地震と津波の被害を受けた方々に、お見舞いを申し上げます。
市川市と浦安市内の最新の情報については、市役所のホームページや登録者向けメール、市が発信するツイッターなどを参照して下さい。
命の守り方を学ぶ
美浜公民館で防災講演会
被災時に取ってはいけない行動などを紹介する和田さん
東日本大震災から3年を迎えるにあたり、浦安市美浜公民館は2日に防災講演会「災害時の地域コミュニティ」を開き、聴講した41人が命を守るための地域コミュニティの大切さと生死を分ける心理と行動を学んだ。
講師を務めた災害危機管理アドバイザー・和田隆昌さんは「千葉県エリアは小規模の地震が頻発している。東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の余震ということもあるが、地震活動活発化の可能性を考えないといけない。千葉県は全国でも最大の地震リスクを持つエリア」と指摘した上で、地域の人間とのコミュニケーション能力が自らを助けると訴えた。阪神・淡路大震災で倒壊家屋から助かった人の多くが近所の人によって助けられたのは、公的機関の支援は間に合わないためであるとして、和田さんは「自宅から半径50㍍以内に知人が少なくとも3人はいること。防災、消火訓練などには面倒でも参加すること」と求めた。
地震発生時に生死を分ける心理と行動については「根拠のない楽観主義者の声に耳を貸さない」「自分の避難行動が周囲の命を救う」と紹介。非常時、人間は「きっと大丈夫」という根拠のない自信が芽生え、多くの人と一緒であれば安心と決め込む傾向があるとし、「真っ先に避難行動を取ることを恥ずかしがらず、避難が無駄になることをためらわない強い気持ちを持つこと。その意味では防災リーダーは臆病な人が望ましい」と訴えた。
そのほか、被災時の家族の避難場所は1カ所ではなく複数確認すること、職場周辺の避難所を確認すること、通信手段が途絶えた時は避難所が情報収集場所になること、行方不明者を探すためには写真があった方がよいこと、情報収集においてラジオは地域FMが配給情報などを伝えるため役立つこと、アイマスクと耳栓が体力温存に必要な睡眠に欠かせないことなどを紹介した。
市川小、県内の小学校では初
健康教育推進の優秀校に
ヘルシースクールで体力向上
表彰状を手に喜ぶ同校の教諭たち
市川市立市川小(髙橋邦夫校長、児童数615人)がこのほど、日本学校保健会主催の「平成25年度健康教育推進学校表彰」で優秀校に選ばれた。同表彰で県内の小学校が優秀校に選ばれたのは初めて。市内では小・中・特別支援学校・高校を含めても初めての快挙となった。
全国の小・中・特別支援学校と高校を対象とする同表彰は、各市町村が推薦した学校の中から県教委が3校を県の代表に選定。各都道府県の代表校の中から、同保健会が小・中・特別支援学校・高校の部門ごとに、それぞれ最優秀校、優秀校、優良校を選んで表彰する。県内では平成14年度に大多喜町立西中、同22年度に神崎町立神崎中が優秀中学校としてそれぞれ表彰されているが、小学校はこれまで優良が最高。市川市内では全部門合わせてもこれまで優良が最高だった。
同市が子供たちの体力向上や食生活の改善などを目指して実施しているヘルシースクールの推進校である市川小は、始業前の短い時間を使って縄跳びやジョギングを行う「なわジョグタイム」、休み時間を使って子供たちがさまざまな競技に挑戦する「ミニスポーツ大会」を実施するなど、体力向上の取り組みが活発。こうした取り組みの成果は、近年の体力テストの結果にも如実に表れているという。
また、給食委員会、体育委員会、児童保健委員会の児童たちが、委員会ごとに調べた健康教育活動を発表する「すこやか会議」を毎年開催。そのほかにも食育の授業や歯磨き・手洗い指導などを充実させているという。
髙橋校長は「特別なことをしている意識はなかったので優秀校という結果に驚いている」と喜びを表現。同校で体力づくりの取り組みを担当している榎本貴之教諭は「取り組みは、その多くが伝統的にやってきたことであり、また、市内のほかの学校を参考にさせてもらったりもしている。優秀校は市川市全体の力だと思う」と話していた。
華やかな衣装着て颯爽と
和洋女子大 卒業制作ファッションショー
衣装を身に付け舞台上でポーズを決める学生モデルたち
市川市国府台の和洋女子大で2日、同大の4年生による卒業制作ショーが開かれ、ウエディングドレスや和服など華やかな衣装に身を包んだ学生たちが颯爽とステージ上を歩いた。
このショーは、服飾造形学類で学ぶ4年生たちが1年間かけて作り上げた衣装を、制作者や、制作者から依頼を受けた学生が身につけて披露。先月20日まで同大文化資料館で開かれていた卒業制作展に続き、今年の4年生が学習の集大成を披露する最後の舞台となった。
当日は、冷たい雨が降り注ぐあいにくの空模様だったが大勢の人々が来場。純白のウエディングドレスや深紅のカラードレス、春らしい華やかな色合いの和服、繊細な技術が光るニットドレス、奇抜なデザインのセットアップなどを身に着けた学生たちが登場するたび、会場からは拍手が上がっていた。スタッフとして協力した同学類3年生の齋藤瑞穂さんと栗山真衣さんは「先輩たちの衣装や堂々とした姿に感動した。来年に向けてやる気が高まった」と、早くも自分たちの制作ショーに期待を膨らませていた。
自ら制作したニットドレスを身に付けてショーにモデルとしても参加した高橋あきさんは「ゼミの仲間や先生などの協力があってこそ作ることができた作品。それを身に付けてショーに出られたことと、皆と最後まで頑張り続けられたことがうれしかった」と充実の表情。純白のウエディングドレスを制作して同じく自らモデルも務めた白井珠季さんは「大学に入る時から最後はウエディングドレスを作ろうと思っていたが、実際に作ってみると本当に苦労した。ショーを通して積極性や自信がついたので、この経験を今後に生かしたい」と笑顔を弾けさせていた。
県審議会 開店に「意見なし」
ダイエー浦安店(仮称)
駐車場出入り口追加は変更届で実施
浦安市が元町再整備事業を目的に取得した土地(北栄3丁目)を大手スーパーのダイエーが賃借してダイエー浦安店(仮称)を整備する計画で、千葉県は先月20日に大規模小売店舗立地法に基づく審議会を開き、同店の新設届に対して「意見なし」として手続きを終了した。ただし、市や浦安商工会議所、地域住民が懸念する交通事故や渋滞発生の解消策として同社が示した駐車場出入り口の増設案は審議対象に含まれていない。出入り口の増設は、同社が同法の変更届を提出して行う方針。開店日は5~6月ごろの見込み。
同社が設置する建物はスーパーと保育園・子育て支援施設との複合施設で、県道やなぎ通りと道路中央に白線がないほど狭い市道に面して建設中。駐車場収容台数は75台。営業は午前7時~同1時で、駐車場は営業時間に加え前後30分利用できる。駐車場出入り口は市道側1カ所のみ。同社設定の来店経路は、左折入出庫と周辺が住宅地であることを踏まえ、約4㌔四方を迂回。経路には市立北部小前も含まれる。
この新設届に対して県審議会は、同法の指針を満たし、適切な運営計画であると判断。県は意見なしとし、同店は開店が可能になった。ただし、同届に対して地域住民などからの多数の意見が出されたため、交通対策は「状況把握に努め、必要に応じ関係機関と協議のうえ適切な配慮をする」こと、店舗の維持・運営は「住民などの意見への対応報告を踏まえ、店舗周辺地域の生活環境の保持に適切な配慮をする」ことを求める付帯意見をつけた。
県意見なしの根拠の一つは同法に基づく「浦安市からの意見はなかった」こと。しかし、昨年9月、松崎秀樹市長は同社に対し「当初より来店車両に伴う交通問題が懸念されていた。小学校・幼稚園・保育園等の公共公益施設が立地する住宅市街地であり、児童などが安全に通学できる環境を維持する必要がある。現在の交通計画を再検証し、地域の状況や近隣住民などの意見を十分に踏まえ、円滑な交通処理が可能となるよう交通計画の見直しを強く要望する」という趣旨の要望書を提出している。
同社は要望書や意見を提出した市と地域住民に対し、交通課題を解消するために県道側に出入り口を増設する案をすでに提示。しかし、今回の審議対象に同案は含まれていない。審議会を傍聴した地域住民は「市長名で強い要望書が出ているのに、法律の手続き上の意見がないから問題なしと判断するのは理解できない」「出入り口を増やす変更について同社は『地元の意見を集約するための計画案。今後実施の可否を精査する』という。その前段階の計画で意見なしとなり、本当に取り組むのか不安」など、制度や今後について疑問視していた。
出入り口増設案では、保育園専用出入り口を店舗との共用とし、保育園専用の徒歩・自転車出入り口を設ける。地域住民への説明会は、関係機関との協議が整った上で開く。
なお、開店日は、出入り口増設を見越したことから、当初予定の3月5日より2~3カ月後を見込んでいる。
「スーパーより防災公園を」
市民団体が浦安市に署名提出
浦安市が元町再整備事業のために取得した土地(北栄3丁目、敷地面積約5300平方㍍)について、市民団体の浦安元町発展委員会は先月18日、同市とダイエーとの土地賃貸借契約の白紙撤回と防災公園の設置を求めて集めた署名934筆を同市に提出した。
同団体は「元町地区は消防車が通れない木造密集市街地がある。人口は市内の41%だが、小さな公園しかなく、大地震が発生した場合に避難できる大きな公園や広いスペースがない。新町や中町に比べて防災・減災の機能を持った広場や道路が極端に不足している」と現状を指摘したうえで、「新たなスーパー設置は通園・通学路の交通事故多発の懸念が大きい。元町に必要なのはスーパーではなく防災公園。平常時には元町唯一の広い緑の公園として憩いの場になる」と要望した。
署名は昨年8月以降に集めたもので、地域住民や在勤・在学者などによるものという。
“音楽の楽しさ お届け”
プロが小学校で直接指導
浦安市教委ミュージック・デリバリー事業
洋一郎さん(ピアノ)と子供たちが一緒にいきいきと合奏する(先月25日、美浜南小)
浦安市教委は先月25日と26日、子供たちに音楽の素晴らしさをプロが伝える事業「ミュージック・デリバリー」を市立美浜南小(4年生44人)と同明海小(5・6年生116人)で開いた。子供たちはプロが直接指導する授業で音楽の楽しさを味わっていた。
同事業は、地域のプロのミュージシャンが小学校に出向き、各ミュージシャンのオリジナルプログラムで子供たちに音楽への興味を深めてもらう地域交流プログラム。平成22~24年度は浦安市施設利用振興公社がおんかつ事業(公共ホール音楽活性化事業)を活用して進めてきたが、今年度からは市教委が同公社との協働で開始した。
講師はシンガーソングライターの洋一郎さんとピアニスト・高田有莉子さんの2人。洋一郎さんは音楽がどのようにできているかを、高田さんはピアノの魅力を伝えるプログラムを両校でそれぞれ行った。
洋一郎さんの授業では、ベートーベン『エリーゼのために』『運命』、パッヘルベル『カノン』を題材に、音楽の3要素であるメロディ、リズム、ハーモニーを楽しく説明。和音を半音上げるだけで悲しいメロディから楽しいメロディになる、音の連なりのリズムは上がり下がりする、和音をつなげていくハーモニーのうち『カノン』は330年前ごろに生まれたもので、カノンコードとして現在のポップスにも使われていることなどを紹介した。学校のイメージを事前に子供たちから募った洋一郎さんは、学校のオリジナルソングも披露した。授業の締めくくりは『翼をください』を子供たちと一緒にメロディとリズム、ハーモニーの各パートに分かれて合奏。音楽が3要素で構成されていることを子供たちに体感させていた。
授業の後、子供たちは「自分で音楽を作れることに感動した」「いつもより楽しい授業だった」と話し、音楽への興味を深めていたようだった。
洋一郎さんは「伝えたかったのはクラシックもポップスも音楽の基本は普遍的で愛されていること。授業を担当したのは初めてで真剣勝負だったが、子供たちが楽しんでくれたようで良かった」と充実した様子だった。
なお、同事業は来年度以降も継続。講師登録者と開催校を増やし、音楽以外のジャンルも取り入れていく方針。
市川市、市川漁港を拡張整備
費用は44億円見込む
第1期整備事業基本計画案を公開中
市川市は平成27年度から同42年度まで2期に分け、老朽化が進む市川漁港を拡張整備する。費用は約44億円になる見込み。市は17日まで、第1期整備事業基本計画案をホームページや行徳支所などで公開し、市民から意見を募集している。
市川漁港は「市川二期埋立計画」を前提に、県が昭和46年に暫定漁港として整備したが、同計画が平成13年度に中止となり、同18年度から市が管理・運営している。市はその後の調査で、施設の老朽化対策や安全性の確保、不足している係留施設、漁具保管施設、輸送施設などの新たな整備、漁業活動の効率化が必要と判断。同27年度から同32年度までを第1期、同33年度から同42年度までを第2期として整備する。
現在の同漁港の規模は、泊地(防波堤で囲まれた海域)が約1万1700平方㍍で、係留施設は115隻分。物揚場は5カ所あるが、1カ所につき1隻しか作業できない。
第1期では、現在の漁港泊地の西側に防波堤を延長約366㍍設置し、新たに1万6500平方㍍の泊地を整備。係留施設は88隻分増える。3~4隻が同時に作業できる物揚場も2カ所増設。現在は設置されていない駐車場も23台分設置する。
第2期では、第1期で整備した泊地や防波堤を東側にさらに広げ、現在の漁港泊地の大部分は漁具保管施設などの漁港施設用の土地として活用する。最終的に、泊地面積はおおよそ2万8千平方㍍、防波堤の延長は約720㍍になる。係留施設は194隻が停泊できるようにし、物揚場では7隻が作業できるようにする計画。
第1期整備事業基本計画案は、南行徳市民センターと市政情報センター、市政情報コーナーでも公開。市は募集した意見を踏まえ、今年度中に同計画を策定する。
問い合わせは市臨海整備課(☎359・1111番)。
辻切りの地域の違いを知ろう
和洋女子大で県内各地の写真展示
会場で展示されている国府台の辻切りの写真
和洋女子大(市川市国府台2の3の1)の文化資料館で6月下旬(日にち未定)までの午前10時~午後4時半、ミニ企画展「国府台のワラ蛇~辻切りの民俗~」が開かれている。入場無料。3月19日~4月3日と、日曜日・祝日は休館。
ワラで編んだ大蛇を村の四方に配置し、村に疫病や災いなどが入って来ないよう、にらみを効かせる伝統行事「辻切り」。現在も県内各地で行われており、同市国府台の国府台天満宮では、毎年1月17日に新しい大蛇を作り、前年の大蛇と入れ替えている。
今回のミニ企画展では、国府台の辻切りの写真を中心に、近隣他市で作られている大蛇の写真や、昭和50年ごろまで市川市国府台の国府神社でも作られていたという大蛇の写真など約20点を展示。村の安泰という目的は同じでも、大蛇の顔や形、大きさ、一度に作る数など、地域の違いを楽しむことができる。同資料館は「地元の伝統を知ってもらい、実際に現地まで見に行ってもらえたら。改めて、自分が住んでいる地域の特性について考えるきっかけになると思う」と来館を願っている。
問い合わせは同資料館(☎371・2494番)。
市川市とその周辺を歩こう
第8回江戸川ツーデーマーチ
市川市を中心としたエリア一帯で4月12日と翌13日の2日間、ウオーキングイベント「第8回下総・江戸川ツーデーマーチ」(同イベント実行委員会主催)が開かれる。雨天決行。3月20日までに申し込むと、大会誌に氏名が記載され、記念品ももらえる。
同イベントは、年齢・性別を問わず誰でも気軽に取り組めるウオーキングを通じて、市民の健康増進や健康意識の向上を図ろうと毎年開かれており、例年4千人ほどが参加する県内でも最大規模のウオーキングイベントとなっている。
今年は、初日が「大町自然公園コース」や「野菊の墓碑コース」など市北部を中心に巡る6~33㌔の4コース、2日目が「行徳野鳥観察舎コース」や「アイ・リンクタウンコース」など市南部を巡る7~32㌔の4コースで、いずれのコースも自由歩行。11㌔と7㌔、6㌔のコースは、両日ともストックを使って歩くノルディック・ウオークも実施する。また、スタート・ゴール地点となる市スポーツセンターでは、模擬店や市民ステージも開かれる。
同実行委員会は「春の暖かな日射しの中、市川の名所旧跡や自然を楽しんでみませんか?」と広く参加を呼び掛けている。
参加費は、市内在住・在勤・在学者は1日のみでも2日間でも高校生以上千円(事前申し込み700円)。それ以外は両日参加の場合2千円(同1500円)で、1日のみは千円(事前申し込みなし)。中学生以下と障害者は無料。参加は、市本庁舎などで配布されている払込取扱票に必要事項を記入し、郵便局で参加費を振り込む。
問い合わせはNPO法人千葉県ウオーキング協会(☎043・255・0141番)。
成績優秀な個人・団体30組表彰
市川市児童・生徒学習賞
県規模以上の大会で活躍
受賞者を代表してあいさつする市立南行徳小の田中智陽さん
市川市教委は先月17日、同市議場で平成25年度市川市児童・生徒学習賞の表彰式を開いた。
同賞は、スポーツ・文化の県規模以上の大会で、優秀な成績を収めた市内の個人・団体に贈られる。今年度は個人・団体合わせて30組が受賞した。
全国規模の大会で1位(優勝)を獲得した3人を紹介します。
世界大会で団体優勝したい
体操の全国大会で鉄棒第1位、総合3位
市立五中3年
山田 元大 君
全国の舞台で表彰台に上ったのは初めて。それでも「(総合で)年下に負けたことが悔しかった」と喜びはない。「日本代表に入って世界大会で団体優勝し、その後は指導者になりたい」という大いなる夢を真剣に追い求めるからこそ、自分への評価は手厳しい。4月から進学する市立船橋高での飛躍を誓う。
小学4年の秋に体操教室を見学し、初めて見るアクロバティックな技の数々に圧倒された。「あんな技ができるようになりたい」。その後、元々習っていたサッカーと水泳をやめて体操に熱中。上達するほどに体操への情熱は高まっていった。
現在もほぼ毎日練習に明け暮れているが、「トップ選手の多くは自分より早くから体操を始めている。自分にはまだ練習が足りない」。同大会の成績も「上手な人はみんな高校生が出場するクラスに出場している。自分はそういう人に比べてまだ安定した演技ができない」と話す。
日本が28年ぶりに体操団体の金メダルを手にしたアテネ五輪代表の冨田洋之選手が憧れの人。「冨田選手も自分と同じで体操を始めるのが遅かった。自分もあんな選手になりたい」。憧れに近づくための道筋は「目の前の目標を一つ一つクリアしていくこと」と、しっかり見えている。
日本のすごさ見せつけたい
社交ダンスの2つの全国大会で2種目優勝
市立大洲小5年
石垣 和宏 君
引っ込み思案だった幼少時代、姉が友達と楽しそうに踊っている姿に誘われてダンスを始めた。直後に市川市に引っ越してからは、佐倉市のダンススタジオに週5日ほど通い、1日3時間ほどの稽古を重ねている。
「知らない人とペアを組んで、だんだん息が合ってきた時が楽しい」。とはいえ、毎日夜遅くまでの稽古に疲れを感じ、ダンスが嫌になることもある。しかし、「ライバルに負けたくない。先輩たちが作ってきたスタジオのレベルを落としたくない」という気持ちの方がはるかに強く、稽古に向かう電車の中や稽古までの空き時間に宿題を済ませる生活も前向きに捉える。
そんなダンスに取り組む真摯な姿勢がついに実を結んだのは、昨年8月に開かれた全日本チャンピオンシップと、10月に開かれた全日本ダンススポーツ選手権。舞台まで聞こえてくる仲間の応援を力に変え、これまでライバルと優勝を分け合ってきた2部門を両大会でどちらも制した。
でもここはまだ夢の途中。「日本はダンスが盛んじゃないと思われている。世界に日本のすごさを見せつけたい。そして自分が世界で活躍することで、みんなに社交ダンスの楽しさを広めたい」。来年度に初挑戦する世界の舞台が本当のスタートだ。
東京オリンピックに出たい
全国ジュニアオリンピック水泳50㍍背泳ぎ1位
市立南行徳小5年
野田 海優 さん
3歳で水泳を始めると、年長の頃には競技水泳の選手を育成する選手コースの一員に。ただ、急に練習が厳しくなり、「練習に行くのが嫌で嫌で仕方なかった」。しかし、元々負けず嫌いな性格の上、水の中にいることと泳ぐことが大好き。しばらくして練習に慣れてしまうと、その後はメキメキと実力を伸ばし続けた。
練習は週に6日。水中での練習は1日1時間半だが、その前にストレッチや筋力トレーニングなどを毎回2時間近く行っている。全身運動の水泳の練習はハードだが、「つらいのはみんな一緒。自分だけ頑張っているわけじゃない。人より速くなるためには、人より努力しないといけない」と、むしろ厳しい練習を求めている。
それでもタイムが伸び悩み、コーチに水泳をやめたいと伝えたこともある。しかし、「1位になってからやめた方がいい」というアドバイスに従った結果、昨年3月に開かれた同大会で自己記録を一気に1秒ほど更新して優勝。「水泳をやっていて一番うれしい瞬間だった」と振り返る。
それから約1年間記録は出ていないが、もうやめたいとは言い出さない。目標を一つ一つ達成していけば、その先には喜びがあることを知ったから。「2020年の東京オリンピックに出たい」。夢は自分の力でつかみ取る。
市川手帳
3日で飽き、3カ月で冷め、3年で忘れ、30年で途絶え、60年で社会は都合の悪いことを忘れ、300年で歴史の中でも忘れられる。危険学プロジェクト代表で東大名誉教授の畑村洋太郎氏が言う▼危険学の目的は身の回りの危険を顕在化し、後世に事故・災害の記憶を伝え、生かすこと。東日本大震災から3年。だが、被災したこの近隣で啓発行事は明らかに減っている▼大地震の発生は数十年、数百年単位のため、常に意識し、備えることは難しい。過去の被災者は文字や石碑、言い伝えなどで被害状況と教訓を残したが歴史に埋もれがち▼教訓は研究者だけではなく一人一人が生かさなければ意味がない。いつ発生するか分からない大地震。いまは震災直前かもしれない。
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