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<205> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「おでん〜『おでんさむらい』より」

 今回の物語は『おでんさむらい』(作・内田麟太郎、絵・西村繁男、くもん出版)です。

 この絵本のシリーズは「ちくわのまき」「しらたきのまき」「こぶまきのまき」「ひやしおでんのまき」とありますが、ここでは「しらたきのまき」を紹介します。

 へんてこざむらいのひらたおでん。おとものカブトムシのかぶへいを従えて、お花見をしています。そこに、がらの悪いさむらいにからまれて、困っている女中をみかけます。さぁ、ひらたおでんとかぶへいは、どうするのでしょう。さむらいをやっつけるのに役に立つのは、おでんに入っていた「しらたき」です。とっても勇敢ですが女性にはちょっと弱い、ひらたおでんのキャラクターが楽しい絵本です。江戸時代の食文化を学べるきっかけにもなると思います。

 学校給食でも、寒くなるこの時期、おでんが給食に登場します。給食では子供たちが食べやすいように、具を小ぶりにして提供しています。日本の食卓にすっかりおなじみのおでん。地方によって味付けも具も少しずつ違うようです。写真のおでんは、九州風に鶏肉と牛すじも入れて作ってみました。

材料(4〜6人分)
【おでんのだし汁】
・水1.5㍑
・かつお節15㌘
・昆布30㌘
・調味料(薄口しょうゆ60cc、みりん60cc、砂糖大さじ1杯、塩小さじ3分の1杯)
【おでんの具】
・大根
・卵
・こんにゃく ・しらたき
・さつま揚げ ・はんぺん
・ちくわ ・じゃがいも
・結び昆布 ・鶏肉
・牛すじ
などをお好みで


作り方
①分量の水に、切り込みを入れた昆布を入れて30分以上ひたし、火にかけて沸騰させないように、昆布に泡が付くくらい煮る。昆布がやわらかくなったら取り出す。続いてかつお節を入れ、5分程度じっくり弱火で煮てだしをとり、こす。
②大根を2㌢程度の輪切りにする。さつま揚げなどの揚げ物は食べやすい大きさに切り、熱湯をかけて油抜きする。卵はゆでて殻をむく。他の具も食べやすい大きさに切る。
③ ①のだし汁に調味料を入れ、大根、昆布など味の染み込みにくいものから先に入れてじっくり煮込む。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・古賀裕喜子

 (2013年12月21日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<204> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「かぼちゃのスープ」~『かぼちゃのスープ』より

 今回のお話は『かぼちゃスープ』(ヘレン・クーパー作・絵、せなあいこ訳、アスラン書房)です。
 
 森の中の家で、世界一おいしいかぼちゃスープを作る仲良し3匹のネコとリスとアヒル。スープ作りの役割は決まっていて、ネコが切り分け、リスがかき混ぜ、アヒルが味付け。
 
 ところがある朝、アヒルが言った。「ぼくがスープをかきまぜる」。それから始まる大げんか。ついにアヒルは、家を飛び出し、スープを作る時間になっても戻ってこない。ネコとリスが2匹で作ったけれど、なんだかおいしくない。アヒルはどこへ行ってしまったのだろう。3匹の友情とスープの味は元に戻るのか。
 
 この絵本は、寒い冬に飲むかぼちゃスープのように、優しく心が温かくなる絵本です。最後には、「やっぱり友情っていいなぁ」と思えるお話です。
 
 今回は、絵本を読んだら必ず飲みたくなる温かいかぼちゃスープのレシピを紹介しましょう。

材料(4人分)
・カボチャ 300㌘
・タマネギ 1/2個(100㌘)
・バター 20㌘
・水カップ 1杯
・スープの素(固形) 1個
・牛乳 カップ2杯
・塩 小さじ1/6杯
・こしょう 少々
・生クリーム 大さじ2杯
・パセリ 少々
・刻んだくるみ 少々

作り方
①カボチャから種を除いて適当に切り、皮をむく。5~6㍉の厚さの薄切りにする。
②タマネギを薄切りにする。
③鍋にバターを溶かし、タマネギを中火で透き通るまで炒め、カボチャを加えてさらに炒める。
④水、スープの素を入れ、ふたをして弱火でカボチャがやわらかくなったら、火を止めて冷ます。
⑤あら熱がとれたら牛乳の半量を加え、ミキサーにかける。
⑥再び鍋に戻し、残りの牛乳を加えて火にかける。塩、こしょうで調味し、火を止める。器にとり、生クリーム、きざんだパセリ、くるみをちらす。

千葉伝統料理研究会市川支部・箕輪正美

 (2013年12月7日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<203> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「緑のブロッコリースープ」~『不思議の国のアリス』より

 今回のお話は『不思議の国のアリス』です。
 
 イギリスの数学の教授が、友人の娘アリスを主人公にして「ルイス・キャロル」のペンネームで書いた2つの物語の1つです。
 
 アリスの不思議な旅は、チョッキを着て、時計を持った、しゃべりながら歩く白ウサギを追いかけて、ウサギ穴に飛び込んだ時から始まります。おしゃべりをするネズミやイモムシ、魚やカエルなどと出会います。ティーパーティーでは、なぞなぞをしたり、ハートの女王やトランプの兵と出会ったり…。
 
 その旅の中で、「ウミガメスープ」という唄が登場します。
 
 「すてきなスープ たっぷり緑 あついおなべでまってるよ だれがのまずにいられるかい 夕げのスープ すてきなスープ 夕げのスープ すてきなスープ…」
 
 そこで、今回は旬のブロッコリーを使ったスープをご紹介します。「ウミガメスープ」をイメージした、たっぷり緑色の鮮やかなスープです。少しずつ冬を感じるこの季節。体を温めてくれる「すてきなスープ」はいかがでしょうか。

材料(4人分)
・サラダ油 小さじ2杯
・ブロッコリー 200㌘(小さめ一房)
・ジャガイモ 100㌘(小1個)
・タマネギ 1/2個
・牛乳 3/4カップ
・水 3カップ
・コンソメ 7㌘
・塩 一つまみ
・こしょう 少々
・クルトン 少々
・生クリーム 80cc

作り方
①ブロッコリーを子房に分け、柔らかくゆでる。
②ジャガイモをイチョウ切りにし、水にさらしておく。タマネギを薄切りにしておく。
③鍋に油を熱し、タマネギを炒め、しんなりしたらジャガイモと分量の水を入れ、柔らかくなるまで煮て火を止める。さらにブロッコリーを加えてミキサーにかけ、なめらかにする。
④ ③を鍋に移し、コンソメ、牛乳を加える。弱火で3分程煮込み、塩・こしょうで味を調える。仕上げに生クリームを加える。器に盛り、クルトンを加える。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・永畑佳恵

 (2013年11月16日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<202> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「大きなかぶのポトフ」~『おおきなかぶ』より

 おじいさんが、甘い大きなかぶを作ろうとかぶを植えました。そして、とっても大きなかぶができました。
 
 おじいさんは「うんとこしょ どっこいしょ」と抜こうとしますが抜けません。おばあさんを呼んで、一緒にかぶを引っぱりますが、それでも抜けません。まご娘、犬、猫と増えるたびに「うんとこしょ どっこいしょ」…それでもかぶは抜けません。ネズミも加わって「うんとこしょ どっこいしょ」…そして、やっとかぶが抜けました。
 
 とても有名なロシア民話のお話です。犬や猫などの動物たちが増えるたびに繰り返される「うんとこしょ どっこいしょ」などの単純な掛け声の繰り返しが子供たちにも人気です。
 
 みんなが力を合わせてとった大きなかぶ。どんな料理になるのか楽しみですね。
 
 今回は『おおきなかぶのポトフ』などとして給食で出している野菜たっぷりのポトフを紹介します。寒い日に温かい料理は体も温まりますね。
 
材料(5人分)
・かぶ 2個
・ソーセージ 5本
・タマネギ 1/2個
・ジャガイモ 1個
・ニンジン 1/2本
・キャベツ 3枚
・ブロッコリー 1/2房
・コンソメ 1個
・水 3カップ
・塩こしょう 少々

作り方
①かぶ、ソーセージ、タマネギ、ジャガイモ、ニンジン、キャベツを好みの大きさに切る。
②ブロッコリーを小房に分けてサッと茹でる。
③水にコンソメとニンジンを入れて煮る。
④ニンジンがやわらかくなったら、タマネギ、かぶ、ジャガイモ、キャベツを加えて煮る。
⑤さらにソーセージを入れ、塩こしょうで味を整える。
⑥彩りにブロッコリーを加えて出来上がり。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・菅谷純子

 (2013年11月2日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<201> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「カップケーキ」~『はらぺこあおむし』より

 『はらぺこあおむし』(偕成社、エリック・カール作・絵、もりひさし訳)は、小さな青虫が色々な物を食べて大きく成長し、最後には美しいチョウになって飛び立っていくお話です。鮮やかな色彩が印象的なこの絵本は、絵の具で着色した薄紙を切り貼りするという独特の手法で描かれています。ページをめくるたびに青虫が食べた穴の数が増えていく仕掛けもあり、眺めているだけでとても楽しい気持ちにしてくれます。
 
 今回は、絵本の中で青虫が食べたカップケーキとして給食で出しているメニューを紹介します。給食では材料のジャムに市販品を使いますが、電子レンジを使うと手軽に作れるので、春はイチゴ、夏はブルーベリー、秋はナシ、冬はリンゴなど、季節の果物を使ってジャムを手作りしてもよいでしょう。

材料(6個分)
・ヨーグルト(プレーン) 150㌘
・ホットケーキミックス 250㌘
・卵1個
・上白糖25㌘
・無塩バター30㌘
・お好みのジャム80㌘
・マフィンカップ6個

作り方
①オーブンを180度に予熱しておく。卵を室温に戻し、バターを湯せん(または電子レンジ)で溶かしておく。
②ボールに入れたヨーグルトを、ホイッパーで滑らかになるまで混ぜる。
③別の容器に卵を割りほぐし、砂糖、溶かしバターを加えてよく混ぜる 。
④ ②③を混ぜ合わせ、ホットケーキミックスを加えてさっくりと混ぜ、ジャム(飾り用に少し取り置く)を生地に加え混ぜ合わせる。
⑤カップの8分目まで生地を流し、残しておいたジャムを上に飾る。
⑥天板に並べ、180度で20分焼く。
※温度と時間はご家庭のオーブンに合わせて調節してください。


千葉伝統郷土料理研究会市川支部・城文子

 (2013年10月19日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<200> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「柿のみぞれあえ」~『さるかに合戦』より

 「さるかに合戦」は「かにむかし」「さるかに」など、いろいろな題名、内容で伝わってきた日本の有名な昔話です。
 
 柿の種を手に入れたカニは、何とかして早く育てようと「早く芽を出せ柿の種 出さんとはさみでほじくるぞ」と歌います。柿もそんなふうにされてはかなわないと、慌てるようにしてどんどん育ち、真っ赤に熟れた実を付けます。
 
 その後、その柿を独り占めしたサルは、カニの子どもや仲間になった栗などから仕返しされ、散々な目に遭いますが、仲間になる方法、仕返しの仕方も本によって様々なので、読み比べると面白いと思います。
 
 今回は、柿を使った「みぞれあえ」をご紹介します。この料理には熟れた柿よりも少し硬めのものが向いています。

材料(4人分)
・大根 70㌘
・柿 40㌘
・リンゴ 40㌘
・キュウリ 50㌘
・きくらげ 3㌘
・合わせ酢
 ・酢 大さじ3杯
 ・上白糖 大さじ2杯
 ・塩 一つまみ

作り方
①大根をおろして水気を軽くきる。
②柿、リンゴを細い短冊切りにし、塩水につけておく。
③キュウリも細い短冊切りにし、塩一つまみ(分量外)をふってから、水気をしぼる。
④きくらげを水で戻してから湯通しし、冷ましてから千切りにする。
⑤酢を温めて砂糖、塩をよく溶かし、合わせ酢を作る。
⑥食べる直前に具材と⑤をあえる。


千葉伝統郷土料理研究会市川支部・田中紀子

 (2013年10月5日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<199> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「みたらしだんご」~『だんごどっこいしょ』より

 今回の物語は『だんごどっこいしょ』(ポプラ社、作・大川悦生、絵・長谷川知子)です。
 
 「ばぁちゃん、ただいま。『どっこいしょ』こさえておくれ」。お遣いから帰った「ぐつ」は、おばあちゃんにお願いをします。「ばかだね、おまえ。どっこいしょなんてもの、世界中探したってありゃあしない」。「あるある。おばさんとこで食べたんだ。甘くて辛い、どっこいしょだ」。
 
 ぐつがお遣い先で食べてきた物はお団子です。それがどうして、ぐつの中で「どっこいしょ」になってしまったのでしょう。ぐつがおいしそうにお団子を食べる絵がとてもかわいらしい絵本です。
 
 物語のお団子は「甘くて辛い串団子」です。今回は、豆腐と白玉粉を半分ずつにまぜて作った白玉団子に、みたらしのたれをかけてみました。
 
 学校給食では、豆類に多く含まれるカルシウムや鉄分、マグネシウムなどの栄養素を補給するため、生揚げや豆腐などの豆製品をよく使います。白玉を作るとき、水で練る代わりに豆腐を使うと、やわらかい食感で、すっきりした味わいになります。しかも低カロリーで、豆腐の栄養もバッチリ! ご家庭でも簡単に作れます。お子さんと一緒に楽しみながら作ってみて下さいね。

材料(4~6人分)
【団子】
 ・白玉粉200㌘
 ・絹ごし豆腐230㌘
【みたらしのたれ】
 ・しょうゆ大さじ3杯
 ・砂糖大さじ4杯
 ・みりん大さじ2杯
 ・片栗粉大さじ1杯
 ・水大さじ5杯

作り方
①豆腐をくずしながら白玉粉と混ぜ、つぶつぶがなくなり、耳たぶくらいの硬さになるまで良く練る。
②直径2㌢くらいの団子状に丸め、火が通りやすいように真ん中をくぼませる。
③沸騰した湯に白玉を落としてゆで、ゆで上がったら冷水にとる。
④みたらしのたれを作る。鍋に材料を全部入れて、弱火でとろみがつくまでかき混ぜる。
⑤皿に白玉団子を盛り、みたらしのたれをかける。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・古賀裕喜子

 (2013年9月21日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<198> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「きらきらゼリー」〜『ルルとララ』より

 ルルとララのおかしやさんシリーズの本(あんびるやすこ作・絵、岩崎書店)は、低学年に人気があります。お菓子の作り方だけでなく、食べる人のことを考えて作るので、2人のアイデアや工夫が広がって愛情たっぷりのおいしいお菓子ができあがります。読んでいると、幸せな気持ちでいっぱいになると同時に、思わず「ごっくん」とつばを飲み込んでしまいます。

 そのシリーズの中から今回紹介するのは『ルルとララのきらきらゼリー』です。

 森の妖精から、妖精の女王様のお誕生パーティーの注文が入りました。それは、「食べられる宝石」です。ルルとララは、ゼリー作りに挑戦します。緑のエメラルドやキラキラ光るダイヤモンドのようなゼリーは、まるで本物の宝石のよう!

 女王様のいっとう好きな宝石は、ダイヤモンドと星形の光をやどらせる「スターサファイア」です。2人は、女王様がいっとう好きな「食べられる宝石」を作ることができるのでしょうか。

 給食では、色とりどりのサイコロゼリーにフルーツを合わせて作っています。

 こよみの上では秋ですが、まだまだ暑い日が続きます。キラキラ輝くゼリーは、味も見た目もさわやかで、涼しさを誘います。皆さんも食べる人のことを思いながらゼリーを作ってみませんか。

材料(8人分)
◇ゼリー
・ゼラチン 4袋(20㌘)
・水 200cc
・レモン炭酸飲料 200cc
・メロン炭酸飲料 200cc
・グレープジュース 200cc
・リンゴジュース 200cc
◇シロップ
・水 80cc
・砂糖 40㌘
・白ワイン 10cc
◇果物
・ブルーベリー 40粒
・ブドウ 24粒
・梨 1/2個

作り方
①水、砂糖、白ワインを火にかけ、砂糖を煮溶かしてシロップを作り、冷やしておく。
②果物も冷やしておく。
③ボールにゼラチン1袋5㌘を入れ、50ccの水を振りかけて、5分おく。その後、電子レンジで30秒温める。
④ ③のゼラチン液が冷めたら、常温にしておいたレモン炭酸飲料を注ぎ入れて優しく混ぜ合わせ、平らな容器に移して冷蔵庫で冷やし固める。メロン炭酸飲料、リンゴジュース、グレープジュースも同じ手順で作り、冷やし固める。
⑤ ④のレモンゼリーをフォークで砕く。メロン、リンゴ、グレープのゼリーは1㌢のサイコロ状に切る。
⑥ブドウの皮をむく。梨の皮をむき、1㌢のサイコロ状に切る。ブルーベリーを洗う。
⑦カップに角切りにしたゼリーと梨とシロップを合わせたものを入れ、上に砕いたレモンゼリーをのせ、ブドウ、ブルーベリーを飾る。
※ゼリー液は野菜ジュースなど色々な飲み物で作れます。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・山口由紀子

 (2013年9月7日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<197> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「スナフキンのビーンズスープ」〜『ムーミン谷の夏まつり』より

 『ムーミン童話』は、ほのぼのとしたムーミン谷の仲間たちと、豊かで、時に厳しいフィンランドの自然が題材となっています。

 この中から今回取り上げる物語は、『ムーミン谷の夏まつり』(トーベ・ヤンソン作・絵、下村隆一訳、講談社)です。夏まつりといえば、日本では夏休みの期間に行われる「盆踊り」が身近ですが、フィンランドでは夏至のころに行われる「火祭り」を指します。物語では夏まつりの前日に、スナフキンが、あることから24人の小さな子供の面倒をみることになります。スナフキンは持っていたインゲン豆を子供たちに分けてあげます。インゲン豆は料理としてはもちろん、劇場への入場料としても登場しています。

 そこで、今回はスーパーでも売っているミックスビーンズを使い、簡単に作れる具だくさんのスープを紹介します。日本の夏は蒸し暑く、つい冷たいものばかりを好んで食べてしまいますが、時々は温かいスープで体を休めてくださいね。

材料(4人分)
・サラダ油小さじ2杯
・ベーコン4枚
・ジャガイモ大1個(150㌘)
・ニンジン1/2本
・タマネギ1/2個
・ミックスビーンズ(水煮)50㌘
・マッシュルーム水煮70㌘
・水3カップ
・コンソメ8㌘
・塩一つまみ
・こしょう少々
・パセリ1本

作り方
①ベーコンを1㌢幅に切る。
②ジャガイモを1~2㌢くらいの角切りにし、水にさらしておく。
③ニンジンを1㌢角に切る。タマネギを1㌢四方に切る。
④マッシュルームは水気をきっておく。
⑤鍋に油を入れ、ベーコンを炒める。
⑥次にタマネギ、ニンジン、ジャガイモを加え、全体に油がまわったら水を加えて煮る。
⑦野菜が柔らかくなったら、マッシュルーム、豆を加え、コンソメ、塩、こしょうで味付けをする。
⑧仕上げにみじん切りにしたパセリを加える。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・田中紀子

 (2013年8月17日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<196> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「りっちゃんのサラダ」~『サラダでげんき』より

 今回のお話は、『サラダでげんき』(福音館書店、文・角野栄子、絵・長新太)です。
 
 りっちゃんは病気になってしまったお母さんのために、何かいいことをしてあげたいと考えます。そこで、おいしいサラダを作ることにしました。
 
 キュウリ、キャベツ、トマトをお皿にのせたところで動物たちが次々とりっちゃんの家を訪れます。ネコはかつお節を入れたほうがいい、イヌはハムを入れたほうがいい…と、たくさんの動物たちがアドバイスをくれます。最後にはゾウが飛行機に乗って登場し、油と塩と酢をかけて仕上げをしてくれます。みんなが手伝ってくれたので、おいしいサラダができ上がりました。りっちゃんのお母さんはそのサラダを食べて元気になります。
 
 病気のお母さんのために元気になるおいしいサラダを作ってあげたいという、りっちゃんの優しい気持ちが、動物たちを通じてアドバイスをくれたのかなと感じられる絵本です。
 
 今回は、物語に出てくるサラダをほぼ忠実に再現したサラダをご紹介します。キュウリやトマト、トウモロコシなど夏野菜がたっぷり入っています。ぜひ、作ってみてください。

材料(4人分)
・キャベツ 3枚
・キュウリ 1/2本
・ニンジン 5㌢
・ハム 2枚
・トウモロコシ(缶詰でもよい) 30㌘
・トマト 60㌘
・塩昆布 2㌘
・かつお節 2㌘
・調味料
 ・サラダ油 大さじ1杯半
 ・酢 大さじ1杯
 ・砂糖 大さじ1/2杯
 ・塩こしょう 少々

作り方
①キャベツを短冊切り、キュウリを千切り、ニンジンを千切りにして、さっとゆでて冷ます。
②トウモロコシをゆでて冷ます。缶詰は汁をきっておく。
③ハムを短冊切りにして炒めておく。
④トマトを角切りにする。
⑤調味料を混ぜ合わせ、ドレッシングを作る。
⑥ ①~③を⑤のドレッシングであえる。
⑦最後にトマトと塩昆布、かつお節を入れてあえる。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・菅谷純子

 (2013年8月3日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<195> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「ピザ」~『ピッツァぼうや』より

 今回のお話は、『ピッツァぼうや』(ウィリアム・スタイグ作、木坂涼訳、セーラー出版)です。
 
 この絵本は、ピートを楽しい気分にさせるために、お父さんがピザ作りをヒントに考えた遊びのお話です。読み終わると心がポッと温かくなる絵本です。お父さんの真似をしてピザ作りをしたら、楽しい気分になれるかもしれません。
 
 絵本の中にピザは出てきませんが、今回は「本当に作ったらこんなピザが出来上がるかも」というようなピザをご紹介します。
 
 ピザを生地から作るのは少し大変なので、市販のナンを使います。ピザトーストとはまた違った食感を味わえますよ。
 
 ピザソースは、保存すればピザトーストなどにも使えるので、今回は少し多めの10人分の分量で紹介します。

材料(2人分)
・市販のナン2枚
・ドライサラミ30㌘
・ピザチーズ40㌘
・オリーブオイル 大さじ2杯
・ニンニクひとかけ
・タマネギ中1個
・ピーマン中1個
・塩少々
・こしょう少々
・トマトピューレ100㌘
・トマトケチャップ100㌘
・ウスターソース大さじ1杯

作り方
①ニンニクをみじん切り、タマネギを縦半分に切り、スライスする。サラミを3㍉の厚さに、ピーマンを千切りにする。
②鍋にオリーブオイルを入れ、ニンニクを入れて加熱する。
③ニンニクに少し色がついたらタマネギを入れて炒める。
④塩、こしょう、トマトピューレ、ケチャップ、ウスターソースを入れ、ピーマンを入れて少し煮る。
⑤ナンに④のピザソースを塗り、ドライサラミを乗せてピザチーズを散らす。
⑥オーブントースターを温めておき、⑤を入れて2~3分焼く(ご家庭のトースターに合わせて時間は調整してください)。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・奈良坂早苗

 (2013年7月20日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<194> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「きび団子汁」と「桃ゼリー」〜昔話『桃太郎』より

 ♪「桃太郎さん 桃太郎さん お腰につけた きび団子 一つわたしに下さいな」。

 日本の昔話「桃太郎」の童謡・唱歌の一節です。

 桃太郎は、お婆さんが作ってくれた 日本一のきびだんごを3つ持ち、鬼ヶ島に鬼退治に向かいます。途中、犬、猿、キジが現れて、桃太郎に「一つください」と言いました。桃太郎はきびだんごをどのように分けたのでしょうか、鬼退治はできたのでしょうか。大人たちは知っていると思いますが、意外と知らない子供もいるんですよ。

 今回は、桃太郎にちなんだメニューとして給食に取り入れているきび団子汁と桃ゼリーを紹介します。

 黄色い粒のもちきびは、甘いコクのあるうま味があります。食生活で不足しがちな食物繊維、鉄分、マグネシウムが豊富です。団子の彩りもよくなり、プチッとした食感も楽しめます。

きび団子汁の材料(4人分)
《きび団子》
・きび(粒) 20㌘
・白玉粉 40㌘
・水 35cc
《汁》
・鶏もも肉(こま切れ) 40㌘
・油揚げ 1/2枚
・里芋 60㌘(塩少々)
・ゴボウ 20㌘
・ニンジン 20㌘
・ダイコン 80㌘
・干しシイタケ 1枚
・小松菜 60㌘
・ネギ 20㌘
・水 5カップ
・かつお節 10㌘
・薄口しょうゆ 大さじ1杯
・塩 小さじ1/2杯
・酒 小さじ2杯

作り方
①熱湯で5分ゆでたきびに白玉粉、水を加えてよくこね、耳たぶくらいのやわらかさにして8等分に丸める。沸騰した湯に入れ、浮き上がって1~2分したら冷水に取り、水気を切っておく。
②水5カップを火にかけ、沸騰直前にかつお節を入れて煮立ったら火を止める。しばらくしてかつお節が沈んだら布巾でこし、だし汁4カップをとる。
③ダイコンとニンジンをイチョウ切り、干しシイタケを水で戻して千切りにする。ゴボウを笹がきにして水にさらし、あくを抜く。油揚げは熱湯をかけて油抜きをしてから千切りにする。里芋は皮をむき、厚めのイチョウ切りにして塩でもんだ後、水で流してぬめりを取る。小松菜は3㌢の長さに切り、ネギは小口に切る。
④だし汁に鶏もも肉、ニンジン、油揚げ、ゴボウ、干しシイタケ、ダイコン、里芋を加えて煮込む。あくは取り除く。
⑤作っておいたきび団子を入れて温め、酒としょうゆ、塩を加えて味を調える。
⑥小松菜、ネギを加え、火を止める。

桃ゼリーの材料(4人分)
・白桃缶詰1/2カット 4個
・桃ジュース 100cc
・水 100cc
・白ワイン 大さじ2杯
・砂糖 大さじ2杯
・ゼラチン 5㌘(水 大さじ1杯)

作り方
①大さじ1杯の水でゼラチンをしとらせておく。
②桃ジュース、水、白ワイン、砂糖を煮立てたら火を止め、①のゼラチンを加えてよく溶かす。
③好みの型に桃、ゼリー液を流し入れ、冷蔵庫で冷やして固める。


千葉伝統郷土料理研究会市川支部・山口由紀子

 (2013年7月6日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<193> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「カステラ」〜絵本『ぐりとぐら』より

 今月は子供たちの大好きな絵本『ぐりとぐら』(福音館書店)から、「かすてら」の紹介です。「ぐり」と「ぐら」は、青と赤のとんがり帽子をかぶった野ねずみです。2人は、料理をすることと食べることが大好き。ある日、おいしい食べ物を探しに森に行くと、道の真ん中に大きな卵が落ちていました。2人はどんな卵料理にしようか考え、相談の結果「かすてら」を作ることに。しかし大きな卵をどうやって持って帰ったらよいのやら…。続きはぜひ絵本を読んでみてください。

 学校では読書週間に、絵本に出てくる料理やデザートを給食の献立に入れています。ぐりとぐらの「かすてら」は大人気。リクエストが多いデザートです。学校では、一人分をマドレーヌカップに入れて焼きあげます。大量で、しっかり卵を泡立てられないので、ベーキングパウダーも使います。おいしくするため、バターもたっぷり入れています。

材料(8個分)
・小麦粉120㌘
・砂糖 120㌘
・ベーキングパウダー小さじ1杯
・卵3個
・バター 100㌘
・レモン汁 小さじ1杯

作り方
 ①オーブンを170℃で予熱する。
 ②小麦粉、ベーキングパウダーをボールに入れて2回ふるいにかける。
 ③バターを溶かしておく。
 ④卵を割りほぐして砂糖を入れ、白っぽくなるまで泡立て器で混ぜる。
 ⑤ ④の卵液の中に②と③とレモン汁を入れ、つやが出るまで混ぜる。
 ⑥マドレーヌカップに流し入れ、カップの底を軽くたたいて生地の気泡を抜く。
 ⑦オーブンに入れて15分焼く。竹串で刺して、生地がつかなければ出来あがり。
 ※オーブンの機種によって焼き時間が変わってきます。オーブンの取り扱い説明書をよく読んでください。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・森幸子

 (2013年6月15日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<192> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「アサリが入ったおだんごスープ」
〜絵本『おだんごスープ』より

 「おばあさんがつくってくれたおだんごスープがのみたいなあ」。ひとりぽっちになったおじいさんは、おだんごスープをつくりはじめました。すると「ドアのそとで、小さな足音がトトト」。…そして、おじいさんは思いました。「おばあさんのスープはもっとおいしかったなあ」(偕成社『おだんごスープ』=文・角野栄子、絵・市川里美=より抜粋)。

 さて、トトトと足音をたてていたのはだれ? おじいさんは元気になるの? おいしいスープはできるの?と、先を読んでみたくなる絵本です。絵がとてもリアルで、おじいさんが明るい表情になっていく姿が「みんなで食べるのが一番」と言っているようにも見えます。

 今回は、おじいさんのスープの肉団子に旬のアサリを混ぜたポトフ風の「アサリが入ったおだんごスープ」を紹介します。

 学校給食では、鉄分豊富なアサリをよく使います。炊き込みご飯やシチュー、かきあげ、スパゲティーなどにも入れます。

 ご家庭で、殻つきのアサリがたくさん手に入った時は、冷凍保存をお勧めします。砂抜きをしたアサリを丁寧に洗い、殻つきのまま冷凍します。調理する時はそのまま使え、栄養も損なわずに食べることができます。

材料(5人分)
肉団子の材料
・豚ひき肉 200㌘
・アサリのむき身 80㌘
・卵 1個
・しょうが汁 少々
・ネギみじん切り 16㌘
・塩こしょう 少々
・片栗粉小さじ 2杯
その他の材料
・ジャガイモ 2個
・ニンジン 1/2本
・タマネギ 1個
・ネギ 1/2本
・コンソメ 2個
・塩こしょう 少々
・しょうゆ 大さじ2杯
・水 5カップ
・バター 少々

作り方
①肉団子の材料をすべて入れて練る。スプーンを使って食べやすい大きさに丸める。
②ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、ネギを好みの大きさに切っておく。
③水5カップにコンソメを入れ、沸騰したら①を入れ、肉団子が浮いてきたら取り出しておく。
④ジャガイモ、ニンジン、タマネギを③に入れ、火が通ったら肉団子とネギを加える。 ⑤塩こしょう、しょうゆで味を調える。香りづけのバターを落とす。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・谷地智恵

 (2013年6月1日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<191> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

「オムライス」
~『給食室の日曜日』より

 「いつもなら、専用の棚にしまわれている調理器具たちも、日曜日は自由に遊んでいます。明日は、今年最後の給食の日です。そして、いつもみんなをピカピカに磨いてくれたおばちゃんが引退する日です。それを知った調理器具たちは、お世話になったお礼に、おばちゃんが大好きなオムライスを作る事に…」。講談社の絵本『給食室の日曜日』(作・村上しいこ)のお話です。
 
 学校の給食室の調理器具も、もしかしたらお休みの日は、みんなで楽しく何かおいしい物を作っていたりするかもしれませんね。
 
 給食では、半熟卵は出す事ができないので、薄焼き卵をかけるタイプのオムライスです。でも、お家で作るのなら、柔らかいトロッとした卵がのせてあるオムライスが食べたいですよね。今回は、調理器具たちが作ったオムライスを少しアレンジしてご紹介します。

材料(2人分)

・米1カップ
・パプリカ小さじ1/2杯
・バター5㌘
・鶏もも肉細切れ70㌘
・酒小さじ1杯
・ニンジン3㌢
・エリンギ小1個
・タマネギ小1個
・サヤインゲン5本
・塩小さじ2/3杯
・コショウ少々
・トマトケチャップ大さじ2杯
・ウスターソース小さじ1杯
・卵2個
・牛乳1/2カップ
・油適量

作り方

①米を研ぎ、水とパプリカを入れて炊く。炊き上がりにバターを入れて混ぜる。
②タマネギをみじん切り、ニンジン、エリンギをさいの目に切る。インゲンをゆでて小口切りにする。
③鶏肉に酒をふっておく。
④フライパンでタマネギを炒め、肉、ニンジン、エリンギを順に入れて炒める。
⑤塩とコショウ、ケチャップ、ソースを入れて味を調える。ご飯を入れて混ぜ、インゲンを入れる。
⑥卵を溶いて牛乳を加える。フライパンに油をひいて、卵を流して半熟卵を作る。ケチャップライスを皿に盛り付けて卵をかける。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・奈良坂早苗

 (2012年5月18日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<190> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

抹茶蒸しパン

たぬき焼きおにぎり
〜『分福茶釜』より

 「ブンブクブンブク音がする。夜中に何だか音がする。屑屋もむくむく起きだして、のぞいて見たら驚いた。見れば狸に違いない。さては化けたなこいつめと…」

 群馬県館林市の茂林寺に伝わるお話「分福茶釜」の一節です。同寺の境内には、この一節が書かれた石碑が建てられています。

 茶釜に化けたまま元に戻れなくなった狸は貧乏な屑屋の男に助けられ、その恩返しに見世物小屋で芸をしてお金を稼いだり、いくらくんでも湯がなくならない福を分けるという茶釜になったり、さまざまな昔話になって語り継がれています。新緑の季節、甘納豆を狸の目・鼻・手・足に見立てた「抹茶蒸しパン」や、揚げ玉入りの「たぬき焼きおにぎり」を持って行楽に出かけるのはいかがでしょう。お人よしでお調子者の狸が、お腹を空かせて出てくるかもしれません。

「抹茶蒸しパン」

材料(10個分)
・ホットケーキミック ス200㌘
・牛乳150㏄
・卵1個
・甘納豆80㌘
・アルミカップ10個
・抹茶大さじ1杯

作り方
①卵を割り、牛乳を加えてよく混ぜる。
②ホットケーキミックスと抹茶を合わせてふるい、①に混ぜる。
③甘納豆を①に半分混ぜ、カップに分けて入れる。半分の豆は上に飾る。
④蒸気の上がった蒸し器で15分蒸す。

「たぬき焼きおにぎり」

材料(5個分)
・ご飯500㌘
・小ネギ4本
・揚げ玉大さじ4杯
・桜エビ大さじ3杯
・かつお節4㌘
・ゴマ大さじ1杯
・タレ(しょうゆ大さ じ2杯とみりん大さ じ2杯)、または麺 つゆ

作り方
①小ネギを小口に切る。
②鍋に揚げ玉、桜エビ、かつお節、ゴマを入れ、焦げないように中火で乾煎りする。香りが出たら弱火にする。
③タレを少し残して②に加える。小ネギを加え、よく混ぜたら火を止める。
④温かいご飯に②を混ぜ、平たいおにぎりを作る。残したタレを片面に塗り、クッキングシートを敷いて並べ、オーブントースターで10分焼く。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・高橋恵美子

 (2012年5月4日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<189> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

キャベツのスープ
〜『3びきのくま』より

 3匹の親子のクマと、小さな女の子のお話です。女の子が、留守中のクマの家に勝手に入り、テーブルの上にあった子グマのスープをひと口パクリ。おいしかったので全部食べてしまいました。お腹がいっぱいになり、子グマのベッドで寝てしまったところに、クマの親子が帰ってきて…。この続きは、ぜひ絵本を読んでみてください。『3びきのくま』の絵本は数種類ありますが、今回は福音館書店の絵本(文・トルストイ、絵・バスネツォフ)を参考にしました。
 
 今週は、女の子がおいしく食べてしまったスープの紹介です。どの絵本にも、どんなスープかは書かれていませんが、私の学校では給食で人気のあるキャベツのスープを、3びきのくまのスープとして紹介しています。
 
 キャベツは、風邪予防や疲労回復に効果的なビタミンC、腸内環境を改善する食物繊維が豊富です。スープにして加熱すると、甘味が増しておいしくなります。給食では彩りも考えてコーンとニンジンを入れています。

材料(4人分)
・キャベツ 300㌘
・タマネギ中 1/2個
・ジャガイモ 小1個
・ニンジン 20㌘
・ホールコーン 30㌘
・塩小さじ 1杯
・こしょう 少々
・コンソメ顆粒 12㌘
・しょうゆ 小さじ1杯
・炒め油 適量
・水 3カップ

作り方
①キャベツの葉を太目の千切り、軸を細めの千切りにします。
②ジャガイモを厚さ1㌢㍍のいちょう切り、タマネギを薄くスライスしておきます。ニンジンを薄くスライスして千切りにしておきます。
③ジャガイモとニンジン以外の野菜を、鍋で少量の油を熱してから炒める。油が野菜になじんだら水を入れて中火で煮ます。アクが出たら取り除き、コンソメ、ジャガイモ、ニンジンを入れて煮ます。
④ジャガイモが煮えたら、塩、コショウ、しょうゆで味を整えて出来上がりです。
※コンソメはメーカーによって塩分が違うので、塩で味を加減しましょう。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・森幸子

 (2013年4月20日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<188> 本となかよし給食~物語にちなんだ料理

リンゴとサツマイモのパンケーキ
〜『パンケーキをたべるサイなんていない?』より

 桜色の春を迎え、心も踊る4月を迎えました。

 今年度のテーマは「本となかよし給食」です。絵本や民話・童話に出てくる料理や食材を学校給食でアレンジした料理を紹介していきます。登場する本にも興味を持ち、手に取ってもらえると大変うれしいです。

 「朝ごはんを食べていたら大きなむらさきいろのサイが、わたしのパンケーキを食べた。でもママもパパもわたしの話をまったくきいてくれない…。次の朝、サイを見に動物園に行った。すると…」。さて、この後は、どうなったのでしょう?

 この本は、平成24年度の課題図書『パンケーキをたべるサイなんていない?』(BL出版)です。最後にピンクのシロクマくんも登場しますが、サイやシロクマのせりふはありません。しかし、絵に込められた動物の感情は、大きなメッセージとなって私たちの心に訴えかけてきます。

 今回は、サイが食べたパンケーキをイメージした「リンゴとサツマイモのケーキ」を紹介します。甘酸っぱいパンケーキは子供たちにも人気の一品です。リンゴやサツマイモはビタミンや食物繊維が多く、学校給食ではよく使う食材です。

材料(5人分)
・リンゴ 半分
・サツマイモ 100㌘
・干しぶどう 13㌘
・ラム酒少々
・薄力粉80㌘
・ベーキングパウダー 2・5㌘
・砂糖大さじ 3・5杯
・豆乳大さじ 2杯
・卵 1個
・バター 30㌘
・粉糖少々(トッピング用)

作り方
①リンゴをいちょう切り、サツマイモを1・5㌢㍍の角切りにする。干しぶどうを千切りにし、ラム酒を振っておく。
②溶かしバターに砂糖、卵、豆乳を入れよく混ぜる。
③あらかじめふるいにかけておいた小麦粉とベーキングパウダーを①の材料とともに②に加え、さっくりと混ぜる。
④天板(15㌢㍍×20㌢㍍)にクッキングシートを敷いて③の生地を流し入れ、170度のオーブンで20分くらい焼く。
⑤パンケーキを切り分け粉糖を振る。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・谷地智恵

 (2013年4月6日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<187> 給食に登場する全国の郷土料理

「桜えびのかき揚げ(静岡県)」

 春の気配も感じられ、桜の便りが心弾ませるころとなりました。今年度は「学校給食に登場する、全国の郷土料理から食文化を見つめてみよう」をテーマに紹介してきました。全国各地には、すばらしい郷土料理がたくさん伝えられており、私たち学校栄養士もそれを再確認してきました。

 最後に紹介する料理は、桜えびを使った「かき揚げ」です。静岡県の駿河湾では、桜えび漁を行うのは資源確保のため春と秋だけで、その採れたての桜えびでかき揚げが作られてきました。生の桜えびは傷みやすいので、素干しや釜揚げ(塩ゆで)にされます。素干しはお好み焼きや焼きそばの具になり、釜揚げは大根おろしとも合います。かき揚げには両方とも使えます。

 学校給食では、桜えびご飯や桜えびのスープとしても登場します。今回は、千葉県が誇るニンジンとタマネギを合わせた、桜えびの赤い色が引き立つ彩りの良いかき揚げを紹介します。
※参考文献『郷土料理』(ポプラ社)

材料(5人分)
・桜えび 100㌘
・タマネギ 1個
・ニンジン 1/2本
・ゴボウ 1/3本
・三つ葉 1/2束
・小麦粉(薄力粉) 1カップ
・卵 1個
・冷水 1カップ
・揚げ油 適量

作り方
①小麦粉をふるいにかけ、冷蔵庫に入れて湿気をとる(さくっと揚げるため)。水も冷やしておく。
②タマネギを縦半分にして薄切り、ニンジン、ゴボウを同じ長さの千切りにし、ゴボウは水にさらしてあくを抜き、水気をきっておく。三つ葉は洗って根を落とし、2~3㌢㍍の長さに切る。
③衣を作る。ボールに卵と冷水を入れてよく混ぜ、その中に小麦粉を入れてさっくりと混ぜる。
④ ②の野菜と桜えびを③の衣に入れ、全体に衣が回るようにさっくりと混ぜる。混ぜ過ぎるとぼてっとした感じになってしまうので注意する。
⑤170℃の油におたまを使って④を落とす(ばらばらにならないようにまとめる)。
⑥底が固まったらひっくり返し、均等に揚がるように2、3回ひっくり返してから頃合いを見て引き上げる。
⑦器に盛り付け、好みで天つゆやレモン、塩を添えていただく。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・谷地智恵

 (2013年3月16日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<186> 給食に登場する全国の郷土料理

「太巻き祭りずし「桃の花」(千葉県)」

 太巻き祭りずしは昔、上総地方を中心に祭りなどたくさんの人が集まる時に作られていました。大切な米が一番美しく見えるように米を作る農家の人々が工夫して考え、今日に伝えられている巻きずしです。包丁で切ると切り口からいろいろな文様が現れます。

 昔は甘辛く煮た「ずいき(芋がら)」を巻いていたようですが、「かんぴょう」が一般に手に入るようになってからは、かんぴょうを使うようになり、赤く染めて祝い事や祭りの時に作られるようになったそうです。

 時代の変化と共に食生活も大きく変わり、巻きずしの材料も単純な限られたものから様々な食材を取り入れた華やかなものに変わっていきました。1970~80年代にはニンジンやホウレン草、シイタケ、漬物が使われるようになり、味にも変化が見られるようになりました。この頃には「チューリップ」や「けしの花」などの自然をモチーフにしたものや、男の子の顔を巻いた「正ちゃん」、3本の細まきを巻いた「三色ずし」など、生活に密着した文様の巻ものが作られていました。最近ではフィッシュソーセージやチーズも使われるようになり、文様は100種類以上になります。今回は今の季節にぴったりの文様「桃の花」を紹介します。

材料(1本分)
・すし飯(白) 300㌘
    (ピンク)125㌘
・海苔(全形) 1枚
   (4分の1)5枚
・ホウレン草(ゆでたもの、20㌢)5本
・スティックチーズ2本

作り方
①巻きすに、4分の1の海苔を横に置き、ピンクのすし飯25㌘をのせ、その上に白すし飯15㌘を重ね、巻きすを持ち上げ、巻きすの中で転がすようにして、細巻きにする。これを5本作る。

②巻きすにラップを敷いて片手にのせ、中央に細巻きを1本置き、その両側に細巻きを1本ずつのせ、中央のくぼみにスティックチーズを2本置く。チーズの上に細巻き2本をのせて、軽く巻く。

③細巻きと細巻きの間のくぼみに、ホウレン草を1本ずつ置いて、ラップにくるんだまま巻いておく。

④巻きすに全形の海苔を縦長に置き、上下1・5㌢㍍残して、白すし飯約180㌘を広げ、中央に③で作った細巻きの花を置く。巻きすを90度回転させてから、くるむように持ち上げて片手で持ち、上部のすし飯が空いている部分に残りのすし飯をかぶせ、巻き上げる。濡れ布巾で両端を整え7等分に切る。

 ※すし飯(ピンク)は、市販のすし粉を使うと簡単に作れます。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・川口敬子

 (2013年2月16日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<185> 給食に登場する全国の郷土料理

「しもつかれ(栃木県)」

 栃木県を代表する郷土料理のしもつかれ(「しもつかり」ともいう)は、2月の初午の日に、赤飯とともにわらづと(わらでつくった容器)に入れて稲荷神社に供え、五穀豊穣・商売繁盛を祈願した行事食です。

 材料は、正月に食べて残った塩鮭の頭、大根、ニンジン、油揚げ、節分の残り豆、酒かすなどです。味付けは家によってさまざまで、それぞれの家に昔から受け継がれてきた家庭の味があります。大根、ニンジンをおろすのに「鬼おろし」は欠かせない道具です。これは竹製の目の粗いおろし器で、竹の歯が鬼の歯を連想させることから「鬼おろし」と呼ばれています。

 「しもつかれ」という呼び名は、下野(しもつけ)の国の食べ物ということから付けられたとか、酢が入った食べ物の「すむつかり」が元の名などともいわれています。「七軒の家のしもつかれを食べると病気にならない」などの言い伝えがあり、隣近所の人と分け合う風習があります。食料が乏しかったかった時代に庶民が生み出した「知恵の結集」で、優れた栄養価の高い郷土料理です。

材料(4人分)
・塩鮭の頭 1尾分(ない場合は切り身2切れ=160㌘)
・炒り大豆 1カップ
・大根 1/2本
・ニンジン 1/2本
・油揚げ 1枚
・酒かす 100㌘
・昆布 10㌢㍍
・水 4カップ
・酢 大さじ1杯
・しょうゆ 少々

作り方
①昆布の汚れを取り、水で戻す。戻し汁ごと鍋に入れて火にかけ、沸騰直前に昆布を取り、昆布だしを作ります。
②大根、ニンジンを鬼おろしでおろし、油揚げを短冊切りに、塩鮭の頭(または切り身)をひと口大に切ります。
③鍋に塩鮭の頭、昆布だし、酢を入れ、ふたをしないで煮込みます。
④おろした大根、ニンジン、炒り大豆、油揚げを入れ、酒かすも少しずつちぎって加えて、弱火で1時間ほど煮込みます。
⑤汁気がなくなるまで煮込み、最後にしょうゆを加えて味を調えます。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・小田中三津子

 (2013年2月2日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<184> 給食に登場する全国の郷土料理

「せんだご汁(熊本県)」

 「だご汁」は主食にもなる汁物で、熊本県内各地で作られています。その中でも、天草地方に伝わる「せんだご汁」にはサツマイモが使われています。昔からサツマイモはほとんどの家庭で栽培され、色々な料理に使われていたそうです。

 本来は、サツマイモやジャガイモを水の中にすりおろし、沈んだでんぷんと、すりおろした時に残った繊維を混ぜて作った団子(だご)を汁の具とします。寒い季節に旬の野菜をたくさん使って煮込んだ「せんだご汁」は、心も体もポカポカとあたたかくなる郷土料理です。
※参考文献『郷土料理』(ポプラ社)

材料(4人分)
・サツマイモ150㌘
・食塩0.1㌘
・でんぷん大さじ4杯
・鶏もも肉(こま切れ)40㌘
・ニンジン40㌘
・大根80㌘
・ゴボウ20㌘
・白菜80㌘
・干しシイタケ2㌘
・油揚げ20㌘
・ネギ20㌘
・煮干し6㌘
・薄口しょうゆ小さじ2杯半
・酒小さじ1杯半

作り方
①煮干しの頭とわたを取り、2~3つに折って、水550ccに30分浸してから、中火にかけてだし汁を作る。あくを取りながら5分ほど沸騰させ、煮干しを取り除く。
②サツマイモの皮をむき、いちょう切りにして完全につかる量の水に塩を加えてゆでる(ゆで汁はとっておく)。水気を切り、熱いうちにつぶし、でんぷんを加える。ゆで汁で固さを調節しながら、耳たぶくらいの固さによくこねて棒状にまとめ、1㌢㍍くらいの厚さに切る。
③大根とニンジンをイチョウ切り、干しシイタケを水で戻して千切り、ゴボウを笹がきにして水にさらし、あくを抜く。油揚げは熱湯をかけて油抜きをしてから千切り、ネギは小口切り、白菜は短冊に切る。
④だし汁に鶏もも肉、ニンジン、油揚げ、ゴボウ、干しシイタケ、大根、白菜を加えて煮込む。あくは取り除く。
⑤酒としょうゆを加え、②の団子を加える(団子が浮いてくるまで)。
⑥ネギを加える。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・永畑佳恵

 (2013年1月19日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト

<183> 給食に登場する全国の郷土料理

「すき焼き風煮(神奈川県)」

 すき焼きのおいしい季節です。きょうは、少し手軽に「すき焼き風煮」を味わいませんか?

 牛肉は、いまから150年程前の徳川時代末頃から食べられていたそうです。牛鍋という形が一般的でした。

 横浜の開港後、牛鍋に欠かせない牛肉は、食パン・牛乳・アイスクリーム・ビールなどと共に人々の好むところとなりました。

 横浜の港町には外国人がたくさんいたので、その影響で肉類が盛んに食べられていました。牛鍋は、それまで食べる習慣がなかった牛肉を日本人が庶民の味として食べるようになった最初の料理であり、文明開化の味と言えます。あの福沢諭吉も牛肉びいきだったそうです。

 当時は、焼いた牛肉をみそとネギで煮込んだみそ仕立てでした。後にこの牛鍋と、鋤の鉄で出来ている部分を焚き火にかざして肉を焼く「すき焼き」が混ざり合って、今日の「すき焼き」になったとされています。その他、すき焼きの名前の起源は、魚を薄く切ってそれをだし汁で食べる「魚すき」という料理から来たとも言われています。

 牛肉のたんぱく質は50~60度の熱で変色してきます。この頃が軟らかくておいしいです。煮すぎると収縮して硬くなるので注意してください。

 また、しらたきやコンニャクを入れて食べるときは、含有されるカルシウムで牛肉が硬くなり、色も悪くなってしまうことがあるので、肉をある程度食べた後から入れるように気をつけましょう。

 「すき焼き風煮」は、手鍋などで先に調理してから食べるので手軽です。関東式のすき焼きは、ごてごてと野菜を入れないのが本格的なものとされ、せいぜいネギが入るくらいですが、今回は肉だけでなく、野菜の栄養素も一緒に取れるようにしました。ぜひ、味わってみてください。

 ※参考文献『郷土食の料理集』(社団法人全国学校栄養士協議会)、『新版調理と理論』(同文書院)


材料(4人分)
・牛肉薄切り 200㌘
・焼き豆腐 160㌘
・根深ネギ 80㌘
・エノキタケ 40㌘
・しらたき 120㌘
・シュンギク 20㌘
・上白糖 12㌘
・薄口しょうゆ 32㌘
・油、本みりん、酒 適量

作り方
①鍋に油を熱し、牛肉を炒める。
②砂糖、薄口しょうゆ、本みりん、酒を絡ませ、焼き豆腐、ネギ、エノキタケを加えて煮含める。
③しらたき、シュンギクを加えて味を整え、ひと煮立ちしたら火を止める。

千葉伝統郷土料理研究会市川支部・高坂朋子

 (2013年1月3日号)ホームページ 「おいしく食べよう」リスト