大震災対策プロジェクト始動

 タワーマンション3棟


 市川市内のタワーマンションが、大震災時に向けたプロジェクトに動き出した。大震災時活動マニュアルの作成を目指しつつ、マニュアルを生かすための土壌となる大震災に備える住民の意識づくり、関係づくりを念頭に置いて、研修や訓練、体制作りを進めている。

 プロジェクトを開始したのは、八幡の本八幡キャピタルタワー(住居108戸)やガレリアサーラ(同250戸)など3棟の各管理組合。独自に活動しつつも情報提供など相互協力することで、基本となるマニュアル作成を効率的に進める。それぞれの啓発・体験イベントに参加し合える仕組みも進める。

 大震災対策を始めたきっかけは、東京・中央区と同区内のタワーマンション・リガーレ日本橋人形町が大震災時活動マニュアルを作成したこと。本八幡キャピタルタワー管理組合の監事・宮川庄一さんが、複数の市内タワーマンションの管理組合と市川市危機管理課に、互いに協力して取り組む体制作りを訴えた。その後、各管理組合の代表者と同市はリガーレ日本橋人形町の視察も行った。

 さらに、本八幡キャピタルタワーではこのほど、住民を対象に、大震災時のマンションの特徴と対策、行動例を学ぶ研修会を実施。宮川さんは参加者に「勉強会を重ねて問題点を一つずつ解決し、住民が助け合える共助の体制を作っていきたい」と訴えた。今後は、地震体験や県西部防災センターの見学などを行い、来年の管理組合総会までにマニュアルの骨子をまとめたい考え。マニュアル作成を通じて、自分たちが住むマンションの特徴や対策など必要なことが分かる効果もある。

 一方、ガレリアサーラでは、防災担当役員を増やすなど体制の拡充を進めるとともに、住民が震災への共通認識をもつことを重視し広報に努めている。

 宮川さんは「タワーマンションは大震災にも耐えられる構造だがエレベーターや電気、ガス、水道などのインフラは使えなくなる。マニュアルをただ作るだけではなく、それを生かす土壌が住民一人一人になくては意味がない」、ガレリアサーラ管理組合理事長の河口日出男さんは「家族構成や必要な支援情報などをどこまで把握し合うかが、プライバシーの問題もあり課題だが、重要なこと。住民同士の緊密さ、防災への関心と行動を訴えていきたい」という。

 同市危機管理担当は各管理組合の取り組みについて、「市川市として集合住宅の大震災対策はまだ施策にない。いざというときに備えて住民が独自に活動することはすばらしい。マンションの構造はそれぞれ異なっても、共通部分は互いに生かし合える」とし、今後の活動に協力していく。

 市内の20階建て以上の高層マンションは、11年前に初めて竣工した本八幡キャピタルタワー以来、8棟に増加。現在、京成八幡駅前の再開発地区でも建設が進められている。

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