市川よみうり連載企画

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  関東圏のコミュニティーFM29局(都内9、神奈川9、千葉3、埼玉2、茨城2、群馬3、山梨1)の防災体制を調べてみた。平成13年9月3日現在、「自治体や関係諸機関等と防災協定を結んでいる」(19)、「協定を検討・進行中」(3)、「独自の防災システム」(1)。その他の局にも、とりあえず「緊急割り込み放送体制」あり。
 29局の中には、局コンセプトに「災害時における速やかな情報提供」を掲げているところや、有事を想定して「独自の訓練を実施」「社内防災連絡/取材体制をマニュアル化」「毎年、訓練番組を放送」している局もあった。

 「いちかわエフエム」も平成11年7月、市川市と「災害時における緊急放送等に関する協定」を結んでいる。
 同協定は、市域の中で「災害」が発生した場合(発生の恐れも含む)、災害の防止や被害の軽減を図るために必要な情報を、エフエム放送設備を利用して正確・適切・スピーディーに市民等に伝えるのが目的。
 「簡単に説明すると市が提供する災害情報を、スムーズに局の放送の中に割り込みさせてもらうための協定なんですよ」と、市消防局防災課。放送局側もその自主的判断のもとに、通常番組に優先して災害情報の放送をするように努める。
 同協定で定められた「緊急放送」には<1>「要請による放送」と<2>「自動放送」の2種類がある。<1>は、市の要請に基づき、同局が通常番組編成を尊重しながら行うもの。たとえば…。

 市内に住む30代の主婦Nさんは、国府台をマイカーで走行中、いちかわエフエムのこんな放送を聞いた。「…番組の途中ですが市内〇〇で火災発生、消防車が通ります。国府台付近を走行中の方は、徐行してください…」。ややあって、Nさんの背後で「ピーポー、ピーポー」「ウーウー、カンカンカン」。あわてて徐行したNさん。「臨場感たっぷりで、スリリングな体験でした」と興奮ぎみ。
 この場合、市消防局から送られてきた情報を、放送局が通常の番組の中に割り込ませているので、<1>のスタイル。全国ネットのテレビやラジオで報じられる事件は、何となく「他人ごと」のように遠く感じられるが、地元発信情報は、ドキドキさせられることが多い。火災のほかにも、地震・大雨・台風・大雪時などに「正確・適切・スピーディー」な放送が望まれている。
 では、<2>の「自動放送」は、どんな場合にどんなスタイルで行われるのだろうか? (つづく)



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 大地震発生! テレビは壊れてしまった。でも、ぼうやは慌てず「…避難袋の中にトランジスタラジオがあったっけ。まずニュースを聞こう」。ヘルメットをかぶり、ラジオの情報を頼りに避難所に向かうぼうや。やっとたどりついた避難所でも、ラジオはみんなに重宝がられた。「次々と正確な情報が入るので、安心だね」

 この“沈着冷静なぼうや”の活躍がマンガで描かれているのは、『市川市防災ハンドブック〜いざというときに備えて』(昭和63年発行)。市民部防災課(当時)が、市の災害対策の概要や災害に対する日ごろの心構えなどを分かりやすく説明した小冊子だ。  えっ、ネタが古すぎる?
 ハッハッハ…。年内中に、同冊子の刷新版が市内全戸に配布される予定なので、お手元に届いたときはぜひご覧あれ。
 そして、もっと市域の防災について知りたくなったら、『市川市地域防災計画』(市防災会議編集・平成12年度版)がオススメ。葛飾八幡宮参道ワキの市政情報センターで閲覧できる。

 さて本題に戻ろう。みなさんは冒頭のような状態になったとき、ラジオのチューニングをどこに合わせるだろうか? 
 たとえば、地域密着型の市川エフエム。市と同局は、平成11年に『災害時における緊急放送等に関する協定』を結んでいる。
 同協定は市域で「災害」の発生や恐れがある場合、その防止や被害の軽減を図るために必要な情報を、エフエム放送設備を利用して正確・適切・スピーディーに市民等に伝えるためのもの。
 協定に基づき局は、設置された災害情報緊急伝達装置を円滑に運用できるように、市消防局防災課・指令課と随時災害に関する情報交換を実施している。

 その実効性は?
 同局の『…番組の途中ですが…』で始まる火災・事故・大雨・大雪情報を「聞いたことがある」というリスナー数人の感想は、
 「身近な事件なので『自分も気をつけなければ』と思う」
 「火災情報は、鎮火の報告までしてくれて、丁寧。『ご協力ありがとうございました』に好感」だけでなく、
 「緊急放送が上手な人、ニガ手な人の差がある」
 「情報がワンテンポ遅れるときがある」
 「もっと緊急を要する、切迫した状況が起こったときは、どうする?」という疑問も。
 ハイ、そのときには「自動放送」。通常の放送を中断して、市消防局指令課から直接FM放送が行われる。幸い、まだ実例はない。
    (つづく)



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  大災害が発生したときは「市の防災行政無線、消防無線をフルに活用し、また警察などの防災関連機関の協力も得て、災害情報を集め、災害対策本部から住民のみなさんに正確な情報を伝達することにしています。また報道機関の協力を得、ラジオ、テレビによる情報伝達もあわせて行います」(『市川市防災ハンドブック』から抜粋)。
 きょうも、公園・学校・団地など市内185か所に設置された防災広報無線から、正午のチャイムと午後5時の「家路」のメロディーが流れている。このチャイムやメロディーが聞こえれば、無線機器が正常に作動している証拠。
 ただし同無線は外で流れているので、室内にいる人に聞こえない恐れもある。
 そこで、いざというとき室内にいる人たちにも大切な情報が行きわたるように「FMを使った広報がある。いちかわエフエムを聞いてくれる人が一人でも増えれば、情報伝達のいいかたちになると思うのですが…」(市消防局防災課)。
 
−◇−  −◇− 
 9月11日午前11時ころ、ブ〜〜〜〜と鳴り続ける駅の警報ブザー。首都圏に上陸した「台風15号」の影響で、記者は東西線の車内に閉じ込められてしまった。窓の外で、強風にあおられた雨が水煙をあげている。
 向かいの座席には、携帯電話で情報を集めている20代サラリーマン。「台風は、いま松戸あたりを北上しているらしいよ」と教えてくれた。さすが、モバイル世代!
 約1時間後、電車は動き始めた。そして、やっとたどりついたJR本八幡駅。構内は風雨が鎮まるのを待つ人々でいっぱい。一方、駅周辺の商店は、シャッターを半分降ろしたり、道路に面した自動ドアを閉鎖したり。いつもは列のできるファーストフード店もガラ空き状態。
 こんな街の様子を、地元のラジオはどのように伝えているのだろう? ずぶぬれになりながら家にたどりつき「いちかわエフエム」を聞いた。

 この程度の暴風雨でビビッてはいなかった…。同局は、台風で浮き足立った心を鎮めてくれるかのように、のどやかな音楽放送。
 午後1時過ぎ。緊急割り込み放送も無いので、台風は市域に大きな被害も与えず、通り過ぎるのだろうか?
 音楽のあとは、台風の進路を大まかに伝える定時のニュース・天気予報。続いて、落ち着いた声の女性パーソナリティーが、スタジオに来るまでの街の様子を聞かせてくれた。興味深い内容だった。     (つづく)



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 「9月14日、総務省関東総合通信局より送信所の新設・送信出力の増力(10ワットから20ワット)に関する無線局免許状の交付を受け、20ワット放送を開始しました。これにより、放送区域内の世帯数は(いままでの)約二倍となり、カーラジオの可聴エリアは習志野・柏・流山・三郷・都内中心部にまで及びます」(市川エフエム・報道資料から抜粋)

 コミュニティー放送が制度化された平成4年当時、郵政省(当時)がコミュニティーFM局に認めた送信出力は「1ワット以下」。開局にも、いろいろ制限が設けられていた。
 まず、開局需要の高いところを「モデル地域」に定め、「放送対象地域」として公示。一定期間申請を受け付けて比較審査を行い、より優れた申請者を選んで、一地域に一事業者のみ開局認可した。

 ところが、規制緩和を求める声が多く、平成6年に「一地域一事業者」制限は撤廃され、コミュニティー放送は申請すればその都度審査が受けられるようになった。同7年に10ワット、11年には20ワットと、送信出力の上限も引き上げられてきた。こうした見直しによって、コミュニティー局の数は右肩上がりに推移し、現在の全国141局に至る。
 ちなみに、県内のコミニュティーFM局は三つ。それぞれ、個性豊かな放送を行っている。

 いちかわエフエムは平成10年の開局以来、「プロのDJ(ディスクジョッキ−)による一方通行の番組でなく、市民リスナーとの相互交流を大切にして参りました。そのために私どもは放送エリア内にお住まいのかたを、優先的に放送ボランティアに採用させて頂いております」
 つまり、市民DJひとりひとりの個性が、そのまま局の個性につながっている。どの番組を聴くかによって印象も異なる。今回、可聴エリアが広がったことで、また新しい個性が加わるか?

 「放送をお聞きになって、『私もやってみたい!(放送に参加してみたい)』と思われたかた、老若男女を問わず広く募集します。『しゃべる技術はないけれど、話したい内容はたくさんある』。そんなかたの応募をお待ちしています」
 昼下がり、増力後の同局の放送を聴いてみた。びっくりした。音質が格段に良くなっている。パーソナリティーたちの声も以前より明るく聴こえた。
 音質ばかりでなく、ベテラン女性パーソナリティーたちのヤル気も印象に残った。一生懸命話題をふくらませようとしている。その努力は、聴いていて分かるが…。



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 市川の街を歩いていると、あちこちで話好きの人につかまってしまう。先日は、約1時間半、リサイクルショップ女店長に話を聞かされた。「このごろ物騒な事件が多いわよねえ」から始まり、自分の家族・親戚・友人の近況、好きな音楽・ファッション、趣味など話題はいつ終わるともなく続く。街中で交わすおしゃべりなら、こんなふうで、いいのだが…。

 いちかわエフエムを聞いていると、ときどきパーソナリティーのおしゃべりにつかまってしまう。先日も、デビューしたての女性パーソナリティーの「トーク番組」を約2時間聞いた。
 「…まだ慣れていないので、(不手際があっても)どうかおしかりのおたよりはもうちょっと後にしてくださいね。いましかられたら、立ち直れなくなっちゃいますから…」
 う〜ん、番組の中でそんなふうに悩ましいお声でクギを刺されたら、何も言えなくなっちゃいますよー。
 

−◇−  −◇−
   「トーク番組」は、放送の中でどんな性格を持っているのだろうか。「放送コンテンツ」を大きく3つに分類すると
 <1>「フロー系」=ニュース・天気予報、スポーツ中継など、ある特定の時間に放送されることで最大の価値を持つ番組。放送のタイミングを逸すると、その価値を失う。
 <2>「ストック系」=ドラマ、教養、ノンフィクションなど。放送時間を選ばず、繰り返し放送しても人をひきつけることができる。
 <3>「バラエティー系」=「フロー系」と「ストック系」の中間。速報性にとらわれない情報、音楽、トークショーなど。
 ラジオのパーソナリティーが、おしゃべりをして、お気に入りの曲をかけて、リスナーからのおたよりを紹介する「トーク番組」は<3>の「バラエティー」にあてはまる。話のおもしろさが命。
 県域ラジオは、そこに人気タレント・ミュージシャンなどを配して、ネームバリューでリスナーを呼び込む。

 一方コミュニティー放送の「トーク番組」では、地域の人たちが徒然なるままにマイクに向かい、思いつくままの話題を、取り留めもなく語ってる。
 こうした市民パーソナリティーの話を聞きながら、リスナーが自分とは異なるものの見方や考え方、感じ方に理解を深めるのも、いいことだろう。
 でも、いったい何が言いたいのか分からないときがある。そんなときは「もういいよ」という気分になってしまう。できれば、もうちょっと話をまとめてほしい。無理かな?



<2>



 テレビの公共コマーシャルが、「あなたも『ちょボラ』始めませんか」と呼びかけている。「ちょボラ」って何? 映像は、街で困っているお年寄りに手を貸す子供たち。「ちょっとボランティア」の略語のようだ。そういえば数年前、市川市内で開かれたボランティア養成講座でも、講師が「ちょいボラ」ということばを使っていたなあ…。
 「ちょっとボランティア」↓「ちょいボラ」↓「ちょボラ」。身近なところで、気負わずどんどんボランティアしましょう−と、ことばもどんどん短くなっていくんだね。
 ハイ、ここで応用問題をひとつ。「ボラ・サイト」って、何? 

 正解は、毎週木曜日午前10時15分〜同45分にいちかわエフエムで放送されている番組の名前。10月4日の同番組では、男性パーソナリティーが、ボランティアをするときに必要な「六か条」を話していたよ。その内容をまとめてみると、
 <1>自分の行動やことばに責任を持つ。あたりまえのことが、なかなか守られていない。
 <2>相手のプライバシーは必ず守る。
 <3>相手や仲間の立場・考え方を尊重する。「人生を賭けている」「自分の居場所を求めて」「趣味」など、ボランティアに対する考え方は人それぞれ。どれが一番いいとは言えない。
 <4>みんなで仕事を分担する。
 <5>常に自分の行動を振り返る余裕を持つ。相手が何を求めているか、どう思っているかを考えてみる。「相手が喜んでくれるハズ」と勝手に思い込んでいるかもしれない。
 <6>活動を楽しむ。ボランティアを辞めたくなったら、「何のために活動しているのか、何をしたくて参加したのか」をもう一度考える。長く続けることで成果が出て、喜びが得られる場合が多い。だから、そのための工夫や努力を惜しまないでほしい。

 なるほど、ボランティアって間口は広いけど、けっこう奥が深いんだね。
 「六か条」のアドバイスは、主に福祉関係のボランティアを対象にしたものだけど、他のジャンルのボランティア活動にも参考になるかな? 
 たとえば、「一般的なボランティア活動とは違う」と言われている放送ボランティア。
 ためしに「相手」を「リスナー」に置き換えてみると、特に<5>は重要だと思うよ。「限られた時間の中で、自分の持っている情報をアピールする」ことから始めて、余裕が出来たらリスナーを楽しい気分にさせる工夫もしてみるといいかも…。ここが肝心。






「好感」「期待」「感動」「大満足」から「不満」「不愉快」まで…。新聞のテレビ・ラジオ番組面の片隅には、番組に対する感想や意見を載せるコーナーがある。先日も、ひとつの「お笑いテレビ番組」をめぐって、19歳学生が「面白かった! 笑いの真骨頂」と言えば、「(出演者の)なれ合いが目立つ」など「不満」の意見もちらほら。
 こんなふうに賛否両論(全7通)が寄せられるということは、それだけインパクトの強い番組だったのだろう。なんだかんだ言われながら、この番組、さらにパワーアップしていく予感。

 ところで、コミュニティー放送は、地域の人の意見や感想をどんなふうに取り入れ、番組に反映させているのかな?
 インターネットの各局ホームページに聴取者の声が公開されていたころは、かなり過激な「ご意見」が多かったようだが…。
 2年間都内のコミュニティーFMでパーソナリティーを経験し、現在は「バイトしながら充電中」という20代女性の話を聞いた。
 彼女が担当したのは「トーク番組」。

 −リスナーの声が番組に届いていましたか 「もう十分に!(笑い)。私の番組は、私とリスナーの『意見交換の場』でした。コミュニティーリスナーの耳は肥えていて、専門的・批判的な意見もありましたよ」
 −かなり苦労したようですね。
 「いろいろ教えていただきました(笑い)」
 −話の内容は?
 「マニアックなものが多かったですね。いちおう私のほうから話題を提供して、リスナーからのファクスや電子メールで盛り上げるんですが…、そのやりとりを初めて聴いた人は、きっとビックリしたと思う」
 −すぐに入り込めるものではない?
 「コミュニティー独特の雰囲気がある。県域(ラジオ)に慣れている人には、ちょっと入りにくいかな」

 −メールやファクスを出すと、必ず読んでもらえるの?
 「あまり過激なものには(局の)チェックが入ったけど、大抵のものは読みました」
 −つまり、リスナーの意見や感想は、「おたより」として放送の中に組み込むこともできる?
 「ハイ。ただ、意見を発表してくれるリスナーの顔ぶれがいつも同じだったのは事実」
 −常連リスナーは大切にしたい。でも、新しいリスナーも開拓しなければ…。
 「行き詰まってしまう。コミュニティーは個性的であっていいけど、仲間だけで孤立しちゃいけない」
 






 いちかわエフエムが創設された当時(平成10年)の「会社概要」を読み直してみた。『市川市(地域)に基づいて情報を流していく放送局です。市川市に密着した番組を創っていきます。市川市ならでは、いちかわエフエムならではのものを創っていき、リスナーの方々が楽しんで聞いてくださるように、地域の皆さんと一緒に番組を考え、創り、アットホームな親しみやすい放送局にしていきたいと考えています』。
 すばらしい! 局の目指すところが再確認できた。

 今秋で開局4年目。十分「アットホーム」な局になっている。パーソナリティーたちは、みんな市民の「家族・親戚」みたいだ。たとえば…
 青春の思い出を感傷的に話す「お父さん」。オツカレサマ。
 ライフワークの趣味を語る「お母さん」。生きがいがもうひとつ増えてヨカッタネ。
 ファッション、グルメ、芸能・音楽情報などを他のメディアから集め、それを自分の「感性」とミックスするのが上手な「お兄さん」「お姉さん」。きょうはどこへ行って来たのかな?

 ケイタイ電話を「いじる」のが好きな「弟」「妹」。最新のモバイル情報は、キミたちからゲットしようか!
 ほかにも、「博識おじさん」「世話好きおばさん」、「変わり者のいとこ」など、親戚キャラクターはそろっている。みんな「家族・親戚」だから、「おうちのことば」で、「ここだけの話」をするのが大好き。話の中に、知っている人名や地名、施設名が出てくると、「身内感覚」はますます強まってくる。

 さて、こんなふうに「アットホーム」に展開される番組の数々を、リスナーの方々は楽しんで聞いているのかな ?
 「毎週日曜日夜11時からの『トランスなかたにのNightでないと!』を聞いています。パーソナリティーのなかたにさんは『ヘンなお兄さん』というカンジ。ヘンだけど、なぜかおもしろい」(20代女性・学生)
 「毎週火曜日午後2時『ちょっといいですか?』の田辺悦子さんには、同年代の共感を覚えます。『友人』といったところでしょうか。声質はちょっと聞き辛いが、話題に広がりがある」(50代女性・主婦)

 「ボクは毎週日曜日夜8時からの『Heart to Heart』を聞いています。桐島カンナさんの声を聞くと元気が出ます。『お姉さん』みたいです」(30代男性・会社員)などなど。
 放送中は盛り上がりをみせる。それだけに終了後が寂しい。






 月刊誌「アクションバンド電波」(マガジンランド刊)の付録小冊子に、全国のコミュニティーエフエム番組表が一挙掲載されている。各局が地元で配布している番組表がまるごと載っている。パーソナリティーの顔写真入りで放送内容を細かく記載しているものから、番組名だけを並べたものまで、形態はさまざま。
 北海道から沖縄まで、百局を超すコミュニティーFMの番組表をあれこれながめていると、諸国漫遊の旅に出た「水戸黄門」のような気分になってくる。さて、助さん、格さん、八兵衛、どんな番組表がお好みかな?

 助さん「まず、何と言っても、読みやすいのが一番でございますよ」
 助さんの意見はごもっとも。読みづらい番組表は、それだけで聴く気がしなくなるね。
 格さん「私は、出しもの(番組)の内容がよく分かるように、簡単な口上(解説)が添えられたものがよろしいかと存じます」
 なるほど、そうすれば、自分の聴きたいものを迷わず選べるというワケだ。
 八兵衛「あっしは、イラストやパーソナリティーの写真が入っているのが好きでございますよ。字がずらーっと並んでいるだけだと、頭が痛くなっちまって…」

 ハハハ…。どの番組表も、局の人たちが一生懸命こしらえなさったものだ。粗末にしてはいけませんよ。
 助さん「パーソナリティーのみなさんも、こんなふうに自分の名前(ラジオネーム)が番組表に載るのを楽しみにしておいででしょうね」
 そのとおり。どんなに小さい字でも、名前が載るというのはうれしいものです。
 八兵衛「顔写真が載ったら、もっとうれしんじゃありませんか?」
 おっと、そこには局それぞれの方針があって、「プライバシー保護」ということから顔写真を載せないところもあるんだよ。
 格さん「しかし、番組とパーソナリティーの名前だけじゃ、聴きどころが分からない。何か『虎の巻』のようなものはありませんかね?」

 う〜ん、むずかしい質問ですね。とある局のお偉がたに聞いてみたら『オススメの番組は、全部です。とにかく聴いてみてください』ということでしたよ。初めて聴く人は、ざっと流し聴きして、自分にピッタリ合った番組を見つけるしかありませんね。
 格さん「小細工せず、放送の中身で、いざ尋常に勝負勝負!って感じですか…」
 いや、いや、そうとばかりは言い切れないところも…。 






 現在、全国に140局あるコミュニティーFM。記者も何度か旅先で携帯ラジオのチューニング。音が小さかったり混信したり、それぞれの局の可聴圏をとらえるのはなかなかむずかしかった。カーラジオだと、高台や海岸線など障害物のないところでクリアな受信ができた。でも、それは、コミュニティー放送のほんの一部をのぞいただけで…。
 では、140局の番組表(平成13年春・夏編成)を一覧してみよう。コミュニティー局ならではの企画が目に止まる。

 ◎2〜3時間ワクの情報系番組には、地元の「ハローワーク最新求人情報」「国道工事情報」「公民館情報」「児童館だより」「警察・消防日記」「防災インフォメーション」「折り込み広告お買い得チラシ」「パチンコフィーバー情報」などのコーナーがあった。
 ◎中高年向けの番組では、「懐メロを訪ねて」「おじさんコラム」「おぢさんのオールディーズだよ」など。
 ◎病気や障害を持つ人たちへ「がんばれ入院患者」「目の不自由な方のための新聞拾い読み」「視聴覚障害者のためのテープ図書案内」など。

 ◎さきごろの法改正で注目されそうな「海上自衛隊アワー」
 ◎全国コミュニティー放送局の番組が日替わりで聴ける「コミュニティーワールド」。20局以上がこの時間を通じて、コミュニティー放送の輪をひろげているようだ。
 ◎英語・中国語・スペイン語・タイ語・ハングル語・ポルトガル語・タガログ語・ベトナム語の音楽・トーク番組。ほとんど横文字(英語)の番組表もある。これからの地域での「多文化・多民族共生のまちづくり」に一役。
 ほかにも、放送内容はよく分からないが、遊び心いっぱいの番組名が…。
 ノリノリ気分で「パッパラパラダイス」「なまっちゃイブニング」。

 何をやってるのかなあ「夜ふかしの凡人」「暫定政権」「極私的Life」「今夜も××(チョメチョメ)」。
 これって、ごろ合わせ? 「二本列島」「新装回転」「こみゅに亭」。
 ロマンチックな「ケ・セラ・セラ」「時間(とき)の夢枕」「風色の絵筆」「ラベンダークルーズ」…。ステキなお姉サマがお相手してくれるのかな?
 「よかっさい…」「うたいのーしー」など、地名や特産物・方言などをうまく取り入れ、地域色をアピールしているものも多い。
 そして、極め付きは「嫌なら聴くな!」。ハハーッ、恐れ入谷の鬼子母神!  



<1>

 さきごろ出版された「IT(情報技術)用語辞典」(情報通信総合研究所監修・編著)に、「コミュニティー放送」の定義が載っていた。『県域単位の放送局では対応しきれない、地域密着型の情報を提供する小規模なFM放送のこと』で、『出力の上限が平成11年以降20ワットに引き上げられたため、聴取環境も向上している』。放送内容は…。
 『地域のニュース、買い物・グルメ情報、交通情報や天気予報が中心』だが、『音楽やイベント中継に力を入れることによって人気を集める局もある』。また『地域住民が番組制作にかかわったり、出演することも多い』。

 平成4年の放送法改正によって制度化されて、いまや「IT用語」のひとつにもなったコミュニティー放送。同辞典にちょっとつけ加えさせていただけるなら…。第3セクター方式で、行政の情報伝達に一役買っている局も多い。
 いささか古い資料だが、平成8年度の「市川市民意向調査報告書」にこんなデータが残されている。調査テーマは、「市民のまちづくり、情報公開や広報活動に対する意識や要望」で、対象は市内に住む満18歳以上の男女3千人(住民基本台帳無作為抽出)。
 まず、「市からの情報伝達手段としてどのような方法を期待するか」を見ると…。

 「市民便利帳」(70.2%)、「千葉テレビ」(39.1%)、「グラフ誌」(31.3%)、「パソコン通信・インターネット」(30.3%)、「ケーブルテレビ」(27.5%)、「ベイFM」(23%)、「文字放送」(21.3%)、「コミュニティーFM」(18.9%)、「テロップメディア(電光文字)」(14.1%)など。
 ただし、「テロップメディア」「コミュニティー放送」「文字放送」「ベイFM」については「わからない」が4割以上、「期待しない」も2割程度になっている。

 次に、市民はどんな情報を求めているのだろうか?
 同調査で、「広報いちかわ」を読んでいる人(対象者の92%)に「興味のある記事」を聞くと…。
 ベスト5は<1>公共施設の利用案内(68.1%)<2>催し物やイベントに関する情報(57.9%)<3>保健・医療=特に予防接種・休日診療(57.5%)<4>都市計画や再開発などの街づくり(48.3%)<5>講座、サークルに関する情報(47.5%)。8位の福祉=サービス(33%)も年代が高くなるほど関心度が上がり、70歳以上では47%となっている。(つづく)



<2>


  


小春日和の午後、市川市役所前に見慣れない物体を発見! 興味津々、立ち止まって見学した。大型テレビみたいだが…。日差しが強くて画像がよく見えない。日がかげってくると、アッ、見えた、見えた! 市内の緊急非難場所地図、防災アドバイス、天気予報、ニュース速報、文化財の写真などがくるくる動いている。でも、ちょっと見づらい。
 午後6時ごろに、もう一度見学。昼間より画像は鮮明だった。これって、何?

 「屋外型リアルプロジェクションテレビ」を搭載した「インターネット案内板」だ。11月2日から試験運転が始まり、民間企業の協力で維持管理されている。いまのところ、同案内板の情報メニュー・機能は限られているが、将来的にはいろいろなことができるようになる、らしい。
 この新しい情報機器を皆(個人・企業・行政)がフルに使いこなせるようになるまでには、もう少し時間がかかりそうだ。
 さきごろ「日経インターネットアワード2001」を受賞した市川市の公式ホームページ「市川シティネット」を開いてみた。開設当初は情報の遅れが目立ったが、このごろは更新も順調で、いろいろとおもしろい仕掛けもほどこされている。たとえばトップページの「インターネット放送局」をクリックすると…。

 『市川の文化や行事、市政についてなどを、音声や映像で紹介します』
 ここでは「テレビ市川」や「いちかわエフエム」で流された市の情報番組(「マイタウンいちかわ」「エコーいちかわ」)の一部を見たり、聴いたりできるようになっている。アクセス状況を調べると、毎月千件前後。同ホームページの「アクセストップ30」に入っている。      (つづく)  



<3>


 師走に入り、市川市からの「お知らせ」は盛りだくさん。12月1日発行の「広報いちかわ」も、2部の号外とあわせて3部構成だった。市が市民に伝えたいことは、こんなにたくさんあるんだなあーと感心しながら読んでいると…。ピンポ〜ン、自治会の回覧板もやってきた。皆様、年末の忙しさに紛れて、大切な情報を見落とさないように、ご用心、ご用心!

 市からの情報は、活字ばかりでなく、電波媒体(千葉テレビ・テレビ市川・いちかわエフエム)からも届けられている。
 市広報課で、いちかわエフエムの「エコーいちかわ」12月分放送予定表を見せてもらった。
 毎週月−金曜日の1日4回(午前10時、午後1時・同4時・同8時)、15分ワクで放送されている同番組。来週の予定表の一部をここで紹介すると…。
 ◇10日=「市長コメント」「ファミリーサポート」(保育課)◇11日=「ヤングテレフォン相談」(青少年課)「議会事務局」◇12日=「自然博物館だより」「市長コメント」(再)◇13日=「図書館情報」(中央図書館)「就学支援課」◇14日=「健康ガイド」(保健指導・推進課)「ウイークエンド情報」
 などのような日替わりメニューで、月平均40本以上の情報(再放送含む)が用意されている。その中で「健康ガイド」(毎週金曜日放送)の原稿を約一年半書き続けている、保健指導課・高田一恵主査に話を聞いた。

 −放送内容のベースは?
   「いまのところ、乳幼児の予防接種、高齢者のインフルエンザ予防接種、成人病健康診査事業、急病診療所案内など、『広報いちかわ』に掲載されている内容を繰り返しお伝えしています」
 −繰り返しは必要?
 「年々、『広報』を読まない人が増えている。いろいろなメディアを使い、繰り返しPRすることが必要でしょう」
  −「エコーいちかわ」の「健康ガイド」を聴いた感想は?
   「けっこう耳に残りますね。必要なことだけを凝縮しているので、固い感じがする。もう少しかみくだいた言いまわしのほうがいいかもしれない」
 −将来的には、ソフトな内容も考えていますか?
 「ハイ。健康についての軽い話題を聴きたい人もいると思う。毎回は難しいが、保健婦さんにも協力していただいて…。たとえば、冬は『風邪を引かないための予防策』、春は『花粉症対策』などどうでしょうか!?」  



<4>


 11月中旬、市川市内の商店街で買い物をしていると、店主(70歳代男性)がこんな話をしていた。「昨日かかりつけの病院に行ったら、『いま、65歳以上の人は、インフルエンザの予防注射が1回分タダですよ』と教えてくれた。去年のいまごろは、『ワクチンが足りない』と言ってたのにね。さっそく書類にサインして、注射してもらった」。へえ、知らなかった! 
 家に帰って「広報いちかわ」(11月17日号)を読み直すと…。アッ、「来年3月まで、高齢者等対象に、無料でインフルエンザ予防接種」の記事が載っていた。ていねいに読んだつもりでも、見落としていた。

 そんな「見落とし」を見越してか、広報は同24日号と12月1日号、同8日号にも同様の記事を載せている。回を重ねるごとに説明が詳しくなる。さらに、自治会回覧板で指定医療機関のリストも…。もう「知らなかった。どうしてくれる」は許されない?
 「広報」と連動して、いちかわエフエムの「エコーいちかわ」(「健康ガイド」)もこの予防接種のお知らせを、繰り返し報じていた。
 「エコーいちかわ」は、「聴く広報」と言ってもいいだろう。毎日聴いていると、広報の「補習授業」を受けているような感じがする。最初は読み間違えが多かったが、このごろはベテランのアナウンサーが、落ち着いた口調で情報をとりまとめている。
 最近の「補習授業」の中で、耳に残ったものをいくつか挙げてみると…。

 ◎「消防局だより」
 いまどんな火災が多いか、それを防ぐためにはどんなことに注意すればいいのかがスッキリまとめられていた。
 ◎「介護保険課」
 同課の「まつまるさん」が番組に登場、アナウンサーとの対話形式で「(介護)保険料未納の場合」の説明をしていた。
 ◎「総合市民相談課」
 市内には、日常生活で抱えているさまざまな問題を、無料で相談できるところがいっぱいあるんだなあ。
 ◎「動植物園だより」
 園の人気者・シルバーフォックスは、人なつっこい犬のような性格で、「なかよし広場」にいるそうだ。
 ◎「少年自然の家プラネタリウム」
 オリオン座の星座神話が面白かった。
 ◎「ファミリーサポート」
 アドバイザーの「さとうさん」と地域リーダーの「たなかさん」が登場。アナウンサーとの対話もイキイキ弾んでいた。
 そして、さらなる変革を訴えた「市長からの手紙」も入る。  



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