市川よみうり連載企画

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検証・まち  
<駅前放置自転車>
1
特効薬を探して・・・

 市川市内に「放置自転車病」の兆しがあらわれたのは、オイルショックの昭和48年ごろから。伝染性の強い病気で、感染すると「だって、みんなとめてるじゃない」と、駅やスーパーの前など公共の場に自転車を放置するようになる。対処療法として「駐輪場の新設」「指導員の配置」「警告」「撤去」「モラルに問いかける」などが試みられている。しかし、治療後の経過は思わしくない。一時的に「良くなった」ように見えることもあるが、ちょっと気をゆるめると転移・再発するケースが多い。「水虫と放置自転車の特効薬が見つかれば、ノーベル賞ものですよ」とは市職員の弁。

−◇−   −◇−
国は昭和52年から、2年おきに、全国の駅前放置自転車の数(平成13年度=796市区町村)を集計し、公表している。同調査は「10〜11月ころの、晴天の、おおむね午前11時ころ」に、「駅から半径約500メートル以内の地域」で、「駐車(輪)場以外の場所に置かれ、利用者がそこを離れ、直ちに移動することができない状態にある」自転車をカウントしている。その中で、わが街の駅前が栄えある「ワースト10」に名を連ねると、自治体も地域住民もがぜん「どうにかしなければ…」との感を強くする。

 ちなみに、平成11年度の同調査で「ワースト10」(放置台数約2千〜4千3百台)に輝いた駅周辺の、その後の取り組みをざっと並べてみよう(資料=内閣府・平成13年『駅周辺における放置自転車等の実態調査の集計結果』の概要について)。
 〇駐車場の増・新設
 〇保管場所の新設及び撤去活動の強化
 〇放置禁止区域の拡大
 〇啓発活動の実施(住民協働によるキャンペーン運動)
 〇撤去・保管手数料の値上げ
 〇駐車場料金体系の変更
 〇CATV・広報で啓発
 〇啓発チラシの配布、パンフレットを作成し全町会に回覧
 〇駅に近い駐車場の一時利用料金を細分化
 〇放置防止監視員を配置・増強
 〇警察との連携撤去の強化など
 こうした施策が功を奏し、2年後に「ワースト10」を返上した駅もあるが、4割はいまだに、ワースト記録を更新中だ。

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<駅前放置自転車>
集中撤去の効果

 JR本八幡駅北口から歩いて約10分の場所に住む女性(49)の「放置自転車観察日記」。徒歩で同駅周辺の店に買い物に出かけている日々、そこで見た光景だ。

 7月22日(月曜日)
 「自治会の回覧板に、市からのお知らせ。『JR本八幡駅北口に放置された自転車の撤去を、これから重点的に行っていきます』。駅前の放置自転車には『通行者・商店街・周辺住民から多数の苦情が寄せられている』とのこと」
 7月23日(火曜日)
 「朝9時、駅前の放置自転車は10数台。舗道が広く感じる。このくらいだと歩きやすい。『重点的撤去』が始まっているのだろう。街頭指導員が、放置自転車をキレイに一列に並べていた」
 7月27日(土曜日)
 「夕方6時半ごろ、駅前に千台以上の自転車が乱雑にとめられていた。とても歩きづらい。国道14号線から駅までの歩道も、自転車や50トバイクがいっぱい。それでも、わずかに残ったスペースに自転車を割り込ませようとしている人がいる…」
 7月28日(日曜日)
 「午前11時、昨夜の自転車の洪水は半分になっていた。それにしても、街頭指導員のいない土、日曜日は、放置自転車天国だ」

 8月16日(金曜日)
 「午前11時、駅の北口階段を降りながら、広場を見渡した。スッキリしている。銀行の前の自転車が目に見えて減った。『放置ゼロ』とはいかないまでも、『重点的』な『撤去』は効果大」
 8月23日(金曜日)
 「昼下がり、ビルの前に『行儀よく』並ぶ自転車は2〜30台。その横や隙間に、スッと自転車を置いていく人たち。これからお買い物? 重そうなスーパーの袋を下げた人が自転車の列に近寄って来る。カゴに袋を入れて、さっそうとお帰り。ビルの裏手に『お客様専用駐輪場』があったが、満杯になっていない。一歩でも目的地に近いところにとめたい。それが『自転車乗り』のホンネだろう。たとえそこに『駐輪禁止』の看板があっても…。

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<駅前放置自転車>
3
年間1000回の移動撤去
今年7月16日から8月30日の間に、市川市が行った「八幡駅北口周辺の放置自転車集中移送撤去」状況は次のとおり。
移送撤去日数=20日
 移送撤去回数=82回
 移送撤去台数=1781台
 <内訳>
 北口ロータリー
  〜国道14号 802台
 パティオ裏  270台
 一番街    139台
 新道商店街  45台
 市民談話室前 111台
 行徳街道沿い 267台
 千葉銀行前  14台
 京成デパート
  〜アクス前 89台
 南口ロータリー44台
   −◇−   −◇−   
 「移送撤去」は、どのような手順で行われているのだろうか。
 まず最初は、放置自転車に『撤去対象』『ここは放置禁止区域です。これより撤去を開始します』と書かれた黄緑色の紙が、次々と付けられてゆく。この間、「こちらは市川市です…自転車を移動してください…」と警告アナウンスも流される。待つこと約1時間。それでも移動しない自転車は、トラックに乗せられ、所定の保管場所へ。カギがかかった自転車を担ぎあげ、動かすのは、かなりの力仕事だ。

 『市川市統計年鑑』で過去5年間(平成9−13年度)の「放置自転車撤去状況」を見ると、市域内の年間総撤去回数は千回前後、総撤去台数は2万台前後で推移している。平成13年度は950回(2万484台)。月平均で約80回(約1600台)の「移送撤去」が行われている。
 今回実施された「八幡駅北口周辺移送撤去」は、7月が36回で842台、8月は46回(939台)。月平均の約半分の「移送撤去」数が、ここに集中したことになる。

 そのかいあってか、9月6日朝の駅前広場=写真=は「美しい」の一語に尽きた。天候(雨)の影響もあるが、これほどまでに広い舗道を拝めるとは思ってもみなかった。
 しかし…。平成14年度市予算書で、「放置自転車等移送業務委託料」は、3千356万6千円。市民に駐輪マナーを周知徹底させるための「移送撤去」は手間と力、金がかかる。

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<駅前放置自転車>
4
年々低下する引き取り率
 先日、市川市が行った放置自転車撤去の後に、現場で「自転車を(市に)盗られた」と怒っている中年男性。
 「運が悪かった」
 −どの辺にとめていたの?
 「JR本八幡駅北口、『シャポー』の外壁沿い。オレだけじゃなくて、みんなとめてるよ」
 −保管場所に引き取りに行きますか?
 「行く時間もないし…、面倒くさい。それに4千円も取られるし…、古い自転車だったから、新しいのを買うよ」  −これに懲りて、もう駅前駐輪はやめる?
 「ほかのところにとめるよ」
 −「ほか」ってどこ?
 「それを言ったら、また持っていかれそうだから、ヒミツ」

   

−◇−   −◇−
    「移送撤去」された自転車が持ち主に引き取られる率は、年々低下している。『市川市統計年鑑』によれば、 平成9年=64・3%、同10年=62・2%、同11年=58%、同12年=43・7%。そして、同13年は34%で、10人のうち7人は「もう、イラナイ」。ご主人様から見放された自転車は、つぶされたり、リサイクル車としてよみがえったり…。
 九月半ば、本八幡駅周辺の放置自転車が運ばれて来る「平田保管場所」を訪ねた。8月に移送撤去された約1000台のうち、まだ引き取りのない約560台がずらりと並んでいる。
 すぐに「現場復帰」できそうな自転車が多い。その一方、荷物カゴがゴミ箱のようになっていたり、タイヤの空気が抜けていたり、部品が欠損していたり−と、長期路上放置の後遺症が痛々しい自転車も目立つ。

 「ここは、市内でも比較的『引き取り率』が高いところ。移送保管料千円のころは80〜90%、3千円で(平成11年)60%、4千円になってから(同12年以降)は40%くらい」と同所長。ここでも、移送保管料の引き上げに伴い、引き取り率は急降下している。
 1000台の放置自転車の八割が千円で引き取られると80万円、4千円で四割が引き取られると160万円。移送保管料収益は倍になるのだが、その分、見捨てられる自転車の数も倍になる。

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検証・まち  
<駅前放置自転車>
5
指導員の目前でも駐輪
 「JR本八幡駅南口から徒歩10分くらいのところに住み、地下鉄新宿線を使って都内の会社に通っています。通勤途中、行徳街道のJR線高架下を通るのですが、そこは放置自転車が舗道をふさいでいて、車道を歩かなければならないこともあり、身の危険を感じています。何とかしてほしい」(55歳・会社員男性)
  ◆  ◆  ◆  ◆    

 9月24日午前9時半ごろ、JR本八幡駅北口ロータリーで、「放置自転車移送中」のトラックを見つけ、後を追った。北口ロータリーから、国道14号線−行徳街道とゆっくり回り、辺りの放置自転車を荷台に積みあげている。JR高架下でも数台ピックアップ。荷台がいっぱいになったところでスピードを上げ、消えていった。

 高架下の街頭指導員に、
 −(トラックは)また戻ってきますか? 
 「ああ、すぐに戻ってくるよ」
 −この辺の放置自転車の様子を教えてください。
 「勤務は朝6時半から。『撤去対象』のフダがついている自転車は、昨日からとめっぱなしだよ。ここは『シャポー』(高架下商店街)の出入り口で、買い物客がよく自転車をとめていくんだ。『とめちゃいけないよ』と注意するけれど、『買い物に来たんだから』と言われると、(店への)営業妨害になりかねないので、あまり強くは言えないし…」
 −行徳街道沿いは、8月だけで267台が移送撤去された。
 「撤去は、まだ続いているよ。でも、何度やっても、放置自転車は後を絶たない。だからといって(移送撤去を)やめれば、もっと増える、あふれる」
 −街頭指導員のいない時、『チャンス!』とばかりに?
 「『注意する人がいないから、とめてもいい』という考えが、一番いけないんだよ」
 駅前の店がいっせいにシャッターを開ける午前10時、トラックが戻って来た。作業員が撤去対象車を次々に荷台に積み上げていく。高架下の25台が、平田保管場所に運ばれていった。
 注意をする街頭指導員と、自転車利用者のやりとりが聞こえる。
 「あー、そこにとめちゃダメだよ」
 「ちょっとだけ、いいじゃないですかー」

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<駅前放置自転車>
6
朝の厳しい指導も・・
  JR線本八幡駅南口から歩いて約七〜八分のマンションに住む大学生、いずみちゃん(19)は「中学2年生のとき、駅南口近くの大型スーパー前に友達と一緒に自転車をとめて、イソウテッキョされたことがあります」

 −そこは自転車放置禁止区域だったのかな? とめたのは何時ごろ?
   「朝六時ごろかな」
 −スーパー前のどのあたり?
 「スーパーは開店が十時だから専用駐輪場が使えないので、囲いの外側にとめました。ところが、夕方取りにいったら、無かったんですよ」
 −アア、そこで『移送撤去されたな』と…。
 「仕方がないので、JR高架下の保管所(平田保管場所)まで、とぼとぼ10分以上歩いて、引き取りに行きました。これからは『もうその場所(スーパー前)にとめるのはやめよう』と思いました」
 −それで、ホーチュー(放置駐輪)は卒業?
 「……。いまでも、ときどきほかの場所にとめてます。でも、イソウテッキョされたことは、その後一度もありません」
 −みなさん、それぞれに、ヒミツのホーチュースポットがあるようだけど、北口ロータリーにとめたことは?
 「早朝のロータリーで、みどりのおじさんの目を盗んでとめることは、ゼッタイ無理!」
 −みどりのおじさん? 街頭指導員のことかな?
 「ハイ、中学生のころから、友達の間で、そう呼んでます。腕章や帽子が緑だから」

 −みどりのおじさんは、キビシイ?
 「特に朝6時台は、『放置はゼッタイ許さないぞ』ってカンジ」
 −注意されたことがある?
 「あるある、何度も。『そこにとめちゃだめだよ』ってね。だから、平日の、早朝の駅前はすっごくキレイですよー」
 −でも、駅前の店が開くころには、ぼちぼち買い物客の自転車が増えてきて…。
 「みどりのおじさんが自転車をビシッと並べはじめる」
 −う〜ん、「指導員」が「整理員」になってしまうわけだ。
 「そして、おじさんがいなくなると、『ジグザグ駐輪』がはじまる。毎日その繰り返しですね」

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<駅前放置自転車>
7
通勤通学の少ない日曜日に増加
  市川市内で、ハンドルに「移送撤去」の警告フダをつけた自転車を走らせている人がいた。フダの意味を知っていれば、すぐに取り外すハズなのだが…。「何のためらいもなく」「堂々と」「ここにとめて何が悪い」−。路上駐輪を見るたびに、そんな言葉が浮かんでくる。

   −◆−   −◆−   
 JR本八幡駅北口にあるコーヒーショップ2階の窓から、駅前広場の全景が見渡せる。そこで、いつもより放置自転車が多いという日曜日の午後、大学生のいずみちゃん(19)と一緒に観察した。

 「わーっ、自転車がいっぱいたまってます」
 −500台以上あるかな…。ここから見ていると、どんなふうに人が自転車をとめていくかよく分かる。ほら、あの人は自転車を押しながら広場に入ってきた。アッ、空きスペースを探してる…。見つけた! 素早くカギをかけて駐輪完了!
 「こっちの人は、自転車に乗ったままでロータリーをぐるっと回って、アッ、駅階段の近くでとめた! これから電車に乗るのかな ?」
 −歩道の歩行者スペースは、平日の半分くらいかな…。
 「『一般車乗降場』という標識のあたりを見てください。男の人が車道に立っているでしょ。あれは、自動車学校のスクールバスを待っているんです」
 −どうして車道に出て待つの?
 「『一般車乗降場』を自転車の列がふさいでいる。舗道で待っていると、バスが来たとき急いで自転車の間をくぐり抜けていかなければならないから。実は、私もスクールバスの利用者なんです」
 −危ないなあ。
 「危ない。進路をふさがれると自分も自転車を放置したことがあるクセに、『何でこんなところにとめるのよ!』と思ったり…」
 −歩行者の立場になって考えてみると、放置はよくないね。
 「でも、今日の駅前の状態だったら、とめてしまうのは当然ですね。すでにいっぱいとまっているところだと、とめるのは(気持ち的に)ラクなんですよ」
 −『それなら、私もとめちゃおう』ってカンジ?
 「私も含めて、みんなが放置を軽く見すぎているのは、事実でしょうね」

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<駅前放置自転車>
8
整理・誘導・指導そして撤去
「セービ、ユードー、シドー、テッキョ」。これは、駅前放置自転車を一瞬のうちに消す呪文ではない。「駐輪場を整備し、そこに自転車をとめてもらうように誘導・指導。ルール(条例)を守らず放置すれば移送撤去」という自治体のオーソドックスな自転車対策を短くまとめたもの。セービ、ユードー、シドー、テッキョ…。さらに何を加えれば、放置は減少するのだろうか?

   −◆−   −◆−   
 ほうち【放置】かまわずに、そのままにしておくこと(『広辞苑』第5版)。
 では、「放置自転車」とは、どのような状態の自転車を指すのか ? 市川市内、京成八幡駅近くのスーパーに自転車で買い物に来た主婦(70)に見解を聞いてみた。
 「何かをほったらかし、おきっぱなしにするのが『放置』でしょう。買い物をする間だけ自転車を道にとめるのは、『放置』じゃなくて『いっとき駐輪』よ」
 −では、『放置』となる基準はどこに?
 「『放置』というのは、道ばたの『いっとき駐輪』に便乗して、長い間とめ続けることじゃないかしら」
 −「長い間」とはどれくらい?
 「スーパーの買い物だけならせいぜい1〜2時間くらいだから、それを超えたら『放置』と言ってもいいでしょうね」
 −市の「自転車等の放置防止及び自転車等駐車場の整備に関する条例」では、「『放置』=自転車等の利用者等が、自転車等駐車場以外の公共の場所に自転車等を置き、かつ、当該自転車等を離れて、直ちにこれを移動することができない状態」。
 「へぇー、キビシイのね。そんな条例があるとは知らなかった…。『放置』するとどうなるの?」
 −「市長は、放置禁止区域内に自転車等が放置されているときは、当該自転車等をあらかじめ市長が定めた場所(保管場所)に移送することができる」
 「放置禁止区域ってどこらへん ?」
 −大まかにいえば各駅周辺。ほら、京成八幡駅のまわりにも「駐輪禁止」の看板がある。
 「でも、看板の前に自転車がしっかり並んでいるわよ。あまり効力はないみたいね」
 −??? 
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<駅前放置自転車>
9
放置地帯を回遊<上>
駅周辺の大量放置自転車の弊害を大きく五つにまとめると、
 〈1〉生活環境の阻害 歩行者の通行妨害、交通事故の誘因、付近商店の営業妨害、救急車・消防車の緊急活動の障害。
 〈2〉都市機能の低下 駅前広場・駅周辺の舗道、緑地帯などが自転車に占拠されるため、それぞれの施設が本来の機能を発揮できなくなる。
 〈3〉都市美観の阻害 特に、無秩序・乱雑な駐輪状況や廃棄車の存在は、著しく美観を阻害する。
 〈4〉盗難事件の多発 監視が行き届かないので、盗難に遭いやすい。
 〈5〉財政負担の増大 自治体を中心に、駐輪場の設置・管理や長期放置の整理・撤去に努めているが、駐輪場を駅前の一等地に設置しなければならないなど、財政力の弱い自治体にとってはかなりの負担となっている。(参考資料『東京都自転車駐車問題等協議会報告書』)

   −◆−   −◆−   
 秋晴れの日曜午後、自転車に乗って、京成八幡駅・JR本八幡駅周辺を回遊した。駅前を占拠する自転車たちが『ここにとめると楽だよ』とささやきかけてくるが、「良識ある自転車乗り」を目指しガマン、ガマン。「一回利用」ができる市営駐輪場をさがした。

 まず、八幡三丁目の「八幡地下駐輪場」。近くに、こんな手書きの看板があった。
 「お願い!!困ります 危ないです迷惑です 多くの苦情が有!!通行人の妨げになる駐輪・駐車(バイク)はしないで下さい あなたの良識と思いやりで安全にスムーズに通れる歩道に−。 市川市役所 大芝原自治会」

 このあたりも、放置多発ゾーンのようだ。歩行をさまたげる自転車・バイクに困りはてた様子が看板からうかがえる。
 地下に続くスロープで、自転車を滑らせていくと、あった、あった、広くてキレイな駐輪場。日曜で通勤・通学の「定期利用」が少ないせいか、「満車」ではない。「一回利用者」用のスペースに空きがある。オープン時間は午前6時から午後零時まで。その間、管理人が常駐して、24時間以内の一回利用料100円(高校生以下50円)を徴収する。
 そこは、地上の放置騒動とは別世界だった。    (つづく)

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<駅前放置自転車>
10
放置地帯を回遊<中>
 日曜日、自転車に乗ってJR本八幡駅・京成八幡駅周辺で「1回利用」ができる市営駐輪場をさがした。八幡3丁目の「八幡地下」「八幡第2地下」駐輪場は、駅に近く、利用料(24時間以内100円・高校生以下50円)とスロープの上り下りさえなければ、快適な駐輪空間だ。管理人に守られて地下に並ぶ自転車たちは、照明に映え、まさに「銀輪」ということばがピッタリだった。

 地上に出ると、相変わらず「駐輪禁止」看板と放置自転車の熱い戦いが続いている。
 『駐輪ご遠慮下さい』『ここは私有地です』『家の出入口です』『急がば回って駐輪場!』などの看板・張り紙の前に、悠々とまっている自転車を横目で見ながら、JR高架下の「八幡第1駐輪場」へ。

 1階はいっぱい、2階は半分くらいの駐輪状況。「1回利用コーナー」は1階の屋外にあった。管理人はいない。買い物袋を下げたご婦人が入ってきたので、
 −1回利用料はどこで払うのですか? 
 「日曜は管理人がいないから、空いている所にタダでとめられるわよ。ただし、今日中に(自転車を)取りに来なくちゃダメ」
 「1回利用コーナー」は、ほぼ満車だった。奥一列(約50台)は、ハンドルに赤い札の付いた自転車。壁面に『○月の赤札自転車』と書かれた張り紙。赤札って何? 地面に落ちている赤い札を拾って読むと、★1回利用料が未納★定期利用のステッカーがない★無断駐車★指定の駐輪場・階層に置かれていないなどの自転車に付けられるようだ。『7−8月の赤札自転車』の中に、行徳地区の“共有自転車”「フレンドシップ号」が1台混じっていた。

 「当駐輪場の『1回利用コーナー』が満車の場合、ここから50メートル程市川寄りの『八幡第3駐輪場』へ自転車を置いてください」と案内書きがある。
 「八幡第3」は閑散として、管理人の姿はない。利用者の気配もない。入り口には「1回利用は、2階へどうぞ」の指示板。誘いのままに2階に上がると、自転車はあっちにぽつりこっちにぽつり、合わせて50台足らずのなかにも『赤札自転車』があった。がらんとした空間が広がり、市川寄りの1区画はホームレスの「我が家」になっていた。    (つづく)

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検証・まち  
<駅前放置自転車>
11
放置地帯を回遊<下>
 JR本八幡駅周辺の市営駐輪場数と利用台数、放置台数の状況は次のとおり(平成14年10月17日現在)。
 施設数=12か所
 収容可能台数=1万5百80台
 実利用台数=7千4百92台
 利用率=70.8%
 放置台数=1402台
 同駅周辺は市内で施設が一番充実しているが、利用率は6位、放置台数は3位となっている。

 「(市内の)駅までの自転車利用者の65%は駐輪場を有料利用している。慢性的な放置をしているのは残りの35%。この35%を、駐輪場を使うように『習慣づけ』できれば、現状での放置自転車問題は解決する。ちなみに、通勤・通学者の放置対策を『第一次対策』、日中の買い物客などの対策を『第二次対策』とすれば、JR市川駅・本八幡駅域は『第一次対策』がある程度成果を見た段階にあり、今や『第二次対策』をどうするかの時機にある。日中の買い物客などの自転車は、長時間放置しないことから『第一次対策』と同様の強制撤去がしにくい面がある」(市川市自転車対策課)

   −◇−   −◇−   
日曜日、JR本八幡駅の外壁には、びっしり自転車が張り付いている。
 「これからアキバ(秋葉原)に行く」という高校生。休日の「おでかけ駐輪」だ。
 −電車で「おでかけ」のときはいつもここにとめてるの?
 「ハイ、ここに決めてます」
 −盗難にあったり、強制撤去されたことは?
 「二度盗られた。テッキョされたことはありません」
 −市営駐輪場の「一日利用」を知ってる?
 「あのー、何でそんなに『チューリンジョー』にこだわるんですか? 急いでるんで、ほっといてください!」
 すっかり嫌われてしまった。

 同駅北口ロータリーから歩いて3〜4分、市民談話室裏手にある市営「八幡第7駐輪場」をのぞいてみると、管理事務所は休み。「一回利用コーナー」では、約150台の自転車がのんびり日向ぼっこしていた。自転車を押して入ってきた若者に、
 −管理人がいないけど、とめてもいいのかな?
 「大丈夫ッス。日曜日は金を取られませんョ」
 −これからどこかにお出かけ?
 「電車に乗って東京まで」
 −駅前に放置してゆく人もいるのに感心だね。
 「そんなことでホメられても仕方ないけど…、駅までちょこっと歩くのも運動になるし、ここはボクの見つけた駐輪の穴場」
 −料金もかからず、駅にもほどほど近いし…ってカンジかな?
 「まっ、そういうこと」

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<駅前放置自転車>
12
新しい試み・
歩道駐輪場<上>
  市川市は、これまでに「広報いちかわ」で何度か「放置自転車問題」を特集している。その中で、自転車利用者のモラルを問うばかりでなく、「新しい試み」もいくつか紹介している。たとえば平成10年6月6日号では市から、
 『駅前の放置自転車は、通勤・通学の時間帯よりも、むしろ買い物などで利用される自転車が多くなる午前十時頃からが多く見られます。その一つの原因として、店舗や人が多く集まる場所に駐輪場が設置されていない場合が多いために大量の放置を招いていると考えられます。そこで、新しい試みとして、この問題を市と市民が一体となって考えようと、駅周辺の商店街などとの話し合いの中で、二つの取り組みを提案しました。<1>銀行などの駐車場を、土・日曜日に限って駐輪場として開放できないか<2>市が土地(駐輪場)を確保して商店会に提供し、管理を商店会でお願いできないか』

 しかし、
 「<1>については、休日専用駐輪場の必要性に見解の違いや、管理面で不安があることなどの理由から協力が得られていない。<2>は土地の確保がままならず、進展していない。商店会には余裕地の提供や自前の駐輪場経営事業への参画も提案したが、まったく賛同は得られていない」(自転車対策課)と、物別れに終わってしまったようだ。

 次に広報「日曜版」(平成13年7月15日号)では、市民リポーターが市内の放置自転車の検証報告。JR市川駅北口周辺は『歩行者が肩身の狭い思いで歩かなくてはいけない現状』を指摘。秋から同地区で試験的に実施される予定の、『歩道駐輪場』に大きな期待を寄せている。『歩行者の通行の安全を考え、そこに係の人を配置し、(自転車を)きちんととめて整理できれば、少しは危険が少なくなるのでは』と市民リポーター。

 それから一年後のいま、
 「成果は上々。現在、(歩道駐輪場の)利用回転数は一日5〜6回を数え、一日の延べ利用台数は1600台あまり。設置前に同駅北口側で約1500台あった放置自転車は、約400台に減少している」(同課)。さて「上々の成果」を収めた『歩道駐輪場』とはどのようなもので、どのような条件なら設置が可能なのか? (つづく)

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<駅前放置自転車>
13
新しい試み・
歩道駐輪場<下>
「自転車がいっぱいとまっているところはとめやすい。『自転車が自転車を呼ぶ』という感じ。おじさん(街頭指導員)がとめた自転車の世話をしてくれると、ますます『ここにとめてもいいんだな』という気持ちが強くなる。反対に誰もとめていないスッキリした場所や、監視がキビシイところにはとめにくい。JR市川駅北口ロータリーは、このごろとめにくくなった。買い物のときは、少しめんどうくさいが、ダイエー脇、アイアイロードの駐輪場を使っている。無料で、2時間以内がキマリだけど、遅刻しても大目に見てくれるし…」(22歳・主婦)

   −◇−   −◇−   
 JR市川駅北口の階段からロータリーを見渡すと、平日・休日を問わず朝・昼・夜、放置自転車の姿はあまり目立たないが、それでも、街頭指導員が数人、見まわりをしている。
 ロータリー広場からダイエー脇「アイアイロード」に入ると、歩道の片側を柵で仕切った「短時間歩道駐輪場」。これまでロータリーに散らばっていた自転車がこちらに引っ越してきたようだ。利用者の出入りは頻繁。自転車が柵内に入ると、駐輪開始時刻で色分けした紙片が付けられ、2時間ごとにチェック。市川グランドホテル脇の歩道にも同様の駐輪場が設けられている。こちらも満車。

 駅前の買い物客などによる短時間駐輪を防止する一策として、平成13年秋にオープンした「歩道駐輪場」。1年後のいま、北口ロータリーの放置自転車は激減、成果は上々だ。
 「歩道駐輪場の設置は、まず<1>道路の付属物(道路法第2条、道路法施行令第34条の3)として道路の区域決定を行うこと<2>歩道幅が4メートル以上であること<3>駐輪スペースをとっても2メートル以上の歩道が確保されることの3条件を満たさないと、道路管理者・警察・消防等各機関の承認が得られない。ダイエー脇と市川グランドホテル脇の通りは、諸条件がクリアできて、また共に市の管理地であり、前者は『自転車を除く車両通行止め』、後者は『交通規制なし』の道路であることから、歩道駐輪場の設置が可能になった」(自転車対策課)。

 毎日午前6時から午後7時まで、ふたつの駐輪場には合わせて10人以上の整理員が配置され、それぞれの持ち場で利用者と相対している。一日の延べ利用台数は合計1600台あまり。
 財政事情から、新しい駐輪場建物の新設・増設がままならないいま、市内でこのような「歩道駐輪場」が増える可能性は?
 「今後は<1>既存駐輪場の利用率を高め<2>既存駐輪場に短時間用の一回利用スペースを置き<3>それでも放置自転車が散在している場合は『歩道駐輪が可能な歩道』に『歩道駐輪場』を設置することとなる」(同課)。ただし、諸条件がそろえばの話だ。

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<駅前放置自転車>
14
問題解決したいけれど・・・
「市川市の放置自転車に関する条例の全文を読んでみたいが、どこで閲覧できるのか?」という質問が数件寄せられた。

 市条例をまとめた『市川市例規集』は市政情報センター、市内図書館、公民館の図書室などで閲覧できる。「市川市自転車等の放置防止及び自転車等駐車場の整備に関する条例・施行規則」は、同例規集「第13編・建設」の「第5章・交通対策」に載っている。
 パソコンで検索する場合は、市公式web「市川シティネット」のトップページ右側にある「電子市役所」の「条例・規則検索」メニューをクリック。
 平成5年6月から施行された同条例は、ほぼ毎年改正が加えられている。ぜひご一読を…。

   −◇−   −◇−   
 歳末の市内。各駅前には早朝から「放置自転車追放」のタスキをかけた街頭指導員が立っている。寒風の中、ご苦労様です!
 「街のにぎわい」として見逃していた放置自転車を「危ない」と感じたのは、駅前の歩道に並ぶ自転車につまづき転んだ人を見たときから。うずくまり、立ち上がれない高齢のご婦人。付近で買い物をしていた家族が駆けつけ、抱き抱えるように連れていったが…。転倒の原因を作った自転車の持ち主(たち)は、たぶんこんなアクシデントがあったことを知らぬままだろう。誰かが何気なくとめた自転車で、ケガをする人もいる。

 市民の放置自転車に対する関心の低さを知らされたのは、さる10月に市文化会館(大ホール)で開かれた市主催の「自転車シンポジウム」(NPO青少年地域ネット21共催、市福祉の店協力、再開発振興会社協賛)。にぎやかなアトラクションが終わると、人々はさっさと客席から立ち上がり、去っていく。肝心のシンポジウム開始時、客席に残ったのは約20人。実に「お寒い」光景だった。
 市民は放置自転車問題を解決したいのだろうか? このままでいい? それとも、わからない?

 行政・大学・専門家と協力しながら街づくりを進めている市民組織「八幡まちづくりの会」が、10月3−6日に開かれた「八幡街回遊展」で「放置自転車に関するアンケート調査」を実施したところ回答62人(男性26、女性25、性別不明11)中、60人が放置自転車問題を「解決したい」と答えている。しかし「解決したい」一方で、「放置した経験がある」人が26人。
 では、具体的にどのような対処方法が望ましいか。同アンケート結果では「強制撤去」「警告後撤去」「路上整備員の増員」「自分で整理する」「時間貸し駐輪場」「無料駐輪場」「歩道駐輪場」「路上駐輪器の導入」「駐輪場の民営化」「駅から駐輪場までの距離で利用料金を変動する」「レンタサイクルの導入」「撤去自転車の引き取り料金値上げ」の順に並んだ。

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検証・まち  
<駅前放置自転車>
15
駐輪場利用者の不満
<上>
「◎平成15年度駐輪場新規利用者を募集○平成15年度は利用出来る駐輪場に一部変更がありますのでご注意ください。※無料で利用出来る駐輪場が増えましたので、そちらを利用しようとするかたはこの葉書(同封)で申請する必要はありません。来年度より新たに無料で利用できる駐輪場は『市川第一』『八幡第三』『南行徳第一・三』『原木中山駐車場』」(市川市役所 自転車対策課)

 11月末、郵送でこの「お知らせ」を受け取った市内福栄に住む女性(50)は…。
 「現在、夫と子供2人が『南行徳第二駐輪場』を使っています。自転車一台につき年間1万2000円の一括払い(合計3万6000円)は痛い。来年4月からは、無料になる『南行徳第一駐輪場』を使う」
 ――無料の『第一』と有料の『第二』の駐輪環境は?
 「両方とも、東西線高架下の古い駐輪場で、南行徳駅まで歩いて4〜5分のところ。『第二』のほうがほんのわずか、駅に近い」
 ――『第一』の利用率は、現在47%。無料化で、どっと利用者が増える可能性も…。  「ははは、うちと同じような考えの人は多いかもしれない」
 ――駅前の放置自転車も無料に吸い寄せられてやって来る?
 「う〜ん、どうかな…。駅前放置は蜜の味。一度その味を知ったら、よほどのことがない限りやめられない」
 ――無料駐輪場ができてもダメ? 
「ハイ。駅から遠いとダメでしょう」
 ――市の撤去は「よほどのこと」にはならないか?
 「いまのような『定期的な撤去』では懲りないでしょう。地元の人たちは、撤去の曜日や時間をよく知っている。いつ撤去されるか分からないようにすれば、少しは自粛するんじゃないかな」

 次に市内新田に住む男性(29)は…。
 「都内から引っ越してきて2〜3年」のKさん。現在、「市川第四駐輪場」(月額千円)を利用している。市からの「お知らせ」を受け取り、「来年もいまと同じ駐輪場を借りるつもり」だが、「登録や料金の支払い方法、管理体制などに疑問を感じている。以前、都内で借りていた駐輪場は納得できるものでしたよ…」  (つづく)

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<駅前放置自転車>
16
駐輪場利用者の不満
<中>
 一般的に<1>走行線上で<2>駅により近い位置にあり<3>自転車の出し入れがしやすく<4>整理員のいる駐車場は「利用価値が高い」といわれている。同じように「駅前放置駐輪」場も、走行線上で駅に最も近く、出し入れ簡単、街頭指導員の整列サービスが付けば利用感は★★★★★(五つ星)。ただし、運悪く「盗難」や「撤去」に遭う危険を考慮に入れると、総体評価は星いくつ?

 冗談はさておき、市川の市営駐輪場について、読者の意見を紹介しよう。
 「駅まで遠い」という意見が多い。市内新田に住む男性・Kさん(29)は以前、都内(中野区)で借りていた区の駐輪場と比べ、「まず、(市川は)遠いですね」
 試しに、JR市川駅周辺の各駐輪場出口から同駅改札口までの時間を、急ぎ足で計ってみた。「市川第一駐輪場」は3分以上。「市川地下駐輪場」は、地上につながる階段をかけ上がって約1分半。Kさんが現在利用している「市川第四駐輪場」からは約2分半だった。「遠い」「近い」の感じ方は人それぞれだが…。

 −中野区で借りていた駐輪場は駅まで何分くらいだった?
 「駅改札まで歩いて30秒」
 −それは、近い! 
 「近さだけでなく、登録が簡単で、利用料も1か月払いができた」
 −ひと月の利用料は?
 「私が借りていたころ(約3年前)は、一階が2千円、二階が1700円だった」
 −利用階層で料金が違う?
 「アタリマエでしょ。一階に比べ、二階は自転車の出し入れに時間と手間がかかる」
 −2千円を「高い」と思った?
 「(駅まで)近いし、月払いできるからナットクできた。もし年払いだったら、一度に2万4千円は大変な額」
 −登録はどんなふうに? 
 「その場で聞かれるのは住所・名前・電話番号くらいだったかな…。IDカードが発行され、それを駐輪場の発券機に入れて一か月分の料金を払うと、自転車に張り付けるシール(定期駐車券)が出てくる」
 −「一回利用」は?
 「満車状態でもめいっぱいとめさせてくれた。いつも通路部分まで、『一回利用』の自転車があふれていた」    (つづく)

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検証・まち  
<駅前放置自転車>
17
駐輪場利用者の不満
<下>
  「どんなに駐輪場を整備しても一方で放置自転車を黙認するようなことをすれば『元の木阿弥』。『なんだ、放置してもいいんじゃないか』ということになってしまう。市が本気で放置を無くそうと思っているのなら、もっと『徹底した撤去』を…。地域の人たちが『もう、ここ(駅周辺)にはとめられない』と観念する(諦める)まで徹底して撤去すれば、自転車は自然に駐輪場に向かう」(70代男性・南行徳在住)
 「JR市川駅や本八幡駅のまわりには無料の『歩道駐輪場』や、かっこいい『地下駐輪場』があっていいですね。駅まで3分以内なら、まだ近いほうですよ。うち(東西線行徳駅)の周りは、古くて遠い駐輪場しかありません。市民として同じ税金を払っているのに、どうしてこれほど差があるのでしょうか? とても不満です」(20代女性・福栄在住)
   
−◇−   −◇−

     前回紹介した「JR中野駅改札まで30秒」の駐輪場について、中野区交通対策課放置自転車係に問い合わせた。
 「ああ、それは、『中野駅北口中央駐輪場』のことですね。区内でも人気の駐輪場です」
 −本当に改札口まで30秒?
 「まあ、そんなところですね」
  −利用料は?
 「同駐輪場は区内で一番高く、1階は月額2千2百円、2階は千9百円。3か月だと割り引きがあり1階6千円、2階5千百円」

 −1か月、3か月定期利用の登録・利用手続きは?
 「直接、各駐輪場の管理人室で行っています。住所・名前・身分を証明するものがあれば、IDカードを発行し、それを使って駐輪場の自動発券機で『定期駐車券』(自転車に張るシ−ル)を購入していただきます。登録は、3か月程度利用がないと『失効』。その後、再登録となります。毎月20日から翌月5日までが、シール販売期間。『中野駅北口中央』は人気があるので、シール購入日は人が並びますよ」
 −1回利用は?
 「一日百円の利用券を『一日駐車券発行機』で購入。自転車ラックのない広場→1階ラック→2階の順に、できるだけ利用していただけるように工夫しています。利用券のない自転車は随時撤去」

 −そんな『人気の駐輪場』がある北口周辺の放置自転車の状況は?
 「このところ、『毎日撤去』を行っているので、昼間はきれいです。高架下にも自転車はありません」

 −『毎日撤去』?
 −「ハイ。土曜日もときどきやっています。みなさん、撤去の時間帯をよくご存じのようですが…(笑い)。警告しても移動しない自転車は『即時撤去』します。警告から撤去までの猶予時間は、ありません。(引き取りの)手数料は5千円」
   

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検証・まち  
<駅前放置自転車>
18
100円は高いけれど…
   1月半ばの平日昼下がりに、JR中野駅北口改札を出て、あたりを見回した。駅前の放置自転車はゼロに近い。横断歩道を渡るとすぐに「中野駅北口中央駐輪場」が見える。赤信号で待たされなければ、1分以内で入り口にたどりつける近さだ。
 この日、2階建ての駐輪場(1300台収容)は「満車」。駐輪場の外に設けられた「1日利用スペース」も「満車」。それでも、まだ、自転車をとめようとしている人たちがいる。駐輪場脇の公園に設置された1日駐車スペース前に自転車を押して来た主婦(52)=中野区新井=に話を聞いた。

 −「満車」の表示が出ているけど、どうしますか?
 「この場所は、自転車ラックに入れる手間もなく、サッととめられるから気に入っているの。『満車』でも、おじさん(管理人)に頼んで割り込ませてもらうわ。券売機で『1日駐車券』も買ったことだし…、『おばさんパワー』でとめちゃうわよ(笑い)」
 −放置の取り締まりがキビシイから?
 「歩道にちょっとでもとめようとすると、おじさん(街頭指導員)に『ダメダメ!』『駐輪場にとめろ』とキツく言われる。1年くらい前から区が『完全撤去』をやっているので、駅前広場や高架下、区の施設の前に自転車を置くなんて『トンデモナイ』ことなのよ。すぐに持っていかれちゃう。だから、一回100円は高すぎると思うけど、仕方なくここに、こうやってとめるようになった」
 −『完全撤去』が始まる前は?
 「中野に住んで6年になるけど駅前の放置自転車はハンパじゃなかった。それで、区も強硬策に出たのでしょう。お陰で、ここらへんの歩道は見違えるほどキレイになった。でも日曜日は、平日のキビシイ取り締まりの反動で(放置)自転車が戻って来る(笑い)」
 −取り締まり強化で、生活は不自由になった?
 「自宅は駅から15分くらい。以前はいつも自転車で駅前に来ていたけど、そのたびに100円は痛いので、歩いて来ることが多くなった。不自由と言えば不自由だけど慣れてしまえば…、あっ、管理人のおじさんが見まわりに来た! おじさーん! ここ満車だけど、とめていいでしょ! ほら、詰めればまだ置けるわよッ!」

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<駅前放置自転車>
19
施設を造るだけでは…
   『…需要に追いつくために駐車(輪)場をふやしさえすればそれで良いというものではない。駐車場建設が新規の需要を誘発すること、せっかく無料駐車場を作っても駅から遠いためにほとんど利用されないという事例、新しく立体駐車場を整備したが放置の規制をしないので相変わらず駅前の混乱が解消しない例などは、単に施設を増やすだけでは問題の真の解決にはならず、施設をどのように使いこなすか、そして施設だけでカバーできない部分を規制やマナー向上などソフト面でどのように対処するかが重要であることを示している』(条例検討シリーズ第1巻『放置自転車条例』北樹出版から抜粋)

 同書が編さん・発行されたのは昭和58年だが20年たった今でもその指摘は色あせていない。

   −◇−   −◇−   
 自転車を「放置」、「撤去」された経験のある人に話を聞くと、その多くが懲りずにまた新しい「プライベート駐輪場」を見つけ「放置」を繰り返している。
 どうして駐輪場にとめないの?
 彼ら、彼女らは、おおむねこう答える。「金(駐輪料金)がもったいない」「駐輪場で(自転車を)出し入れする手間がかったるい(面倒くさい)」「出し入れと駅まで歩く時間を取られると、自転車に乗って来た意味がなくなってしまう」
 −無料でロスタイムが少ない駐輪場ならとめる?
 「まあね、とめるかもしれない」「でも、そんな駐輪場は、いまのところないでしょ。だから…」
 放置常習者と駐輪場の縁は結ばれないままだ。

 現在、市川市が管理する駐輪場は44か所。3万5千3百90台収容可能だが、実際に利用されているのはその約62%(約2万2千台)。空きスペースに放置自転車(約1万2千台)を誘導すれば、数字上では問題解決となるのだが…。
 市内44か所の駐輪場のうち<1>地下駐輪場=4か所<2>最寄り駅までほぼ100メートル圏内にある駐輪場=6か所<3>最寄り駅まで100〜200メートル圏内の駐輪車=16か所は軒並み利用率が100%を超え、中には200%近いところも。しかし、残りの18か所は、50%を割っているところもあり、無料でも閑古鳥が鳴いている。つまり、80メートルを徒歩1分とすると、駅まで2分半以上の駐輪場に「空きスペース」が集中する傾向にある。そんな不便な空間に放置自転車を誘導するのは、至難の技だ。

 たとえば、東西線行徳駅から200メートル圏外に位置する「行徳第3駐輪場」(自転車500台、原付50台収容)。高架下の同駐輪場は行徳駅前が平成9年、「放置自転車全国ワースト2」になったのを機に無料化されたが、現在の利用率は45%。いくら無料にしても「圏外」では、自転車を呼び込むことはできなかった。

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<駅前放置自転車>
20
利用者増加への工夫<1>
     「子供2人が通学にJRや都営新宿線を使うため数年間、市の地下駐輪場(八幡第1、同第2)を利用させていただいています」という主婦(46)=市川市曽谷=の意見を紹介。

 −駐輪場の使い心地は?
 「人気のある駐輪場を続けて利用できてラッキー。特に、第2地下では子供が(駐輪場の)管理人に『行ってらっしゃい』『お帰りなさい』と声をかけてもらい、気持ち良く登下校できるようで感謝しています」
 −料金に関しては?
 「大学生は休みが多いのに『一般』扱い。年一括払い(1台=1万2千円)なので、親は懐が痛いです。でも、私は『自転車を駐輪場に収めるのは市民の義務』だと思ってますから仕方ありませんが…。市内の駐輪場の利用率が低い(62.7%)のにはビックリしています。これから料金が値上げされると、駐輪場離れが進みませんかね?」

 −昨年の12月市議会で可決された「料金改正」は、値上げされるところ・現在のままのところ・無料化されるところと三通り。いままで「公共の用に供する施設」と定義されていた市内の駐輪場を「公の施設」と改め、利便性や施設の優劣による「利用料金体系の適正化」が図られます。改正の理由は<1>平成5年の駐輪場有料化以来、一度も見直しを行っていない<2>利用者から『各駐輪場の位置や管理時間などに差があるのに、料金が一律(1か月=1000円)なのはおかしい』との意見が多く寄せられている<3>駅周辺の駐輪場用地確保が困難ないま、民間が参画しやすいように料金の官民バランスを考えるなどで、料金アップしたところは管理人配置時間などが延びて便利になりますが、無料のところは整理員削減で不便になることが予測されます。

 「八幡第1、第2地下は?」
 −利便性の高い地下駐輪場は、平成16年度から1台・月額2千円。
 「年払いだと、1台2万4千円ですね。高い! 私は更新しないかもしれませんよ。月払いができるといいのですが…。夏休みなどで使わない日もある学生は、100円の『一回利用』でつなぐやり方もありますね…。それにしても市は(料金改正より)駐輪場をもっと市民に利用してもらえるように、いろいろ工夫するほうが先でありませんか?」
 −たとえば?
 「駐輪場利用の呼びかけ強化。撤去された自転車を保管場所で持ち主に渡すとき、駐輪場利用を勧める。利用者が多い駐車場は、2段ラック式にしてもっと自転車を収容できるようにする。『一回利用』をめいっぱい増やす。工夫して、呼びかけて、それでもダメで仕方なく値上げします、というのならナットクできますが…」
 ……万策尽きたのかな?
          (つづく)

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<駅前放置自転車>
21
利用者増加への工夫<2>
     先週に続き、「家族が数年前から八幡の地下駐輪場を利用している」主婦(46)=市川市曽谷=の意見を紹介。

 市川市は、4月から新たに市内5つの駐輪場(合計6千4百50台)を無料化することで、放置自転車の減少を期待している。一方で値上げも含むこの改正は、放置自転車対策のひとつだが…。
 「無料化は分かるが、ナゼ値上げするところもあるの?」
 −「無料化」と「値上げ」は、いつもワンセットでやって来る(笑い)。今回値上げが決まったのは優良9施設。
 「いままでキチンと駐輪場に自転車を収めていた人にとっては、ショックですよ」
 −放置自転車対策のとばっちりを受けたというカンジかな。
 「私は、料金を払い駐輪することについては『仕方のないこと』と思っているが、今回のような一方的値上げには納得できない…」
 −市も財政が苦しい。
 「苦しいときにこそ値上げしないで、いろいろ工夫する姿を見せれば、私たちも協力しようという気持ちになる」
 −料金改正で放置は減るか?
 「うーん、ムズカシイでしょう。一般的に『駅前を見るとその街に住む人たちの暮らしぶりが分かる』と言われているが、市川市民もだらしなく放置を続けていると、初めて街を訪れた人たちに笑われてしまいますね」
 −やはり「撤去」の徹底がイチバン? 
 「『撤去』が最善の策とは思えない。八幡の街で年中撤去風景を見ているが、『大切な足』がトラックにポンポン投げ込まれ運ばれていく様は、『ナサケナイ』のひとこと。そうやって撤去しても、いっときキレイになるだけで…、また自転車は戻ってくる」
 −「撤去」は、根治療法ではなく、対処療法?
 「いたちごっこ。放置自転車をあっちからこっちへ移動させるだけ」
 −何か新しい放置自転車の受け皿が必要? 
 「私は、昨年末から八幡の京成百貨店前に『2時間以内無料』の有料駐輪場ができて、あたりに雑然と置かれていた自転車が、かなり整とんされたことに注目している。そこが放置減少の糸口になるかも…」
      (つづく)

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<駅前放置自転車>
22
利用者増加への工夫<3>
     「そこにとめると、撤去で持っていかれちゃうよ」
 『(持っていかれても)いいんだよ、おじさん。また新しいのを買うからサ」
 自分の店のまわりに自転車を置きっぱなしにしていく人と、いつもそんな会話を繰り返している京成八幡駅近くの商店主。
 「実にあっけらかんととめていきます。このごろは注意しても、ケンカにもなりゃしない。自転車は『軽車両』で、ちゃんと『自転車法』というのもあるんだよ。不心得なとめ方をする人は、それを知っているのかなァ」

   −◇−   −◇−   
 石油ストーブ、バッテリー、ラジカセ、湯沸器、応接セット、冷蔵庫、衣類、バイク…。市川市南行徳4丁目と浦安市北栄4丁目境の道端には、さまざまな物が放置? されている。その中に、自転車も数台。どれも、人の足として活躍していたころの面影はなく、「ゴミ」と化している。家電も家具も自転車も、「ポイ捨て」される時代か…。

   −◇−   −◇−   
 南行徳に住んで「足かけ5年」になるという堺忠弘さん(63)は、自宅近くの道端に花を育てている。雑草を刈り、種を植え、丹精のかいあって、今年もキレイな花が咲いた。
 「キレイなところにゴミを捨てる人はいないでしょう」とニッコリ。なるほど、花の咲いているところには、ゴミひとつ落ちていない。
 「自分たちの住んでいるところは、自分たちできれいにしよう」。仲間と、道にポイ捨てされたタバコの吸いガラや空き缶を集め、所定の場所に持って行く。
「拾い切れないほど集まりますよ」
 散歩で、よく東西線南行徳駅前に行く。自分たちが利用している駅前はどのようになっているだろうか…。
 朝、「シルバーの人たちが、放置自転車をきれいに『整理』していますね。自転車の数が多いので、とても『指導』まで出来る状況ではないでしょう」
 駅前広場の地下に駐輪場ができれば、放置は一挙に解決すると思うが「いまは無理。ならば、この街の住民として出来ることは何だろう? 何かお手伝いできることはないだろうか?」と考える。
      (つづく)
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<駅前放置自転車>
23
利用者増加への工夫<4>
     街頭指導員の自転車の並べ方を見ていると、後輪がビシッと一列になるようにそろえている。そうすると、見た目にも美しい自転車の列が出来上がり、歩行者の通り道が確保される。並べられた自転車が道なりに、絶妙のカーブを描くこともあり、さすが“プロ”の技だと感心してしまう。
 しかし、街頭指導員がいなくなると、美しかった列もジグザグになる。とめたり引き出したり、自分のことだけに夢中になり、周囲は眼中にないからだ。できるだけ歩行者のジャマにならないように置き、隣の車を倒してしまったら元に戻しておく。放置するにしても、せめてそれくらいのエチケットは守ってほしいもの。

   −◇−   −◇−   
 『順調なすべり出し 放置自転車一掃作戦 きれいな駅前に一歩前進、連日300人が“呼びかけ”“通告書添付”』
 これは、昭和55年3月8日付「市川よみうり」のトップ見出し。記事の内容は、次のとおり。
 「駅前の公共性の回復、歩行者の安全確保、自転車利用者のマナー向上を目的に『路上放置自転車クリーンアップ推進運動』が4日から18日までの15日間、国電(当時)市川、本八幡と、東西線行徳駅の主要3駅で展開され、上々の効果をあげている。この運動は、放置自転車追放に躍起となる市が市川署や各自治会、婦人会、商店会など65団体の協力を得て、2週間の予定で行うもの。これまでに例を見ない大がかりな運動だけに、各方面から期待と注目を集めている」

 当時、市営の駐輪場は14か所(無料・合計約1万5千台収容)あったが、駅から離れているため利用者には不評。駅前や商店街には常時合計5、6千台ほどの自転車が放置されていた。ここで、そのころのクリーン作戦の様子を振り返ってみよう。
 まず、前哨戦として、『路上放置自転車追放』の立て看板200本が市内各所に設置され、8万枚のチラシが自治会・学校・家庭などに配られた。
 作戦実施日は、毎日約300人の関係者が早朝から当該駅前や街頭で、「自転車は決められた場所に置いてください」と呼びかけて、放置自転車・バイクには『移動通告書』を添付していった…。
      (つづく)

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<駅前放置自転車>
24
利用者増加への工夫<5>
   春も間近の夕暮れどき、JR本八幡駅北口広場を埋める自転車の上を、強風が吹き荒れる。もし、周辺で火災が起こったら、いったいどうなるのだろうか−と不安になる。自転車の撤去に手間取り、消火作業が遅れることは必定。逃げる人たちが自転車につまづき、大ケガをすることもあるだろう。

 「オレは20年このかた、駅前に自転車をとめているけど、事故なんて起きたことないよ」と、60代の“八幡っ子”。
 −(事故が)起きそうで起きない、微妙なところ。歩行者からも「歩きにくい」と苦情が出ている。
 「おいおい、ここらへんにとめてある自転車を『目の敵』にしているようだけど、オレのも含めてほとんどが買い物の自転車だろ。あんたらは『自転車に乗って来るな、歩いて来い、重い買い物袋をぶらさげてトボトボ帰れ』とでも言うのかい?」
 −自転車に乗って来るのは構わないが、駐輪場に…
 「ここが駐輪場なんだよ、何か文句あるか? 事故なんか起きっこないよ!」
 怒られてしまった。
 一方、シャッターが下りた銀行の前では、行員が将棋倒しになった自転車を起こそうと四苦八苦している。車体がからみ合って、作業はいっこうにはかどらない。歩行者のひとりが、腹立ちまぎれに通路にはみ出した自転車をぐいと押した。また将棋倒しが広がる。
 行員は黙々と後始末を続けていた。

   −◇−   −◇−   
 23年前の3月4日から同18日まで、官民一体(市と警察・自治会・商店会・婦人会など市内65団体参加=連日約300人動員)で行われた市川市の「路上放置自転車クリーンアップ作戦」の成果はいかがなものだったか?

 開始当初。「全般的には目立ったトラブルもなく、今までとはうってかわって、国電市川・本八幡・東西線行徳駅前にはほとんど放置自転車が見られなかった。関係者は、このまま行けばきれいな駅前が実現できる−と大いにヤル気を見せている」(「市川よみうり」昭和55年3月8日付)。
 開始10日目。「これまで駅前を占拠していた自転車は、運動開始とともに姿を消したものの、多くの利用者の認識は依然として低い。運動員が出勤して“違法駐輪”に目を光らせてはいるが、利用者も次第に慣れ、置場所確保も巧妙になっている。『見張りのいないところに置いている。運動が終わればまた駅前に堂々と置く』という人も」(同3月15日付)。
 同作戦でスッキリ様変わりした駅前に「慣れて」ほしかったのだが…。市営駐輪場の数が当時の約三倍になったいまでも、「見張り」がいなくなると、放置取り締まりのウップンを晴らすかのように、駅前が自転車で埋められる光景は変わらない。
      (つづく)

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検証・まち  
<駅前放置自転車>
25
利用者増加への工夫<6>
    「何だかなあ…」
 東西線南行徳駅前で、大学生のノボルくん(19)がつぶやく「素朴な疑問」。
 その1: 「駅ロータリーの『駐輪禁止』の看板前にいっぱいとまっている自転車。『放置満車』という看板にしたほうがいいよね」
 その2: 「駅ロータリー前の駐輪場(民営)は、管理人付きで有料(月額二千六百三十円・一日二百円)。駅前放置のほうは、整理のおじさん付きで無料。放置にサービスし過ぎじゃないの?」
 その3: 「駅南側の畑や駐車場の脇、遊技施設の前の歩道は、いつも『放置満車』(笑い)。確か、南行徳が『放置自転車全国ワースト9』と新聞に載ったのは、去年の夏ごろだったよね。この調子だと、ワースト記録を更新するかもしれないよ」
 その4: 「たまに市がテッキョをやっているけど、「『〇月〇日〇台撤去しました』という看板の前に、すぐまた自転車がとまる。テッキョにもメゲない住民パワーには感心するよ」
 結局、「南行徳の放置自転車は、ずっとこんなカンジなのかなあ? 町の人たちが『このままでいい』と言うのなら、それも仕方のないことだよね。『放置は無くなったけれど、不便になった、住みにくくなった』じゃ困るし…」
 −ノボルくんは、自分の自転車をどこにとめているの?
 「通学用の自転車を市営の駐輪場に。都内の会社に通う父親も一緒にそこにとめている。父親は、『最初、市の駐輪場は無料だった。途中(平成五年)から有料になって、また今年の春から無料。(今回の)無料化は、南行徳がワースト9になったお陰だ』と喜んでいる(笑い)」
 −駐輪場から駅まで歩くのは面倒臭い?
 「片道五分のロスタイムってところかな。中学生のころからだから、もう慣れている。ちなみに、オカン(母親)は放置の常習犯」
 −買い物で?
 「イエース! 高架下商店街の『放置追放標語』にある『子供が見ている 親のマナー』をよく読んでほしいっス」  (つづく)
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<駅前放置自転車>
26
利用者増加への工夫<7>
   今回は、皆様からのおたよりを紹介。まず、「行徳の自転車ママさん」(38)は、
 「『オカン(母親)は放置の常習犯』という意見にひと言。私たちは好きこのんで放置しているワケではありません! 子供を乗せて幼稚園に通ったり、1円でも安いものを求めて商店街やスーパーに買い物に行ったりと、自転車は主婦にとって無くてはならないものです。家族のため、時間やお金の節約のために自転車に乗っているのですよ。毎日、買い物のたびに駐輪場まで行ったり、駐輪料金を払ったりしていたら、何の節約にもならない。店側にとって私たち主婦は大切なお客様ですよね。だから、『ここにとめてはダメ』『あそこもダメ』と規制するのではなく、とめやすい場所を用意して『どうぞ、ここにとめてください』とサービスするのが本当でしょう。郊外の店舗に駐車場が必要なように、駅前の店には駐輪スペースがゼッタイ必要」

 ごもっともです。
 次は、「市川市のホームページの中に『いちかわ自転車情報局』というコーナーがありました!」という会社員男性(23)。
 「なかなかの出来栄え。目次の『部署別ページ』↓『道路交通部』とクリックしてゆけばそこにたどりつけます。市営駐輪場の『空き情報』『利用申請』『料金』『注意事項』『マップ』や『レンタサイクル』『リサイクル』などが各項目ごとにまとめられています。市のインターネット情報サービスは進んでいますね。実際にどのくらい市民に利用されているかは分かりませんが…」

 さっそく『いちかわ自転車情報局』をのぞいてみました。近隣市の自転車関連ページと比べても、確かに情報量が豊富ですね。ひとりでも多くの自転車利用者が、このコーナーにアクセスすることを祈るばかりです。
 最後は、「仕事で小回りの利く自転車や50トバイクを使って市内を走り回っていますが、一日利用できる駐輪場がどこなのかよく分かりません」という、宮久保在住のパート勤務女性(40)。

 「以前『一日利用OK』だったところに行ってみると、とめられなくなっていたり、反対にとめられなかったところがとめられるようになっていたりと、戸惑うことが多い。いっそのこと、全駐輪場を一回利用OKにしてはいかがでしょうか。迷わなくてすみます。駐輪場の空きスペースは目いっぱい利用するべきです」
 なるほど。そうすると、料金収入は増える。その分、管理人の仕事も増える。いまでも、一回利用のスペースを作ったり、引き取りに来ない自転車に赤紙をつけたりと、駐輪場管理は案外手仕事の部分が多い。利用者にとって便利な「定期・一日混合型」駐輪場を増やすためにも、効率のいい管理体制確立が必要だろう。           (つづく)

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