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2013年
2012年

◆第33回◆

子どもたちの学力向上をめざして~学力・学習状況調査の結果から~

 ○地震に強い学校に
 
 市川市教育委員会では、平成23年度より、市立の小学5年と中学2年の全児童生徒を対象に、市独自の「学力・学習状況調査」を実施しています。
 
 これは、平成19年度より国が実施してきた「全国学力・学習状況調査」が、平成22年度に3割程度の抽出校調査に変更されたことに伴い、市内全校の児童生徒の学力や学習の状況を把握するために開始された調査です。
 
 ○着実な結果の向上
 
 5月10日に実施した本年度の調査結果ですが、小学5年では、国語、算数ともに全国平均とほぼ同程度、中学2年では、国語、数学ともに全国平均を大きく上回るという良好な結果を収めることができました。
全国学力・学習状況調査

 
 一方、市の調査に先立つ4月24日には本年度より全校参加方式が復活した、国の「全国学力・学習状況調査」が小学6年と中学3年の全児童生徒を対象に4年ぶりに実施されました。
 
 市川市全体の結果を見てみますと、どちらの学年でも、国語、算数・数学ともに、千葉県及び全国の平均正答率を上回るという良好な成績となりました。
 
 また、併せて実施された、学習習慣や生活行動についての調査の結果からも、子どもたちの望ましい変化や成長が伺えます。
 
 小学校では「宿題や授業の予習・復習への積極的な取組」「国語・算数に対する学習意欲」といった質問に対して、また中学校でも「自己肯定感」「将来の夢や目標」「他者への貢献意欲」「授業中の積極的発言」といった質問に対して、肯定的な回答が増加しています。
 
 こうした、子どもたちの家庭における学習習慣の改善や自己肯定感の向上といった傾向が、今回の学力調査での結果向上にも結びついたものと考えています。各家庭のご協力に感謝いたします。

○一層の授業改善を

今回の良好な調査結果を一過性のものに終わらせず、今後も各学校では、この調査結果を最大限に活用し、自校の子どもたちの学力や学習の状況をより正確に把握・分析してまいります。そして、思考力・表現力育成を重視した課題解決型の学習や、学級内の温かく共感的な人間関係を基盤とする授業作り、TT(ティームティーチング)や習熟度別グループによる少人数指導等の指導方法の工夫を積極的に取り入れ、一層の授業改善に取り組んでまいります。

 (2013年12月28日号)ホームページ 「人をつなぐ 未来へつなぐ」リスト

◆第32回◆

楽しく分かる学習環境づくりを
~少人数学習等担当補助教員事業

 今、教室には、子どもたちの元気な声があふれています。
 
 ここは、市川市立菅野小学校の少人数指導教室です。現在学級担任と少人数学習等担当補助教員の2人の教員が、約30人の学級の子どもたちを2つのグループに分け、算数の授業を行っているところです。先生の問いかけに対して、子どもたちは皆真剣に取り組み、積極的に発表しています。
少人数指導教室の様子


 市川市では、「少人数学習等担当補助教員事業」として、児童生徒一人一人の確かな学力の向上を図るため、補助教員を独自に採用し、市内全小・中学校に55名配置しています。

 各校では、学級・教科担任と補助教員とが連携協力し、教科の特性や子どもたちの実態に応じて、「ティームティーチング(TT)」や「少人数指導」といった指導方法を通して、個人差に応じたきめ細かな指導の推進に努めています。

 「TT」とは、1つの学級に複数の教員が入り、一人が中心となって授業を進め、もう一人が子どもたちの間を回りながら個別指導を担当するなど、適切な役割分担のもと、効果的に授業を進める指導方法です。

 一方、「少人数指導」とは、学習内容についての習熟度や興味・関心に応じて、学級の児童生徒をいくつかのグループに分け、それぞれに教員がついて授業を進める指導方法です。

 今回ご紹介した菅野小では、学級担任と補助教員の二人体制で、4年から6年までの全学級において、算数科を中心にTTや少人数指導を行い、子どもたちの学習意欲や学力の向上に努めています。

 このような授業について子どもたちからは「算数が好きになった」「発表や質問がしやすくなった」といった感想が、そして、教員からも「子どもたちの実態に応じて、進度や内容を考えることができる」「子どもへの声掛けが増え、個別指導を十分に行うことができる」「分からないことを、素直に分からないと言える子が増えた」など、効果を実感する感想が寄せられています。

 教育委員会では今後とも、学級・教科担任と少人数学習等担当補助教員との連携による、「TT」や「少人数指導」等の積極的な推進により楽しく分かる学習環境の整備を進め「楽しく学びたい」「もっとよく分かりたい」「できるようになりたい」といった、子どもたちの思いや願いの実現に努めてまいります。
 
 (2013年11月23日号)ホームページ 「人をつなぐ 未来へつなぐ」リスト

◆第31回◆

「生きる力」を育む読書教育~図書館の学校支援サービス

 市川市では、長年にわたり読書教育の充実に力を入れ、各学校では、豊富で多様な図書を利用した読書や調べ学習等を通して、子どもたちの「豊かな心」や「自学力」の育成に取り組んでいます。
 
 こうした中、公共図書館でも、子どもたちがその発達に応じて豊かな読書体験ができるような、図書資料の選定・収集に努めています。
 特に中央図書館では「こどもとしょかん」という独立したフロアを設置し、専門職員を置いて子どもたちに対するきめ細かなサービスの向上を図るとともに、学校における「調べ学習」や「読書活動」に対する支援の充実にも積極的に取り組んでいます。
 

○学校図書館支援

 学校における調べ学習には、豊富で使いやすい図書資料の充実が不可欠です。
 
 本市の学校図書館は、各学校に配属された学校司書、学校図書館員の努力により、かなりの充実ぶりを示していますが単独校の蔵書には当然限界があります。
 
 そこで市では、平成八年度より「公共図書館と学校とを結ぶネットワーク事業」を立ち上げ、他校や公共図書館から必要な図書を借りることができる、つまり、市が所有する図書を市内全校の共有財産として活用できるシステムを構築し運用しています。
 
 現在、文部科学省より「学校図書館支援センター推進事業」の委託を受け、このシステムのより一層の充実発展に取り組んでおり、ネットワークの窓口である中央図書館をはじめとする各公共図書館も、事業に積極的に参画しています。
職員による図書配送準備


 

○読書活動支援

 中央図書館では、学校での読書活動に活用できるよう、まとまった冊数を長期間学校に貸出す「学級文庫」サービスを実施しています。小学校を皮切りに、順次、中学校、特別支援学級向けの貸出しも始まり、毎年大変多くの利用申し込みを受けています。
 
 また、学級・学年単位で来館した児童生徒を対象に、職員が読み聞かせや本の紹介をする「学級招待」や、職員が小学校を訪問し実施する「出張おはなし会」といった取り組みも行っています。
 
 他にも、中学校のキャリア教育支援として、毎年多数の生徒の職場体験学習を受け入れています。
 
 今後も公共図書館は、学校との連携協力の一層の充実を図り、子どもたちの「生きる力」の育成のために、その役割を果たしていきます。

 (2013年10月26日号)ホームページ 「人をつなぐ 未来へつなぐ」リスト

◆第30回◆

教育の機会均等をめざして~学びを支える就学支援制度

 依然厳しい経済状況の中、家庭の経済力による子どもの学力への影響、いわゆる教育格差の問題が指摘されています。

 そこで、教育委員会ではかねてより、経済的な理由により教育費の調達が困難な保護者に対し、様々な制度を通してその負担軽減を図っています。

 ◎就学援助制度

 市川市立の小・中学校において、学用品費や給食費、修学旅行費等、学校教育に必要な費用の支払いが困難な保護者を対象に、その一部を援助する制度です。

 対象者は、生活保護を受けている、または、それに準ずる程度に経済的にお困りの保護者です。

 申請手続きは、各学校の事務室にある申請書に所定の事項を記入し、必要な添付書類を添えて学校に提出します。その後、教育委員会での審査を経て、学校を通して認定の可否をお知らせします。
 
大畑一枝氏
 
大畑忞氏

 ◎入学準備金貸付制度

 高校、専修学校(2年以上の専門課程)短大、大学に入学を希望する方の保護者で、入学準備金の調達が困難な方に、その一部を無利子でお貸しする制度です。

 申請手続きは、合格発表の前でも行うことができますので受験する学校が決まりましたら、早めに所定の書類を揃え、就学支援課までご持参ください。

 ◎奨学資金制度

 学力が優良でありながら、経済的な理由で高等学校、高等専門学校への修学が困難な方に対し、奨学資金を給付する制度です。

 この奨学資金制度は、市費とともに、昨年もこの欄でご紹介しました、「*大畑忞教育基金」を財源としています。

 *大畑忞教育基金
 基金の名称となっている大畑忞氏は、明治から大正にかけ信篤小学校初代校長として、市川教育の発展に寄与されました。その孫にあたる大畑一枝氏も、長年にわたり教壇に立たれ、祖父忞氏の遺志を生かすため、多くの遺産を本市の子どもたちの教育のために使ってほしいと遺言を残されました。

 こうしていただいた寄附により、市川市は平成元年に「大畑忞教育基金」を設立しました。現在では、この奨学資金制度に加え、市川市立学校の教材整備にも活用されています。

 各制度は、いずれも所得制限等の応募資格・条件がありますので、詳細につきましては教育委員会のHP、または、就学支援課までお問い合わせください。

 (2013年9月28日号)ホームページ 「人をつなぐ 未来へつなぐ」リスト

◆第29回◆

地域ぐるみで子どもたちを育てる
~コミュニティサポート事業

 ○教育の共有化

 子どもたちを取り巻く環境は、近年大きく変化しています。こうした状況の中で、子どもたちの心身を健やかに育むためには、学校における教育だけではなく、家庭・学校・地域がそれぞれの役割と責任を自覚しながら、地域全体で教育に取り組む体制づくりが必要です。

 市川市ではかねてより、「教育の共有化」を旗印として、家庭や地域の教育力の組織化を図っていますが、その中核となる事業が、平成15年度に開始された「コミュニティサポート事業」です。

 これは、「子どもたちの健全育成」「子どもたちを支えるコミュニティづくり」「生涯学習社会の創造」という3つのねらいの実現を目指す取組で、市内全小中学校に設置されている「コミュニティサポート委員会」では、自治会、子ども会等の地域住民や地域団体の代表者が集まり子どもたちを健やかに育むための地域社会構築のために、活発な情報交換や意見交換をしています。  
地域の方による授業支援


 ○学校支援の活性化

 この事業において現在最も力点を置く取組が「学校支援」です。

 これは、地域住民がボランティアとなり、学校の様々な教育活動を支援するものです。「学習」「部活動」「環境整備」「学校行事」「安全・安心」等、支援の内容も多岐に渡っています。

 この学校支援の活性化のために、学校と地域のパイプ役となるのが「学校支援コーディネーター(以下学校支援C)」です。

 これは、地域の情報に詳しい方を対象に教育委員会が委嘱するもので、学校側のニーズを把握し、それに合った地域の人材を探し、学校に紹介するという役割を果たします。今年も4月に委嘱状交付式が行われ、市内20校に25名の学校支援Cが誕生しました。 地域住民である学校支援Cは、教職員のような異動がありませんので、活動の継続性が期待できます。また、学校支援の窓口が明確になるので、ボランティア志望の方々にも役立ちます。

 この学校支援システムは、支援される学校だけでなく、支援する側の地域住民にとっても、生きがいや仲間作りにつながります。そして、生き生きとした地域住民による、子どもたちを地域ぐるみで育成する地域コミュニティの実現にも結び付くものであると期待しています。ぜひ、皆さんのお力もお貸しください。

 (2012年8月25日号)ホームページ 「人をつなぐ 未来へつなぐ」リスト

◆第28回◆

伸ばそう! 子どもの力
~入学応援プログラム

 若い親世代の抱える、子育てについての不安やストレスの増大が社会的な問題になっています。

 そうした中、教育委員会では、保護者同士が子育てに関して情報交換をし、学び合う場として、各学校に家庭教育学級を設置し、その運営を支援しています。
菅原氏の講演


 ○子育てコーチング

 通常は各学校単位で開催されている家庭教育学級ですが、今年の2月には、公民館との共催事業として、小学校入学を控えるお子さんの保護者を対象に「子育てコーチング講座」を開催しました。

 これは、保護者同士がコーチングの手法(子どもの力を引き出す働きかけ)を学びながら親睦を深めることで、安心してお子さんの入学を迎えられるようにする事を目的としたもので、講演を中心とした理論編とワークショップによる実践編の2本立てにより構成されています。
ワークショップの様子


 ○子どもの力を引き出そう

 今回の講座は、「子どもの幸せな自立」を目指すNPO法人ハートフルコミュニケーションの協力により行われました。

 男女共同参画センターでの初日には、百名以上の参加者が詰めかけ、同法人代表の菅原裕子氏の講演が行われました。

 「子どもの自分で考え行動する力を伸ばすには、どのようなサポートが必要か」
 「私の話を鵜呑みにするのではなく、自分の子育ての軸をもつことが大事」といった説得力あふれるお話に、参加した皆さんは時間の経つのも忘れて聞き入っていました。

 2月後半の実践編は、市内2か所の公民館を会場として、それぞれ同じ小学校に入学予定の保護者を対象に、「入学準備ワークショップ」と題して開催されました。同法人認定講師の福田潔子氏を中心に、子どもに対する具体的なコーチングの方法について実践的に学びました。

 参加者からは、「親同士がお話できてとても参考になった」「気持ちが楽になり子どもにもゆとりをもって接することができるように思う」といった、満足感に満ちた感想が寄せられていました。

 今後も未就学児童の保護者対象の「めぐみ家庭教育学級」や各公民館では、家庭教育や子育てに関連した講座を積極的に計画しています。皆様のご参加をお待ちしています。

 (2012年7月28日号)ホームページ 「人をつなぐ 未来へつなぐ」リスト

◆第27回◆

「生き物の成長や動きを実感しよう
~企画展『いきものの成長』」

 ○企画展開催中

 みなさんは「青少年相談員」という名称を聞いたことがありますか?

 現在、市川自然博物館では、十二月一日までの予定で、企画展「いきものの成長」を開催しています。

 この企画展では、展示室に数多くの飼育ケースや水槽を並べ、様々な生き物を、できるだけ卵や幼虫の段階から飼育する事により、生き物の成長過程も含めて観察することができるようにしています。

生き物の飼育展示
 ○実感! 生き物の成長

 今回の企画展の大きなねらいは、まさに企画展のテーマのとおり、生き物の「成長」を実際に見て実感してもらうということです。

 展示室では、おたまじゃくしがカエルになり、ヤゴがトンボになり、卵からかえった小さなバッタが立派なトノサマバッタになります。こうした生き物は、成長のサイクルが短いので、何度か来館していただくことで、短期間で成長を実感する事ができます。

 ○「飼育展示」で生き物の動きを

 この企画展のもう一つのねらいは、「飼育展示」によって、生き物の実際の動きを見てもらうということです。

 博物館では通常、生き物の標本や剥製を展示しています。

 ツバメとスズメの剥製を見比べてみますと、ツバメの足が華奢であることに気付きます。これは、飛行することに特化したツバメの生態からくる特徴です。

 このように、標本や剥製による展示方法は、様々な生き物の特徴を観察するのに適しています。

 しかし、こうした展示方法では、その生き物の体の各部が、実際にどのように動くのかを知ることはできません。

 たとえば、ナナフシという昆虫は、その前足をまるで「手」のように動かすことができます。これは、生きているナナフシを観察しない限り、知ることはできません。こうした興味深い生き物の実際の動きを伝えることのできる手法が、今回の「飼育展示」です。

 ○今の時代に合った自然学習を

 かつては、こうした生き物は、身近にいくらでも生息していました。しかし現在では、子どもたちの身近に生き物を捕れる場所はほとんどなく、家庭での飼育もままなりません。

 今の時代に合った自然学習の形を考え提供することは、自然博物館の重要な使命です。長田谷津という、市内有数の自然環境に隣接する地の利を生かした今回の企画展。ぜひ、ご覧ください。

 (2013年6月22日号)ホームページ 「人をつなぐ 未来へつなぐ」リスト

◆第26回◆

学校のICT化をめざす新たなコンピュータシステムの導入

 教育センターでは授業におけるICT(情報通信技術)活用の推進・充実を目指し、市内全校のコンピュータを入れ替えるとともに、ICT機器や学習支援システムを新たに導入しました。

 ここでは、今回導入した機器やシステムの多彩な機能と、その活用により期待される学習効果等について紹介します。
書画カメラ


 ○電子黒板機能付きプロジェクター、書画カメラ

 これらの機器を使用することで、子どもたちのノートや作品、資料を大きくスクリーンやテレビに映し出し、さらにその画面上に文字や図形を書き込むこともできます。

 子どもたちの視覚に訴えながら、授業を多様に展開できるようになることから、学習内容への興味・関心を高めることができます。

 また、子どもたちが自分の考えを発表したり、話し合ったりする際にも活用できるため、表現力やプレゼンテーション力の向上にも効果が期待できます。
映像活用でわかりやすく
 ○学習支援システム

 このシステムには各教科の学習で利用できる映像資料やドリル教材など、様々なデジタル教材が収められています。

 ドリル教材では、解決のヒントが提示され、間違えた問題への再チャレンジも可能です。子どもの理解度に応じて問題が提示されることから、自分のペースで学習を進めることができます。

 また、動画やアニメーションを取り入れた教材、ネイティブの発音を聴くことができる英会話教材なども収められており、手軽に利用することができます。

 ○学校図書館管理システム

 このシステムにより、市内各校の蔵書をどの学校からも手軽に検索することができるようになり、これまで以上に学校間の図書の貸借がスムーズになります。

 子どもたちが読みたい本、必要とする本を選べる機会も広がり、学校図書の一層の有効活用を図ることができます。

 教育センターではこれらの機器やシステムが効果的に活用され、子どもたちの学力向上につながるよう、これからも各学校のサポートに努めていきます。

 (2013年5月25日号)ホームページ 「人をつなぐ 未来へつなぐ」リスト

◆第25回◆

子どもたちとのふれあいを通して
~教育委員交流会事業~

 ○教育委員が学校へ

 市川市では、平成20年度より、教育委員が市内の各学校を訪問して児童生徒や保護者と交流し、その意見等を広く市川の教育に活かすことを目的とした「教育委員交流会事業」を実施しています。

 交流会は、各学級での学習参観を中心としたもの、児童集会等の学校行事を中心としたもの、あるいは、保護者の方々との交流など、各学校の特色や工夫を活かした多様な内容で行われています。

 ○小学校での交流会

 北方小学校は、長年にわたり健康教育に力を入れて取り組んでいる学校です。

 交流会当日は、食育に関連した6年生の家庭科の授業を参観した後、子どもたちと一緒に給食を食べながら歓談し、その後、代表児童との意見交流会を行いました。

 そこでは、「家庭科の授業」「クラスや友達」などをテーマとした活発な意見交換が行われました。教育委員の質問に対し、笑顔ではきはきと答える子どもたちの、素直で元気な様子がとても印象的な交流会でした。

 交流会を終え、教育委員の皆さんは、正しい生活習慣がしっかりと身についた6年生の姿に、大変感心していました。

給食を共にしながら
 ○中学校での交流会

 第一中学校での交流会では、最初に1年生から3年生まで全ての学級での授業の様子を参観しました。どの学級においても、生徒一人一人がとても落ち着いた態度で学習に取り組んでおり、委員の皆さんも好感をもたれていました。

 生徒会役員との交流会では、「生徒会活動と学校行事」「将来の夢」など、幅広いテーマのもと、熱のこもった話し合いが展開されました。

 教育委員の皆さんは熱心に生徒の思いに耳を傾け、自らの将来について真剣に考える生徒たちに対し、人生の先輩として温かいメッセージを送っていました。

 ○市民に身近な教育行政を

 交流会事業は、平成24年度末までに、市内全ての市立学校で実施されました。

 教育委員が、各学校の教育活動を参観し、実際に児童生徒とふれあい、子どもたちや保護者の思いや願いを知ることは、本市の教育の充実を図る上で、大変に意義のあることです。

 教育委員会では、今後も様々な機会を通して市民の意見や要望を把握することで、市川教育の発展につなげることができるよう、努めてまいります。

 (2013年4月27日号)ホームページ 「人をつなぐ 未来へつなぐ」リスト

◆第24回◆

よりよい環境で充実した学習を「いちかわ市民アカデミー講座」

 ○大学で学ぼう
 
 毎年、受講生の皆さんからご好評をいただいている「市民アカデミー講座」。
 
 これは、市内にキャンパスを構える和洋女子大学、昭和学院短期大学、千葉商科大学の3大学の協力により、市民の方々を対象に、大学の教室を会場とした学習機会を提供し、その成果を、今後の地域活動に生かしていただくことを目的としたものです。
 
 先月、無事閉講式を迎えた24年度のコースでも、各大学が、その特色を生かした「年間学習テーマ」に沿った10回の講座を開設し、2百名以上の受講生にご参加いただきました。
気分は大学生
 
 なお、各大学の24年度「年間学習テーマ」は次の通りです。
 
 ◆和洋女子大学
 「響きあうパワー」
 
 ◆昭和学院短期大学
 「心豊かに生きる」~みつめなおす~
 
 ◆千葉商科大学
 「市川学(その2)」~市川の人 過去・現在・未来~
 
 ○多彩な講座内容
 
 各大学での講座の中から、その一部をご紹介します。
 
 ◆和洋女子大学
 「サブカルチュアと若者力~流行語・絵文字の今昔」
 岩下裕一氏(日本文学・文化学類教授)
 
 現代の流行語や絵文字と伝統文化の関連性を、豊富な資料から分析しました。
 
 『新しい感覚の表現や仲間言葉、流行語等には、言葉の省略など、古い時代の表現法との共通性がある。また、絵文字などにも、江戸時代の言葉遊びの伝統が引き継がれている』
 
 ◆昭和学院短期大学
 「お菓子の魅力」
 前田文子氏(人間生活学科講師)
 
 お菓子について文化という視点から幅広く考察しました。
 
 『お菓子の起源と変遷について、日本の弥生時代、海外のメソポタミア文明まで遡って紹介。日本は「煮る」、西洋は「焼く」という文化の違いがある。また小麦粉や卵といった素材の調理法を調理学的に解説』
 
 ◆千葉商科大学
 「市川の国分寺の風水と南北軸決定法」
 横尾廣光氏(商経学部客員講師)
 
 古代史について、天文学の視点から見直しました。
 
 『古代では南北軸が重視、神聖化されており、方位は地面に立てた棒の影から導き出した。ピラミッドや長安の街路等は正確な南北軸に沿って作られている』
 
 25年度も、4月下旬から5月上旬に、市の広報紙やホームページ等で受講生を募集する予定です。皆様のご応募をお待ちしています。


 (2013年3月23日号)ホームページ 「人をつなぐ 未来へつなぐ」リスト

◆第23回◆

学校と地域をつなぐ~学習支援クラブ

 ○地域の力を学校に

 本市では「人をつなぐ未来へつなぐ」を教育理念として、家庭・学校・地域が連携した教育を推進しています。そして、その一環として行われているのが、市川市教育委員会独自の取組である「学習支援推進事業」です。

 これは、各学校に保護者や地域の方々を中心とした「学習支援クラブ」を組織して、ボランティアや講師として学校の学習活動を支援していただくというもので、各学校では、この事業を積極的に活用し、地域の特色を生かした学習活動に取り組んでいます。

 こうした学習の中で、子どもたちは、様々な分野における専門家の技や知識、そしてその生き方等に直接触れることにより、日頃味わうことのできないような感動を得ることができています。そして、その体験は、子どもたちに夢を与え、「生きる力」を育成することにも大きな役割を果たしています。

 併せて、子どもたち、教職員、保護者、地域の方々等、人と人をつないでいく重要な役割も担っています。

落語教室
○地域は人材の宝庫

 学習指導要領の重点である「伝統や文化に関する学習の充実」に関連する学習においても、地域教育力は積極的に活用されています。

 たとえば、卒業生である落語家を招いての「落語教室」では、落語を聴いて楽しむだけでなく、子どもたち自身が落語に挑戦し、発表会を開いて友達や保護者に聴いてもらう中で「言葉で伝える」ことの楽しさ、大切さを学んでいます。

 また、地域の専門家を講師とした筝などの和楽器の演奏や、書道、華道、茶道などの伝統文化の体験学習、中学校における柔道の指導への、有段者による支援なども行われています。

 他にも、梨づくりの作業や海苔漉き体験などを通した地域の産業についての学習や、豊かな心を育むために、道徳の時間に地域の方を招いて、「戦争体験」や「いじめと人権」等についてお話をしていただくような学習も年々充実してきています。

○2万人の協力者

 事業担当課による集計では、毎年延べ2万人以上の地域の方々に各学校の教育活動にご協力いただいております。皆様のご支援に深く感謝いたします。

 家庭や地域の教育力の重要性が再認識される中、教育委員会では、これからも「学習支援クラブ」の活動がより一層充実するよう努めてまいります。


 (2013年2月23日号)ホームページ 「人をつなぐ 未来へつなぐ」リスト

◆第22回◆

学校巡回展~実感!地域の歴史

 ○学校巡回展

 市立考古博物館・歴史博物館では、展示物や収蔵物を、子どもたちの学習に直接活かしてもらうために「学校巡回展」を実施しています。

 これは、学芸員が学校を訪問し、持参した博物館所蔵の古文書や生活関連資料、市内出土の土器、化石等の実物資料を使い、授業の中で展示・解説をしたり、子どもたちが直接触れたりしながら学ぶことができるようにする取り組みです。
絵地図に見入る生徒達


 ○行徳〜塩づくりで栄えた町

 福栄中学校では、歴史博物館の学芸員による、江戸時代の貴重な古地図や古文書から、地域の歴史を読み解く学習を行いました。

 絵地図からは、かつての行徳では塩田による塩づくりが盛んに行われていたこと、現在でも使われている道路が江戸時代からのものであることなどを読み取りました。

 また、古文書からは、行徳が徳川家康の指示により塩づくりを任された特別な地域であり、民家や寺社が密集した、大変に栄えた町であったことを知ることができました。
 
13万年前の貝殻
 ○宮久保~大昔は海の底だった

 宮久保小学校では考古博物館の学芸員による「大昔、宮久保小は海だった」という展示と解説を行いました。

 昨年八月、同校での工事の際、プール北側から多くの貝殻が出土しました。調べたところ、深さ200mまでの海に住む約13万年前の貝であることがわかりました。

 現在は海から5㎞以上離れている宮久保小も、大昔は海の底であったということを、子どもたちは出土したばかりの貝殻という、最新情報をもとに学ぶ事ができたのです。

 このように、本物の資料を間近に見たり、手に取ったりしながら実感をもって歴史を学ぶことは、自分たちが住む地域をよりよく知り、愛着をもつことにつながります。

 博物館には、他にもたくさんの教育的価値をもつ資料が収蔵されています。これらの資料は、先人が残してくれた貴重な財産です。

 博物館では、これからも「学校巡回展」を通して、一つ一つの資料の持つ価値や魅力を引き出しながら、教科書だけでは学べない歴史の面白さを、子どもたちに伝えていきます。

 (2013年1月26日号)ホームページ 「人をつなぐ 未来へつなぐ」リスト