「改修」「建て替え」決まらず

  市川市庁舎の耐震化


 耐震強度が不足している市川市庁舎への対応に遅れが生じている。市は、平成20年4月に発表した同市市有建築物耐震化整備プログラムで、昨年度中に「建て替え」か「耐震改修」かの方向性を決めるとしていたが、決定は今年度末までずれ込む見通し。さらに、決定が「建て替え」となれば、建設位置や手法などの具体的な検討が必要で、強度不足を解消するにはさらに多くの時間を費やすことになる。

 同市の本庁舎は、昭和34年築の第1庁舎(A棟、B棟)と同46年築の第2庁舎、同54年築の第3庁舎の4棟で構成。すでに耐震改修工事が終わっている第3庁舎以外の3棟は、防災拠点として0・9以上必要なIS値が0・33―0・4しかなく、震度6~7で倒壊の恐れがある。

 市は、費用と期間を抑えられる「耐震改修」で対応したい考えだが、その場合、有効面積の減少で使い勝手が悪くなり、執務に支障が出る可能性がある。また、3棟はコンクリートの劣化が進んでいるため、結局、近い将来の建て替えは不可避。毎年の修繕費用も膨らみ、長期的には費用がかえってかさむことも予想される。

 さらに、本庁舎は▽第1庁舎と第2庁舎の連結部分に段差があり車イスでの移動ができない▽駐車場が手狭で国道14号の渋滞の一因となっている▽庁舎脇の細い道路に右折する車が多く危険▽南八幡など近隣に庁舎が分散している―と課題が山積。耐震改修ではこれらの課題もそのまま残ることになる。

 こうした課題を解決するには「建て替え」が必要。だが、莫大な費用と時間がかかるため、市民の理解を得られない可能性もある。

 この対処方法の方向性を決める予定だった昨年度は、耐震改修する場合の基本計画を作成するにとどまった。今年度は、その基本計画について費用面や実用面などを検証し、可能と判断されれば「耐震改修」の方針が決まるが、逆に「建て替え」の方針が決まれば、来年度以降も具体案を巡り長時間の検討が続くことになる。

 同市市有建築物耐震化整備プログラムで、平成25年度までに耐震化する計画が示されなかったのはこの3棟だけ。だが、日ごろから多くの市民が訪れ、災害発生後には復興の拠点になる市庁舎についても、できるだけ早い対応が求められる。

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