浦安のまちの変貌のきっかけとなった「黒い水事件(本州製紙江戸川工場事件)」から50年。浦安市郷土博物館は11月1日から12月14日まで、同事件を振り返り、浦安の歩みや埋め立ての変遷を見つめ直す企画展「おらんハマのゆくえ」を開く。豊かな東京湾再生とこれからのまちづくりのきっかけとなることを望んでいる。
同展では、黒い水事件当時の新聞記事や記録文書を展示し、事件の概要と埋め立てへの流れを漁師の体験談を交えて伝えるとともに、失われてしまった県内各地の漁師町風景を写真で紹介する。半世紀にわたる京葉ベイエリアのまちづくりと変貌は、写真家・澤本吉則さんの航空写真全65点で示す。
講演会も企画。3日(午後2時―同4時)は「失われた東京湾の風景―林辰雄氏撮影の写真より」(県立中央博物館・白井豊主席研究員)、16日(同)は「本州製紙江戸川工場事件と東京湾埋め立て開発史」(東京農工大大学院・若林敬子農学府国際環境農学教授)、30日(同)は「目で見る京葉ベイエリアの変貌」(澤本さん)の予定。定員は各50人。
9日(同)は学芸員講座として「史料で見る浦安の歴史―黒い水事件と漁業権放棄への決意」(同郷土博物館・林奈都子主任学芸員)を開く。定員は20人。学芸員による展示開設の博物館ガイドは1日、23日、12月7日の午後2時から同2時半まで。定員は各15人。
いずれも事前申し込み制。申し込みは同博物館(рR05・4300番)。入場無料。開館は午前9時半―午後時半。休館日は毎週月曜(祝日を除く)と祝日の翌日(11月4日、5日、25日、26日)、館内整理日(同28日)。
黒い水事件(本州製紙江戸川工場事件) 昭和33年、江戸川上流にあった本州製紙江戸川工場からの排水で江戸川河口の漁場が汚染され、魚介類に大きな被害を与えた。数度にわたる操業停止を求めたがかなわず、6月10日に漁民が工場に押し掛け、乱闘事件に発展。この事件を契機に、日本初の公害対策の法律「水質保全法」と「工場排水規制法」が同年12月に制定された。浦安は事件後、漁業継続への不安が深刻化し、漁業権放棄と埋め立てを決意した。同37年に漁業権を一部放棄、同40年に埋め立て開始、同46年に漁業権を全面放棄した。
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