学生や社会人の企業続々

 千葉商大・企業スクール

 千葉商大(島田晴雄学長)は平成19年度から起業スクールを開き続けている。受講を経て起業したのは同大学内起業を含め5件で、社会課題の解決を目指したものや趣味を生かしたものなどがある。

 同スクールは3か月間(全4回)かけて、事業計画作成や資金調達申請、設立登記、法人化手続きなど実務的なものを教えている。併せて起業塾も月に一度、第2土曜日に開いており、「重要なのはメンタル面とネットワークづくり」と、起業で大切なモチベーションの維持、仕事につながる情報交換、ネットワーク作りを果たしている。

 同大の鈴木孝男教授は「3年間で5件の起業。同様の講座の起業率は通常3%ほどだが、千葉商大では5%。学生もおり、頼もしい」という。今後に向けては「どんなに小さな芽でもいい。社会性のあるベンチャー企業に育ってほしい。学生は、起業活動を通じて自らチャレンジするタフさを身につけてほしい。一般の人は、身近なところにチャンスがあるので、地域の活性化を果たすとともに、サクセスストーリーに向けて楽しんでほしい。千葉商大が力になる」と将来に期待している。

子育て主婦の菓子店

チョコレートブラウニーの店ブラウニー

客との会話も楽しむ松本さん(右)
 小学生から高校生までの3人の子供を育てている専業主婦の松本邦子さんが市川公民館脇から弘法寺門前に至る大門通り商店街に出した店「チョコレートブラウニーの店ブラウニー」の商品はチョコレートブラウニー(130円)ただ1つ(コーヒー=210円、ブラウニーとコーヒーのセット=300円)。「いつか自分の店を持ちたい」と抱いていた夢を、偶然見つけた起業スクールの講座を経て、先月27日に果たした。

 「得意ではないんです」という料理だが、手作りのチョコレートブラウニーが友人や知人の間でおいしいと評判を得るとともに、子供のおやつは「手作りで、安心できる素材のものを食べさせたい」という願いから、商品化。「おいしいと食べてもらうことはうれしいことですが、子供に手作りおやつを作るきっかけになればもっとうれしい」と願う。店内には席も用意。まだ少ないが絵本もあり、「いずれ地域の人が集える場に育てたい」と思い描く。

 松本さんの起業は、起業スクールの受講から3年越し。子供の受験などを見計らったためだが、まだ小学生の子供もおり、営業は午前11時―午後3時。「売り上げにも影響するでしょうが、子育てや家事もしっかりとやりながら続けたい」という。

 27日の開店以来、客足はまずまず。同地域には街歩きをする人や子育て中の世代が多く、立ち止まることの多い踏切の前の立地もあって興味をもつ人は多そう。女性客は「好きなこの商店街に気軽に手作りのお菓子が食べられる店ができたのはうれしい」と話していた。松本さんは開業1週間目、「主婦が好きなことで店を出させてもらえたことはとてもありがたい。お客さまの要望に応えられるよう充実させていきたい。ブラウニーのバリエーションを研究中です」と話していた。休みは土・日曜日と祝日。

昼の行列を改善したい

学生がおにぎり販売「おのぽの」

 「起業は、社会的な行動と責任を誠実に果たすこと」―。千葉商大の学生起業家組織「おのぽの」が毎週木曜日、学内でおにぎりやおかず、飲み物を販売している=写真。昨年10月22日に開業し、4月からは午前10時過ぎから午後0時半ごろまでに販売時間を拡大。おにぎりを買ったサービス創造学部1年の宇佐美加奈さんと岩﨑明莉さんは「学内の店はいつも混んでいる。何より、学生の起業に感動。応援したくて買っています」と話していた。

 おのぽのは、起業スクール受講生の渡辺嗣人代表(3年生)と田村浩士副代表(同)が結成。渡辺代表は街を歩いていると「いろいろな店の売れ行きをつい見て、こう変えればいいのにというアイデアが湧いていた」、田村副代表は「起業する学生は多くはなく貴重な経験。社会に出ても役立つ」と起業を志していた。

 おにぎりの販売は、学内社会の課題解決。学内のコンビニエンスストアや学食の行列を見て「休み時間の大半を並ぶことに費やしている。安くておいしいものを買いやすくできないか」という渡辺代表の思いを形にした。

 起業に向けて学内では学生アンケート、学外では弁当を配達してくれる地域店の調査を行い、メニューや値段を検討した結果、大門通り商店街の米屋が作るおにぎり処「くろさき」からおにぎりを仕入れて販売を始めた。

 客は学生が8割、教職員が2割。当初は売れ残りもあったが、現在は完売が続く。そこには、同店で買い物が済むようにおかずやみそ汁を加えたり、「3個セットでは多い」「セットでは好きな具材が選べない」という声に応えて1個と2個セットでの販売に変えるなどの工夫の成果が表れている。先月末からは「ウリとなる商品を」と、唐揚げとコンブ、サケ、オカカを入れた「爆弾おにぎり」(180円)の販売も始めた。

 起業して約7か月。田村副代表は「値段だけを見て買ってくれない人もいる。売る側と買う側の意識の差をどう埋めていくのか、勉強になる」、渡辺代表は「お客さんの小さな要望も聞き流してはいけない。反面、バイトと違う楽しみは、お客さんのニーズにすぐに対応できること。やりがいがある」と満足げ。

 利益は多少あっても賃金はまだない。しかし、田村副代表は「仲間とどうすればお客さんに満足してもらえるかを考え、自分たちのサービス生み出すことに充実している」、経理の川野雄太さん(3年生)は「休んだことがあったが、継続が企業の信用につながると感じた」、千葉博史さん(同)は「学祭のようにノリでは買ってくれない。起業で分かったことが多い」と、学内起業とはいえ、貴重な体験と感じている。

創業支援セミナー

浦安市

 浦安市は7月3日から24日までの毎週土曜日午前9時半―午後4時半、創業支援セミナーを同市文化会館(猫実1の1の2)で開く。

 創業を希望する人や現在創業中の人など先着25人を対象にしたセミナーで、税理士や中小企業診断士などの専門家から経営知識を学べる。参加費は無料。

 内容は、経営の基礎から経営戦略、マーケティング、融資の受け方、事業計画立案の基礎、開業届け・許認可の取得、会社設立の概要、経理の基礎、IT活用の基礎、創業体験談など。  申し込みは同市商工観光課(☎351・1111内線1446か1447番)。

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