市川よみうり2002年5月 |
明海・海園の街で保育園開設の賛否をめぐってトラブル 保育園待機児童解消に向けて浦安市は、施設の増設を急ピッチで進めているが、明海・海園の街では保育園開設の賛否をめぐって、住民間でトラブルが発生している。入居者のための募集センターに使用していた通称・八角堂を、所有者の住宅都市整備公団が保育園として改装・整備、市と賃貸契約を結ぶ計画を「今年1月末に突然、知らされた」と住民が反発。
海園の街は全11棟建て500戸のマンション群で、当初は分譲の計画であったものが、需要動向に陰りが見え始めた平成9年、全棟賃貸住宅に変更され募集が行われた。この変更にともなって、八角堂も「住民の」から「公団の」所有に変わった。しかし住民は、「コミュニティーの場になると思っていた」「入居前に現地案内人から『(八角堂は将来)住民のために使われると思う』との説明を受けた」と不満を口にする。
さらに自治会が、今年3月に行った住民アンケート(全世帯471対象、回収率76%)では、「交通事故が心配。事故が起きた場合、公団や市は責任をとってくれるのか」「送迎の車が迷惑」「保育園になることが分かっていれば転居してこなかった」「静かな場所を選んで引っ越してきた。なぜ早く話をしてくれなかったのか」など反対が多数を占めた。
住民に初めて保育園計画が知らされたのは、12月1日に開かれた市政懇談会で。松崎秀樹市長が言及したが、この時の出席者は約20人と少なかったことに加え、保育園計画は話の一部でしかなかったことなどから、全体に周知されるには至らなかった。今年1月17日に市子育て支援課から説明を受けた自治会長が、自治会地区ニュースで紹介、同27日に全戸に配布。ほとんどの住民がここで初めて、保育園転用を知らされる。
この後、協議を重ねた住民から説明会の要望が出され、3月5、9日に市と公団による住民説明会が開かれるが、保育園開設を前提に話を進める市と公団に対し、「計画の白紙撤回」を求める住民の話は平行線。
今月中旬に改装着工を予定している公団は「反対を受けるとはまったく予想していなかった。市政懇談会から自治会ニュース発行までの経緯を市から聞いていて、住民には周知されていると思っていた」と説明。また、最後に募集が行われた6号棟1階に集会所設置、12月から供用を開始することも決めている。
三番瀬再生計画検討会議の海域小委員会大荒れ 前途多難−。4月26日、船橋市青少年会館で開かれた三番瀬再生計画検討会議の海域小委員会(コーディネーター・小埜尾精一三番瀬研究会代表、委員7人)第1回会議で、漁業関係委員と環境団体や学識経験委員が船橋漁場への覆砂事業をめぐって対立、分裂状態になりかかったが、岡島成行・三番瀬円卓会議座長が「これでは決裂して三番瀬再生は出来ない」と発言、なんとか会議を軌道に乗せる一幕があった。
紛糾の原因は、船橋市漁組が県の補助事業として6月から8月まで、船橋の漁場でアサリの生息環境を改善するため行う覆砂について。木更津市・小櫃川河口域の砂を使用することに対し、学識経験者などが「小櫃川の土砂を持ってくることでそこに生息しているサキグロタマツメタガイが三番瀬に移入、生態系が変わる恐れがある。どうして市川航路を浚渫した土砂を利用しないのか」と指摘。
漁業関係者は「やってみなければ分からない。熊本県や福岡県での成功例がある。漁業者にとって死活問題。円卓会議に(漁業権について)決定権はないはず」と強調。議論の接点がないまま平行線をたどる、気まずい雰囲気に包まれたが、オブザーバーとして同席していた岡島さんの、「みんな、三番瀬を良くしたい方向で議論している。その手法や方法論が食い違っているだけである。事業を行う前にギリギリまで納得のいくまで議論してほしい」という提言で軌道修正、小埜尾さんがこの件を預かり、調整を図ることとなった。
市川市介護支援専門員協議会設立介護保険制度で要支援・要介護の認定を受けた人の介護サービスのケアマネージメントを作成する市川市の介護支援専門員たちが自発的に組織した、市川市介護支援専門員協議会(会長・土橋正彦市川市医師会理事)の設立総会が12日、市川市民会館で開かれ、規約や事業・予算計画を承認した。「行政主導ではなく自発的に組織されたのは県内でも珍しく」(市川市介護保険課)今後、同協議会のなかで「職業倫理・資質・知識や技術の向上を目指す」ため、規約で「介護支援専門員の資質に関する研修会の開催。業務遂行に関するサポート体制の整備。業務遂行に関する情報の提供。関係機関及び関係団体との連絡・調整。介護支援サービスに関する調査・研究」などの事業を計画している。
川市の中高年者は近所付き合いが希薄 市川市の中高年者は近所付き合いが希薄−。市川市が、老人保健福祉計画や地域福祉計画策定のため、市内在住65歳以上2034人(有効回収率65.5%)と40−64歳の2015人(同58.4%)に行ったアンケート調査で、隣近所とは「あいさつする程度」の付き合いが全体で80%を超えている−との中間報告がまとまった。
同報告によると、65歳以上の80.8%が「隣近所の人とのつき合い方」(複数回答)に、「あいさつする程度」と回答。最も多かった地域は本八幡駅南地区の87.2%で、最も少なかったのが国分・国府台地区の77.4%だった。
逆に「ほとんどつき合いはない」が5.9%。最も多かったのは八幡地区の11.5%、最も少なかったのが南行徳地区零%で、「つき合いがない理由」は、「きっかけがない」が41%、「必要ない」が28.2%、「人と話すのはあまり好きではない」14.1%の順になっている。
また、40歳−64歳までは隣近所との付き合いを「あいさつする程度」という回答が85.8%。最も多かったのは中山地区の94.7%。最も少ないのが本八幡駅南地区75.3%。「ほとんどつき合いはない」と答えた人は11.6%で、最も多かったのが本八幡駅南地区で17.2%。少ない順では中山地区3.2%、八幡地区4%、曽谷地区5.7%と続き、65歳以上は零%だった南行徳地区が13.9%と高く、中高年齢層ほど付き合いが希薄になっている、との結果が表れている。
また「地域活動やボランティア活動への参加」(複数回答)状況は、65歳以上が「趣味や娯楽などの集まり」に15%、「自治会活動」9.6%、「高齢者クラブ」7.7%で、「参加していない」は62.7%だった。参加していない理由(複数回答)は「興味がない」28.3%、「どこで活動しているかわからない」23.8%、「仕事が忙しい」18.2%の順。
40歳−64歳では「自治会」参加が16.7%、「趣味や娯楽などの集まり」10.5%、「PTA・こども会」6.5%出、「参加していない」は62.8%。理由は「仕事や家事で忙しい」60.8%、「どこで活動しているか分からない」27.8%、「興味がない」14.2%と続いている。
旧木内家別邸マンション計画で高校教諭などが市長に要望書市川市真間四丁目、旧木内家別邸のマンション建設計画で、市川中高校教諭・石井信義さんと県立浦安南高校教諭・長山隆男さんが17日、連名で「旧木内別邸跡地の自然環境調査」、県生物学会副会長・岩瀬徹さんが18日、「旧木内別邸跡地の植生の保存」についてそれぞれ、要望書を千葉光行・市川市長に提出した。
岩瀬さんは「この計画が実現すると市川市の緑のシンボルは全く形を失うことになる。これまで数百年、市の自然保全に貢献してきた樹林を21世紀の初頭に失うとしたら、行政者も市民も後世に対する責任を放棄したことになる」と警鐘を鳴らしている。
また、石井さんと長山さんもこの樹林の価値を高く評価した上で「市のいう『九割樹木を残す』は疑問。工事着工前に樹木や草本、シダ、コケ類についても第三者の専門家をいれて調査すべきである」と求め、「その結果をふまえ、環境影響を最小限に留めるように計画を見直すことがぜひとも必要」(岩瀬さん)と述べている。
岩瀬さんは「昭和四十年代、ここ一帯を県の天然記念物にしたいという動きがあり、私もそのための基礎調査を行い、報告書(昭和48年県教育委員会)にまとめた。昭和六十年代にも県自然環境保全地域の候補地として調査が行われたが、いずれも指定には到らなかった」とこれまでの経緯を説明。
石井さんと長山さんは「隣接道路の拡幅工事が延期されたことは、人と自然との共生・共存を目標としている市政にふさわしい英断」と評価した上で、「現状をしっかり調査しておくことが、市が述べている『九割の樹木が保存される』ということを裏付けるために重要であり、その後の維持管理の上からも必要不可欠」と提言、今後の保全策について協力させてほしい−と述べている。
三番瀬再生計画海域小委員会が県の浚渫事業を承認三番瀬再生計画検討会議の海域小委員会第2回会議が15日に、市川市勤労福祉センターで開かれ、県が計画している市川航路の浚渫(しゅんせつ)事業や、委員から要望のあった海生生物調査や海域環境調査、鳥類調査、青潮調査などの実施を承認した。しかし、漁業者にとって大事な問題である赤潮と、のり養殖との関係調査は見送られた一方、前回(4月26日)、漁業関係委員と学識経験者委員の意見が対立した船橋漁場への覆砂(ふくさ)事業は、それぞれの意見を調整した結果、漁業委員から「計画していた木更津市・小櫃川河口域の砂は断腸の思いで断念。代わりに漁場を耕耘(てん)して、その際発生する余剰土砂で覆砂を行う」という、「苦渋の選択」(漁業委員)が承認された。
覆砂事業はアサリの生息環境を改善するため、船橋漁組が県の補助で漁場0・3ヘクタールに小櫃川河口域の土砂1500立方メートルを覆砂しよう−という計画だが、学識経験者などから「小櫃川河口域に生息しているサキグロタマツメタガイが、アサリに被害をもたらして、三番瀬の生態系が変わる恐れがある」と指摘されたことから、今回の耕耘事業に変更された。