市川よみうり

         きょう三日は立春前の節分。こよみの上では冬から春へと、季節が変わる。新年の時候のあいさつで、新春が用いられるように、春は一年の始まり。節分はいわば大晦日ということ▼節分に行われる豆まきは、新しい年を迎えるにあたって、旧年中にさまざまな災いをもたらした鬼を追いはらうためだが、果てさて、その効果はどの程度のものか▼恐れられた鬼も最近は、存在感が薄くなった。案外、いかにも、という姿ではなく、優しそうな面を被っていて、身近に接していても気付かない―のかもしれない。人と鬼の付き合い方はむずかしいものだ▼さて、春とはいうものの、これから寒さは厳しくなり、雪の日も多くなる。暖冬気配に惑わされて、油断をしていると、どのような災難に遭うか分からない。まだまだ気を抜けない。
(2007年2月2日)
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         口は災いのもと。人は失言によって、思わぬ結果を招くことがある。だから重要な話をするときには、事前に原稿を用意する▼官僚の書いた答弁書を読むときの閣僚は、それだけに余裕をもって、議会に望めるわけだ。これが身内の前であったなら、それほど気を遣うこともない。そこが落とし穴。ついつい、揚げ足を取られるような発言をして、物議をかもす▼どうしても、年とともに考え方が一方的になりがち。それがポロリ。ことばの恐ろしさは、「ついつい」の部分が注目されること。たとえ、前後の文脈で良いことを語っていても、その一言で台無しとなる▼固い頭を柔らかくする、いわゆる「脳トレ」がブーム。いろいろなパターンがあり、人それぞれの得手不得手がみられるが、なかなか柔軟な脳を取り戻すのも大変だ。
(2007年2月9日)
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        市川市の平成十九年度当初予算案がまとまった。行政運営の基本的な経費となる一般会計は歳入歳出それぞれ一千百八十億円で、七年連続の増加となった▼歳入の中心は地価の上昇や新増築家屋の増加による固定資産税と、税制改正に伴う市民税の増収など。退職手当の増加などによる人件費が増えてはいるが、公債費比率は七・一%で、前年度に比べ改善の傾向にある▼市の借金である起債の元利償還金が一般財源に占める割合を表す公債比率は、数値が高いほど自治体独自の政策的予算が小さくなってくるだけに、一〇%未満が理想的だといわれる。市川市の七・一%は、かなり健全な状態を保っている▼これならば、大胆な施策にも取り組めそうだが、総花的に配分すると、必要のない事業にも予算が流れ…となりかねない。
(2007年2月16日)
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       「不得意な分野にもテーマを広げるため、仕事がきつくなった」―。このほど、地方紙の社説に他紙からの盗用があったことが発覚した▼当事者は、このことについて、冒頭のように答えている。また「よく伝えることができると思い引き写した」とも…。自分の得意な分野でさえ、そう簡単に文章が書けるわけでもない。しかも、締め切り時間に追われ、何とかしなくては、とのあせりも出てくる▼しかし、いくらなんでも、空白のまま印刷するわけにもいかない。どうしたらよいのか―。その心情は察するに余りある。引用のつもりが、不得手な分野だけに過ぎてしまったのだろう▼文章には書く人の人生が凝縮されている。その人の持っている知識・経験・思いなどを、限られた範囲でことばに反映させてゆく。この間にも時間だけは…。
(2007年2月23日)
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