市川市議会 9月導入の支援策可決
都内を意識 通期で24億円規模
50万人目は福栄の赤ちゃん
子育て世代流出の歯止めになるか

50万人目の市民として、田中市長(左)から認定証を贈られた悠吾くんを抱っこする両親
市川市の6月定例市議会が29日閉会し、小学校入学前までの「市川こども手当」と、認可保育園に通う2歳以下の「第1子保育料無償化」の補正予算案が可決した。4月の市長選で、対抗馬の女性候補が「子供が生まれると都内に転居する実態」を訴え、子育て支援施策が争点化。ただ、補正予算規模は約14憶2千万円、通期で24億円が見通され、世代間の不公平感も生じる。財政力のある都内自治体と張り合う姿勢に批判もあり、市民の納得が得られるか、効果の検証が求められる。
■保育園誘導回避
9月からの導入が決まった第1子の保育料無償化は、これまでの第2子以降の無償化を拡大し、認可保育施設に通う2歳以下の第1子を無償にする。
認可外保育施設の保護者への補助も拡充、幼稚園の満3歳児の預かり保育補助金も、保護者向けに新設した。
一方、市川こども手当は、保育園、幼稚園に通わせず、自宅で育児する小学校入学前までの子供に対しても、一人当たり月額1万5千円の手当を支給する。
こども家庭部の山室繁央部長は答弁で、「(保育料無償化と)同時に実施することで、保育園選択の偏りを抑え、(施策)全体のバランスを保つ」のが狙いとした。
幼稚園入園者が、無償化目当てで保育園に流れてしまうことに危機感を抱く、「幼稚園側の要望」(田中甲市長)にも応えた。
一連の支援策は、江戸川区をはじめ、近隣の都内自治体を強く意識しており、市長は「市川は子育てしやすいと感じてほしい」と説明する。
来春の市議選を控えた議会からは、子育て支援策そのものへの目立った反発はなかった。
しかし、田中市長の再選を決めた選挙公約には、J3スタジアム建設、市立高校新設、中核市移行など、多額の予算を伴うものが並び、今後、市民の監視が強まるのは避けられない。
■支援策は知らず
4月1日に人口50万人を達成した市川市は、「50万人目の市民」として、同日の午前11時頃、行徳支所で出生届を提出したという男の子を選び、6月8日にお祝いセレモニーを行った。
男の子は、勤務する銀行の転勤で沖縄から市川市に転入し、福栄の社宅に住む真境名慶吾さん(35)と、歌奈子さん(31)夫妻の長男で、3月24日生まれの悠吾ちゃん。
くす玉割りに続き、田中市長から認定証と記念品を贈られた父、慶吾さんは「狙ったわけではなく、たまたま4月1日に届けを出した。悠吾も喜んでいると思う」。
母の歌奈子さんは「子育ては大変なことも多いと思うが、がんばっていきたい」と、笑顔で話した。
異動期間が終われば、那覇市内の本店に戻る予定で、市川市の子育て支援策についても、知らなかったという。
■率直な意見が
5月23日、31日の2日間、「さらに子育てしやすい街いちかわへ」をテーマに、市内3カ所で、今年度のタウンミーティング(MTG)が開かれた。
23日午前の第1庁舎には、小さな子供の預かりスペースも設けられ、19人のお母さん、お父さんらが参加。市側は、田中甲市長と関係部署の幹部が対応した。
市長選後の田中市長の子育て支援策をアピールする場でもあったが、参加者からは、多角的な課題が率直に出された。
【子育て支援】
▼子供を預けるファミリー・サポート・センターが、依頼会員は増えているのに対し、受け入れ側が現役を引退したリタイア組中心で、マンパワーが足りず、機能していない▼保育園を休む際に、通勤前なのに電話での連絡が必要で、連絡帳も含め、保育園との連絡をICT化(LINEの活用などによる電子化)してほしい▼一時預かりの予約システムを「見える化」してほしい▼歩道でベビーカーを押していると、(整備状況が悪く)子供の頭が揺れて心配―。
【遊び場】
▼市北部に広い公園が少ない▼芝生や遊具があれば子供は飽きないが、市内に転居する際、不動産会社から、「この辺りは公園が少ない」と言われた▼子供が屋外で遊ぶのに、日陰が近くにない▼ぴあぱーく妙典へのアクセスが悪く、夏の暑い中、子供だけで行かせられない▼屋外の遊び場が少ないことが、体力テストのスコアが全国平均よりも低いことに、つながっているのではないか―。
【教育施設】
田中市長の1期目の目玉施策だった給食無償化の一方で、老朽化した小学校の建て替え問題が先送りされた▼学校に、和式トイレしかない▼図書館司書が非常勤。図書館の蔵書数の目標達成率を下げないよう、古い本を捨てさせないなどの問題がある―。
このように、タウンミーティングでは、日々の子育てをめぐり、潜在化している心配や要望が浮き彫りになり、改善策も提案された。
予算が必要なものの一方、仕組みを変えれば解決することもあり、今後の取り組みが試される。
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