展望を描いている。
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