猪と鹿はともに古代獣や肉を意味する「しし」と呼ばれていた。このため、ときには、どちらを表しているのか、分からないこともある▼後世には、鹿と猪が区別されるようになったが、どちらも山鯨、あるいは猪の肉を牡丹、鹿を紅葉と称して食する点は、あまり変わっていない。どちらも「薬食い」といわれ、江戸の「ももんじ屋」で売られていた▼猪突猛進。猪のように突き進むさまから生まれた。いのしし武者ともいう。生後間もない猪の子を「瓜坊」というのは、体についている縞模様から。いのこ雲も同様に、まだらな雲の状態を表す▼豚(いのこ)を抱いて臭きを忘る。抱いているうちに、豚の臭いも自分では気付かなくなる。転じて、他人の欠点はよく分かるが、自分のことは案外と気付かないものだとの例え。MENUへ
(2006年12月28日)
今年は統一地方選、参院選と選挙が続く。まず、もっとも身近にあるのが四月の市議・県議を選ぶ地方選。都市計画・環境問題・防犯・.防災・教育…▼便利で安全、そして静かな環境。人々の求めるものすべてを満たそうとすれば、どこまで努力しても百点満点はむずかしい。どこまで一〇〇%に近づけるか、そこに手腕が要求される▼市川と浦安両市で、およそ六千人が二十歳の新年を迎えた。大人の自覚などと、それほど大げさに論じることもないが、「成人」「大人になる」ことの意味くらいは、考えてもらいたいものだ。いつまでも、子供のように甘えてはいられない▼社会や家庭、学校に求めるばかりでは、なにも変わらない。自分がかかわれる手段があるのなら、物言うばかりではなく行動すること。そこから変革が始まる。MENUへ
(2007年1月12日)
タバコを吸わないでがまんできるのはどのくらい―。JR西日本が愛煙家約九百人に聞いた結果、およそ六〇%が「三時間」と答えた▼三月からJR東日本や同北海道は寝台特急を除いて、列車を全面禁煙にするが、西日本は乗車時間三時間を基準に、全面禁煙と喫煙車を設ける列車に分けるという。東海道新幹線を管轄するJR東海なども分煙の方向▼今夏から東海道・山陽新幹線に登場する「のぞみ」は全席禁煙となるが、喫煙者にも配慮して最新式の喫煙ルームを設置。煙と臭いが喫煙室の外に流れないよう、完全分煙化を図る▼全面禁煙にした方が簡単で、費用もかからないはずだが、顧客サービスの一環とみれば無視もできない。しかし、タバコをがまんできるのは「三時間」。なんとも具体的で実感がこもっている。MENUへ
(2007年1月19日)
納豆にやせる効果があるといわれれば、半信半疑ながらも試してみたくなるもの。いや、疑ってはいけない。とにかく信用して、効果が現れるまで継続する▼それがダイエットに悩む人の選択。たしかに納豆には、そうかな―と納得してしまいそうな要素がある。だが、流された情報だけで単純に飛びつき、スーパーの店頭から納豆がなくなる、などという異常事態は考え物▼テレビで放送したから、新聞に掲載されたからなど、報道に対する信頼度が高いのは結構なこと。しかし、時には単純な間違いも起こりうる。意図的にミスリードをすることも、ないとはいえない▼怖いのは、情報を送る側に悪意があったとしても(あくまでも仮定の話)、受ける方に疑問が起こらないと、そのまま事実として定着、ことの本質を見失うことだ。MENUへ
(2007年1月26日)