市川よみうり

今週の人

四季折々に見せる風景が魅力

創立15周年を迎えた いちかわ歩こう会会長
宮脇 顕一さん

  

 入会当初から、役員として献身的に活動。〝健康づくり〟や〝仲間づくり〟の観点から、年々愛好者を増やしているウオーキングのさらなる普及を目指し、会の運営に力を注いでいる。

 ウオーキングの経験は、入会の数年前に「(同会会員の)家内に付き添い数回参加した」程度。さまざまな団体で要職を務めていたため時間に余裕がなく、入会には至らなかった。しかし、その後少しずつ身辺を改め、平成十五年に入会すると「市内でも知らなかった場所」や「四季折々に違う顔を見せる風景」などにウオーキングの魅力を感じ始めた。

 役員としての活動には「自由に歩けない」という窮屈な側面もあるが、「会に入りたい」と言ってくれる人や、献身的に働くほかの役員たちを見ては「個人の希望は言っていられない」と気持ちを引き締めている。

 「頼まれたら断れない性分」だが、やると決めたことにはこだわりをもち、「自分はどうあるべきかを常に考え続ける」七十三歳。会長として「健康都市を掲げる市川市とも協力し、多くの人にウオーキングの魅力をPRしたい」と意気込む。ただ個人としては、「いつかは、女房と手をつないで、のんびり歩きたい」と照れ笑いを浮かべる。


(2009年10月3日)

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今週の人

野球に生涯かかわり続けたい

中学野球合同合宿に市川で30年間取り組む
佐川 真勝 さん

 昭和五十五年に始まり、毎年二~四校の野球部が参加している合同合宿。「先生や保護者の協力があるから続けられる」と周囲への感謝の心を抱き続ける。

 小学五年生で野球を始め、中学・高校では四番・エースの主将として活躍。だが、大学では授業で練習に参加できず一年で退部した。そんな折、小学生時代を過ごした日出学園をふと訪れたことがきっかけで、同学園の中学・高校に軟式野球部を創設。自身も指導にあたった。

 そこで、生徒たちの純真さと努力する姿勢を実感。「教えることがすごく楽しい」と指導者になる強い意志を持った。

 同学園では教師として勤務した二十四年間監督を務め、そのほか複数の中学・高校でも監督やコーチを歴任。日出学園では全国準優勝を経験した。平成十一年から四年間は、中学校選抜「オール市川」を監督として指揮。また、「思い立ったらやってみないとダメ」という行動力を発揮し、東京や市川で実年・還暦野球連盟を作るなどの功績も残した。

 「大学やプロで活躍する選手が育ってほしい」。そんな夢を抱きながら、七十四歳のいまでも市内で中学校を巡回指導する。「これからも中学生を指導していきたい」。こよなく愛する野球に生涯かかわり続ける。


(2009年10月10日)
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今週の人

黄金時代だったと言わせたい

イタリア・ローマオペラ発祥の地イタリアで日本人初の音楽監督に就任
吉田 裕史さん

 四十一歳にして日本人初の快挙。何よりもイタリア人にとって、オペラとは芸術を超えた重要な価値を持つ。「日本で言えば、外国人が歌舞伎役者をやるようなもの。プレッシャーは大きいけれど、『やってやるぞ』と武者震いしている」。

 北海道生まれの船橋育ち。ブラスバンド部で指揮者をしていた高二の冬、世界的指揮者・小澤征爾さんのコンサートを見て衝撃を受けた。「好奇心旺盛で、思い込んだら前へ進む性格」から、楽屋に乗り込み「指揮者になりたい」と直訴。東京音大指揮科へと進学し、研究科時代には音楽文化の違いから海外で挫折も味わったが、国内の一流歌手の歌声や心配りを目の当たりにしたとき「心と体が震えた。一生を捧げる価値がある」とオペラに目覚めた。平成十一年に渡欧してからは「必ずイタリアの歌劇場でオペラを振る」ことを目標に経験を重ねてきた。

 いまはさらに上のステージに立っている。「吉田がいた時が黄金時代だったと言わせたい」と本場イタリアに挑む。心中にあるのは、日本人としての誇り。「よく『お前の中にはサムライがいる』と言われます」と笑う。夢は「日本国内の公演回数やファンの数を十倍にすること」。力強い眼差しでこれからも前に進み続ける。


(2009年10月17日)
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自問自答繰り返し創作に情熱

市川市手工芸連盟理事長
益子 智伃さん

   茨城生まれの東京育ち。幼少のころから「自分がよしと思ったら絶対に曲げない」負けん気の強さで周囲を引っ張る。来年一月に米寿を迎えるが、「連盟を大きくしたい」「千葉県に手工芸美術協会を作りたい」とまだまだ大きな目標を掲げ、実現に向けた忙しい日々を送る。

 市川に越してきたのは二十歳のころ。戦火を逃れるための一時避難だったが、空襲で実家を失い、以降六十年以上を市川で過ごしている。

 和紙で人形を作る独特の手工芸を独学で始めたのは終戦直後。「人形という、当時の殺伐とした雰囲気とは逆のものを作って心を癒したかった」。以来、その道の第一人者となり、フランスやイタリアなどの芸術大国も含めた世界各国で展覧会に出品し、日本の手工芸の質の高さを知らしめている。

 その後、「市内でも手工芸の作品展を」と、約三十人の指導者を集めて同会を発足。多年にわたり「何を使ってでも気軽にできる手工芸の魅力」を市民に訴え続けている。忙しさのあまり「創作の時間がない」と戸惑うこともしばしば。しかし、「さすが市川の手工芸」と言われるために、「自分が人形なら納得するか」と自問自答を繰り返しながら、創作への情熱を抱き続ける。

(2009年10月24日)



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