市川よみうり2001年6月 |
放課後の居場所づくりを先送り市立小中学校児童・生徒の放課後の居場所づくりを検討していた市川市こども施策検討プロジェクトは、今年度中に小学校2か所で放課後の児童対策として、空き教室をフリースペースとして開放する予定だったが、「2か所で整備に1億円以上の経費がかかることと、隣接する学童保育問題などから、さらに詳細な検討が必要−との理由で先送りとなった」(市川市子ども政策課)。
この決定に、「庁内プロジェクトが1年かけて協議をしたのに踏み切れなかっのは、現場で子供と本音で付き合っている市民と、現場を知らない机上の理論や企画で、施設や体制をつくろうとするからだ。学校側と市教委、市教委と市長部局、市長部局と学校側。それに地域住民との考えが微妙に違っている。関係するトップが同じテーブルについて、本音で話し合うのが一番の近道では−」と、子供の育成にかかわる地域住民は提言する。
検討プロジェクトの協議のなかで、教育・福祉・保健を伴う広範囲にわたっている子ども施策の「事業については各担当部署で行うことで一致。現在プロジェクトメンバーを増員して、事業の拾いだしを行っている」子ども政策課は、「居場所とは、本質的に最初から存在するものではなく、個人が自分にあった場所を探して見つけていくもの」と位置づけ、単に子供に場所を提供するのではなく、子供が居場所を見いだしやすい環境を整えていくことがモデル事業の役割」と説明している。
事業計画は、ゆとろぎ相談員の部屋と保育クラブの間にフリースペースを設けて、担当職員や学生アルバイトなど補助指導員を配置して放課後から午後6時まで、休日は午前10時から午後6時まで開設する。このほど組織された子ども居場所検討委員会で計画を参考に、協議していく方針。
行徳臨海部まちづくり懇談会・市のビジョンを求める行徳地区の石垣場の残土問題や市川二期埋め立て、漁業問題、塩浜護岸の陥没、JR市川塩浜駅周辺の都市整備など広範囲に渡って協議する「行徳臨海部まちづくり懇談会(座長・西村幸夫東大工学部教授、委員15人)」は5月21日、同市南行徳市民センターで会議を開いた。
会議では、市川市行徳臨海部対策担当から「堂本知事が埋め立て計画を白紙撤回する発言や、千葉市長と知事が初めて対談、行徳臨海部周辺問題について早急に要望した」などの説明を受けた委員から「白紙撤回(知事)の内容次第だが、市長のまちづくりは不要との考えは、支援用地があるとなしでは、まち全体のグランドデザインに大きくかかわってくる。この委員会でどの程度まで議論していくのか、積み上げていくのか」と、会の運営対する市の考えを求めた。
市では「ここではいろいろな意見を出してもらい、参考にしていく。県には市民の意見として県にぶつけていく」と述べ、西川座長も「市が考えているビジョンをこの懇談会に提出してもらい、われわれの判断材料としたい」と確認した。
懇談会では、行徳まちづくりの会代表・丹藤翠さんが自分で描いた行徳臨海部周辺のイメージ絵図面を提示。東西線行徳駅から三番瀬まで直線で行ける道路を整備して、「自然な海岸線を再生、千本松原の景観をよみがえらせる。京葉線塩浜駅と海の間には、低層のリゾート感あふれるホテルや海を眺める温浴施設・商業施設を整備、野鳥の楽園と海とつなぐ流れを創生」と説明した。また流域下水道計画を見直したうえで、必要であれば石垣場の地下に設置して「行徳富士を公園整備。出張っている浦安の埋め立て地に海水の往来を復活させる水路を掘る」と大胆な構想を発表に、委員や傍聴者を驚かせた。
市川市内の大気汚染相変わらずひどい平成4年から市川市内の大気汚染物質・二酸化チッ素(CO2)の測定を行っている市民グループ・市川の空気を調べる会は5月26日、平成12年6月と12月にそれぞれ、市内700か所で簡易カプセルを使って調査したCO2汚染濃度の測定結果報告会を開いた(6月のカプセル回収数564個、12月664個)。報告では全体の傾向として、「南の方が高く北が低い。湾岸道路沿いや、松戸街道沿いも相変わらずひどい」とこれまでの測定結果と同様の結果を述べ、「全体の3分の1は0.06PPMを超過。市内は環境基準を超えるような環境が存在している」とまとめている。
特に、「0.02PPM以下がほとんど測定されなかったことなどを考え合わせると、空気の状態はあまり良くない」と述べる一方で、北部や中央の60%以上が0.04PPM以下で占められているのに、南部地域では40%程度−と分析。平成12年12月の測定で汚染濃度(PPM)が高かった地点は、湾岸道路原木大橋0.405、同千鳥大橋付近0.34、同原木東浜公園角〇.274で、これらは同年6月の測定時と全く同じ数値。南地区は高濃度の汚染地区として慢性化している傾向が見えるという。また、国道14号線市川広小路0.194、松戸街道国府台小入り口も0.163と、6月時より若干高くなっていた。
一方で、低かった地点は堀之内貝塚内や県立国分高前、須和田東光寺前、小塚山公園内など、いずれも0.02を下回っていた。
12月の測定結果を測定値7段階でみると0.02−0.04(31.1%)が最も多く、次に0.04−0.06(28.9%)、0.06−0.08(17.1%)、0.12以上(7.7%)、0.08−0.10(6.3%)と続いている。
※計測地の単位はいずれもPPM
市川市ライフカウンセラーの新しい試みに注目子供たちの心の止まり木−と、教諭や親と違う立場で子供が話しあえる相手として、市川市教委が平成7年度から順次、市立小中学校に配置したライフカウンセラー制度は、小学校にゆとろぎ相談員、中学校には専門の心理療養士を配置、各校の空き教室などを改造した「子ども広場」で、休み時間などを利用して、自由に出入りする子供たちの相談に応じるもの。
そのなかで、市川市立曽谷小(井河沢直之校長)のゆとろぎ相談員・鹿倉たか子さんは4月から、相談員の「ととろのへや」を校舎2階から1階に移し、小中高校生たちが放課後に自由に出入り出来る居場所を合わせ持つ「遊遊ひろば」としてオープンさせた。この広場は学校のなかに地域をつくり、子供たちの心の止まり木とするライフカウンセラー事業(ゆとろぎ相談員)と、地域で遊びを通して子供を育てる東国分中ナーチャリングコミュニティ(NC)事業がリンクしたもので、初めての試み。
実施にあたっては同小の一部教職員から、子供の管理責任の問題などで反対されたものの、鹿倉さんや東国分中NC役員の考えと、井河沢校長の方向性が一致したことで「井河沢校長の英断」(最首輝夫教育長)によって実現。最首教育長は「子供にとって理想的な場所ができた。これをモデルに、全小中学校に広がることを期待する」と、「校長の見学」を薦めている。
毎週火曜・水曜・金曜の午前10時−午後3時はゆとろぎ相談室として利用、原則的に水曜日午後3時から同4時までと、第2土曜日午前10時から午後3時までを「遊遊ひろば」に開放、地域の人や小中学生が自由に出入りしている。
旧木内家別邸跡地の高度利用地区計画決定 市川市真間4丁目の旧木内家別邸跡地の利用について、市が提案した「地区住宅地高度利用地区計画の決定」を審議していた市川市都市計画審議会(黒川洸会長、委員15人)は8日、地区計画を承認した。
午後1時から午後5時まで、「悩ましい案件で決断せざるを得ない辛い立場」「昨夜から心のなかで揺れている」「もう一呼吸おいて審議会の延長はできないだろうか」「議員の任期が終わってしまうので、何時までかかっても今日中にきちっと結論を出すべき」など、委員の苦しい意見が相次いだ会議は、終盤になって「今後も継続審議にするか」が諮られ、賛成・反対が7対7の同数となったため判断を委ねられた黒川会長が反対。その直後の採決で、地区計画決定賛成が決まった。
今後、市は業者との開発協議を行うとともに、知事の同意を得る都市計画の手続きをとり、マンション建設を進める運びとなった。緑地を守る会は先例化を懸念
一方、真間山の緑地を守る会共同代表・鈴木一義さんは「十分な審議とはいえない。これが先例となって風致地区に地区計画が行われていく懸念がある。本当に樹木が守れるのか」と、反対運動継続を表明した。
地区住宅地高度利用地区計画の対象となるのは、旧木内別邸跡地と周辺の約17800平方メートル。同地域は大部分が第1種低層住居専用地域で、建ぺい率40%、建物の高さは10メートルを越えないことが基準だが、地区計画の指定は、建ぺい率を30%に強化する一方で、高さの限度制限は20メートルまで緩和。敷地の最低限度を1万平方メートルにして細分化を防ぎ、一団の樹林地を確保。緑地の保全と一体となった建築計画を誘導するもの。
問題となっている「5メートル以上389本の樹木のうち、保存されるのは328本、移植は41本で、369本を残すことができる。その割合は94.9%」と市都市計画部は強調する。
さらに「開発区域の13975平方メートルは、業者と緑地協定を結ぶ。マンション入居者はこの協定に賛同する人となるので、日照権などの問題があっても、樹木の伐採は出来ない」と説明している。
初の全市民対象に都計道3・4・18号線説明会流域下水道市川幹線の県事業が本北方橋まで平成17年度中に完成するため、県から「平成15年度中の都市計画道路3・4・18号線着工」を求められている−。市川市は17日、同市民会館で、市の南北を結ぶ都市計画道路3・4・18号線について、これまでの経緯や現状、今後の方針などの説明会を開いた。一般市民も対象にした市主催の説明会は今回が初めてで、市民約300人が訪れるなど関心の深さを表した。
説明会で市は、八幡5丁目大和自治会から提出された、市立冨貴島小前の道路に接続しない地下構造案の要望に対して、初めて「全体として問題が多く、受け入れることはできない」と回答。しかし、全体的に不明確な市の答弁には会場から不満と非難、怒声が浴びせられ、まちの環境を守る会は「住民の声が届いていない不十分な説明会。公害道路はいらないし、造らせない」と強く反発している。
市は「植樹帯1.5メートルを含む5.5メートルの自転車歩行者道は市内で最も環境に配慮した道路」と強調するともに、「騒音軽減のために排水性舗装、しゃ音壁を整備。光触媒による二酸化チッ素の軽減、土壌浄化システムなどを検討している」と説明した。さらに6月8日付で、地域住民6631人から「下水道市川幹線と都市計画道路3・4・18号の整備促進を求める陳情」が6月市議会に提出されている−と、賛成意見があることを披露した。
また、環境について危ぐはある−と土屋助役が述べると、市民から「ではどういった環境数値や環境基準値を計測したら、断念せざるを得ないか」と質問。市は明確な答弁を避けた。整備促進協議会から促進要望の陳情
快適で安全な暮らしやすいまちを一日も早く実現してほしい−と、流域下水道市川幹線と都市計画道路3・4・18号の整備促進協議会は6月8日付で、市川市議会議長に6631人の署名を添えて、整備促進の陳情書を提出した。
陳情では「下水道は文化のバロメーターといわれ、地域の生活環境を改善するばかりではなく河川や海の汚染を防ぐ大切な事業」と述べ、「市川市の北東部に位置する流域下水道市川幹線処理区は、都市計画道路3・4・18号の地下に下水道幹線を収容する計画となっていることから、都市計画道路の未整備区間の事業の進展状況により下水道の供用時期が左右される」ため、<1>県が行う流域下水道市川幹線整備事業に協力して工期の短縮を図るよう働きかけること<2>市が行う下水道の面的整備事業は、可能な限り先行して整備すること<3>都市計画道路3・4・18号の未整備区間は防災上、また地域の生活道路としての機能からも現計画を基本に整備着手すること−を要望している。